二月花形歌舞伎 in 博多座 | akaneの鑑賞記録

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行ってきました!博多座!
いつものように弾丸日帰りですけど。

 

 

 

 

前回の遠征は、2018年6月

 

 


5年半ぶり?!

 

博多座は交通のアクセスも良いし、劇場内はホテルのようで

 

 

スタッフの心遣いも行き届いていて、とても素敵な劇場です。

 

 

 

 


今回のお目当ては、なんといっても「江戸宵闇妖鉤爪」

 

 

 


江戸川乱歩の小説「人間豹」を原作に、現・松本幸四郎さんが歌舞伎化したもので、初演は2008年。
その頃はまだ、今のように新作歌舞伎も少なく、30歳代の当時・染五郎さんが、構想10年(笑)初めて創作した新作歌舞伎でした。

 

2003年 阿修羅城の瞳
2004年 髑髏城の7人~アオドクロ
2007年 朧の森に棲む鬼 

黄金期の「劇団☆新感線」との共演で大活躍していた頃なので、そういったケレン味もふんだんに盛り込まれています。
その後、何度か再演もありましたが、ディスクも販売されておらず、今回13年ぶりの再演!
これは絶対見逃せません!!


しかも、当時は父・松本白鸚さんとの共演だったのが、

 

 

 

今回は息子の染五郎君との共演。

当時、染五郎君は3歳。今回18歳での主役抜擢です。

そして2024年は、江戸川乱歩生誕130年となる記念の年。

 

 

 


★江戸宵闇妖鉤爪


時は「安政の大獄」で揺れる江戸末期。色男で道楽者の下級武士神谷芳之助の恋人が、何者かによって惨殺される事件が立て続けに発生する。これらの事件には、犯人に狙いをつけられてからちょうど百日目に殺され、肩には鋭く咬まれたような傷を負うという共通点があった。明智小五郎は、それらを同一犯の犯行とにらみ、人を食い殺す“人間豹”の仕業と見極める。次の狙いが自分の女房であるとわかった明智は、人間豹・恩田乱学に敢然と立ち向かう。


小説の設定は昭和初期なので、もう少し世情を反映していて、社会への批判なども感じさせる内容となっていますが、歌舞伎では幕末の江戸が舞台。
江戸川乱歩のおどろおどろしい世界観を描きながらも、半人半獣や見世物小屋なども現実的になり過ぎず、物語としての面白さが前面に出て、早替りや宙乗りなど歌舞伎特有の演出もふんだんに盛り込まれています。

 

 

 


ともかく、下級武士神谷芳之助と半人半獣の殺人鬼・恩田の二役を演じる、染五郎君が大奮闘!!!

 

 

 

 

最初は色男で道楽者の下級武士、いわゆる「つっころばし」でふわふわした優男。

 

芸者・お甲との密会中、何者かにお甲は殺されてしまいます。
1年経って、芳之助は武士をやめ、鼓のお師匠さんとして、女性のお弟子さんにモテモテ。
人気の狂言師・お蘭と恋仲になったちょっとイケイケな青年。

 

 

お蘭との舞台では、鼓の腕前も披露。

吹き替えじゃなく、ちゃんと自分で演奏しています。
鼓は和楽器の中で最も難しいとされる楽器です。

 

 

お相手役の河合雪之丞さんも、本当にお綺麗で。

お年のことを言うのは憚られますのが、御年53歳!

 

 

18歳の染五郎君と恋人役ですが、ちょっと年上の良い女、って感じで流石です!

 

 


その舞台の最中に灯が消え、お甲はさらわれ、またもや惨殺されてしまいます。
恋人が2人も殺された芳之助は、すっかり憔悴して物狂いとなってしまうのでした。

 


この優男、イケイケな兄さん、物狂いの青年、と芳之助だけでも3つのキャラクターを演じ分け、その上で、半人半獣の殺人鬼・恩田も演じるのです!
 

 

 


小中学生時代の染五郎君は、かなり線も細く、セリフもちょっと棒読みで、大丈夫かな……って思うこともあったのですが、近年本当に成長著しく、殺人鬼・恩田の演技が凄く良くてビックリ!!
低いおどろおどろしい声を使い、

 


寝言は寝てから言いな!
おめぇさんの命なんざぁ

どうだっていいのさ!
 

 

といったべらんめえ調のセリフもカッコよく決まって。

 



いや~~悪役がカッコよく決まるって、まさに歌舞伎の醍醐味ですから!!

 


ワイヤーアクションで舞台を飛び回ったり、側転したり、トランポリンを使って木に飛び移ったりなど、非常に身のこなしも軽く、最後は客席を斜めに横切る宙乗りで締めくくり。

 

 

 

もう染五郎オンステージ!でした。


この題字も染五郎君が書いたもの。

 

 


幸四郎さんも嬉しかったでしょうね。

 

 


その幸四郎さんは、明智小五郎役。
探偵ではなく同心です。

 

 

いわゆる鬼平犯科帳、火付盗賊改方長官・長谷川平蔵みたいな設定。

 

 


今年5月には劇場版『鬼平犯科帳 血闘』が公開されます。

 

 

 

幸四郎さんは祖父の八代目松本幸四郎、叔父の中村吉右衛門に続いて、5代目の平蔵役。
染五郎君は、若き日の長谷川平蔵を演じます。

 

 

 


観劇するたびに染五郎君は成長していて、本当に日々、鍛錬しているんだな、頑張ってるな、と感心します。
まだ18歳!これからが本当に楽しみ。

 


これなら、劇団☆新感線との共演もできるんじゃないかしら、と思っていたらなんと!今年12月、新橋演舞場で「歌舞伎NEXT 朧の森に棲む鬼」が上演されます!!

2007年、幸四郎さんと阿部サダヲさんがタッグを組んだ作品。幸四郎さんと染五郎さんはどの配役で行くのかな?
楽しみ楽しみ楽しみ!!

チケット買えるかな~通っちゃいそうだな~




休憩をはさんで、後半は楽しい舞踊劇です。





★鵜の殿様


「鵜飼」を題材にした狂言仕立ての松羽目舞踊です。

盛夏の季節。とある大名が暑さをしのごうと、家来の太郎冠者へ「鵜飼」という涼の遊びを披露するよう命じます。早速、鵜飼の由来を語る太郎冠者。腰元たちを鮎に見立て、鵜が鮎を捕る様子をみせますが、やがて大名も鵜飼遊びの真似事に加わります。そこで太郎冠者は、鵜飼をよく知らない大名に鵜の役を、自身は鵜匠となって、鵜飼ならではの漁法のやりとりを指南するのですが…。

 


トンチの効いた太郎冠者がお殿様をやり込める、という設定の狂言モノは、様々なパターンがあります。
従者が日頃のうっ憤を晴らすような、コミカルな内容になっています。

 


この舞踊では、「鵜飼」について知りたがる殿様を、太郎冠者がうまく言いくるめて「鵜」の役を殿様にやらせます。
首に縄が付いている状態になりますから、太郎冠者の手さばきによって、殿様は引っ張られたりすっころんだり大騒ぎ。

 

 

 

腰元が「お酒」や「お膳」を運んできても、「鵜が受け取ったモノは全て鵜飼のもの」と言って、全部取り上げてしまいます。

 

 

 


他愛もないストーリーですが、「首に縄がついている」体で動かなくてはなりませんから、その掛け合いやタイミングが命。
さすが親子で息ピッタリでした。

 


軽々と演じていますが、この「長袴」を履いて、踊ったり転んだりするの、凄く大変そう!!
1メートルぐらい袴の裾を引きずって踏んだ状態ですからね。
でもそんな大変さは微塵も見せない染五郎君でした!

 

 

 


大満足の観劇を終えて、お目当ての「元祖博多めんたい重」のお店に行ったら…なんと…長蛇の列!

飛行機の時間もあり仕方がないので、最近JR博多駅構内にも出店ができたので、

 

 

そこでお弁当を買って、空港で食べました。

 

味は同じなんだろうけど、なんとなく、ただの「明太のり弁」になってしまって…やっぱり味気ない。

 


5年前はそんな人気店じゃなかったのに~~!
遠征の楽しみでもあるのに、道頓堀の「今井」といい、人気店になりすぎて、食べられないのは辛い。


日曜日だったのでお天気も穏やかで楽しい博多遠征でした。
翌日は雪だったから…危なかったです。


首都高の通行止めは解除されましたが、まだまだ交通網の乱れや渋滞が続いています。