糸 | akaneの鑑賞記録

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歌舞伎や演劇、映画、TVドラマなど鑑賞作品の覚書

 

 

 

1998年にリリースされた中島みゆきのヒット曲「糸」をモチーフに、菅田将暉、小松菜奈演じる平成元年に生まれた男女の18年間を生活者からの視点から見た平成史とともに描いていく。

 

平成元年生まれの高橋漣と園田葵。北海道で育った二人は13歳の時に出会い、初めての恋をする。

そんなある日、葵が突然姿を消した。養父からの虐待に耐えかねて、町から逃げ出したのだった。

真相を知った漣は、必死の思いで葵を探し出し、駆け落ちを決行する。しかし幼い二人の逃避行は行く当てもなく、すぐに警察に保護されてしまう。その直後、葵は母親に連れられ、北海道を去ることになった。その事を知らなかった漣は見送ることすらできないまま、二人は遠く引き離された…。

 

それから8年後。地元のチーズ工房で働いていた漣は、友人の結婚式に訪れた東京で、葵との再会を果たす。北海道で生きていくことを決意した漣と、世界中を飛び回って自分を試したい葵。すでに二人は、それぞれ別の人生を歩み始めていたのだった。

そして10年後、平成最後の年となる2019年。運命は、もう一度だけ、二人をめぐり逢わせようとしていた…。
 

 

 




ちょっと単館系が続いたので…こういうのも観ます(笑)


う~ん、まぁなんと言いましょうか、絵にかいたようなお話っていうのかな。

もう過不足なく邦画の定番が盛り込まれてて、ヒロインは波乱万丈な朝ドラっていうか、別に舞台が戦時中でもこのままのストーリーでオッケーだよね、って感じ。

 


平成の30年を描くって言っても、成人してからはここ10年ぐらいの出来事なのに、SNSもLINEも出てこないし、お互い電話番号も知らず、第六感で巡り合うかすれ違うかの繰り返しって…あまりにも昭和テイスト過ぎないか?

 

 


邦画は漫画や小説の原作モノばかりって言われていますが、オリジナル脚本でもこれなんだからねぇ…嘆かわしいねえ。
この映画で何を伝えたかったのか、そういう意図も特にない、いかにも今の日本をよく表している、のほほんとした作品ですね。
ストーリーは王道で、そんなに悪い人も出てこないし、そこそこ泣けますよって映画です。

 

 

 

 


でも監督と俳優陣はきちんとやるべきことを最大限やっていますから、問題は企画というか、プロデューサーというか、脚本家というか、そういう初期段階にありますね。

 



他のブロガーの方も良く指摘していますが、ともかく「糸」の歌、流しすぎ!!
エンドロール合わせて4~5回登場する?
しかも「え?ここで?」みたいな取ってつけたようなシーンで、とてもヌルっとした入り方、終わり方はブッツリ、めっちゃセンス悪い。

音楽的センスの欠片もない。

 


もはや、中島みゆきサイドに「楽曲を使用するなら○○回、○○分流すこと」と条件出されてたんですか?って思っちゃうぐらい。

それともプロデューサーの忖度?
にしても、監督も音楽監督もセンス悪すぎるでしょ。
なんなら「糸」の歌が嫌いになるぐらい印象悪かったわ。
「時代」を中国語で流すのも意味不明。そしてなぜ銀行に行くときに流す?
こういうの見るとね、「ボヘミアン・ラプソディ」の音楽の使い方が、どれだけ素晴らしかったかって思うよね。
 

 

 



高橋漣役の南出凌嘉くん。 

なんと「キングダム」で、漂(吉沢亮)の幼少期を演じていた彼でした。(右側です)

 

 

 

 

カッコよくなったなぁ!!

 


 

 

園田葵役の植原星空ちゃんも可愛いですよね。

 

13歳で初めて出会う二人、引き裂かれる二人。
繊細でピュアでお似合いだし、演技も初々しくてとても良かったです。




小松菜奈ちゃんが、10年間の変遷、成長がよく表現できていてとても良かった。

 

 

 

 

 

泣きながらご飯を食べるシーンが2回あるんですが、とても素晴らしかったです!!泣きましたね…気持ちがものすごく伝わってきて、みんな絶対感動すると思う。

 

でもさ、経済学部出身の知識を生かしてシンガポールで起業して大成功を収めるぐらいの手腕と根性があるのに、「女の子は好きな人と結婚するのが一番の幸せ」みたいな流れでまとめられちゃうのはね~~なんか残念・・・っていうか怖いよね、このジェンダー感覚。
 

 


そして成田凌君。

 

 

ちょっと菅田君を食っちゃうぐらいパワーがありました。
「多くを望んではいないのに、なんで神様はこんな試練を与えるんだよ!」って気持ちを爆発させたりするところ、「ファイト」をカラオケで熱唱するところ、グッときました。
彼はすごく演技の幅が広く、それもサラッと演じ分けて見せるところが良いですね。
 

 

 


山本美月ちゃんも、今までは可愛くて大人しくて、守られる女の子の役が多かったですけど、今回はかなりアクティブでした。
店で新人の葵を守ってあげる先輩キャバ嬢、最初の登場シーンからパーンと弾けてましたね。
そのあとも浮き沈みの激しい役をよく演じてました。

 


シンガポール編といえば高杉真宙君もすごく良かったです。
もともと芝居の巧い子でしたけど、このところグッと大人っぽくなって演技の幅が広がったなと思いました。

 

 

 


あと、菅田君の子供役で登場した稲垣来泉ちゃん。

 

 

彼女が出てくると、なんか一気に多幸感に包まれると思いませんか。「Two Weeks」や「コウノドリ」など、病気の役が多いんだけど、本当に可愛くて癒されます。

 

 

 


俳優陣はとっても豪華で、「コンフィデンスマン」レベルに有名な俳優さんがズラッと。
キャスティングも完璧、皆さん全く違和感なく、素晴らしく適役でした。
でも二階堂ふみちゃんとか斎藤工さんなんか、ほとんど無駄遣いとしか言えない登場で気の毒でした。

 

 

 

 

 


いろんな人と関わって歩んでいく人生を描いているから、登場人物も増えてしますが、ちょっと欲張りすぎかもしれませんね。
それぞれの関係性をきちんと描かないと!となると、どうしてもストーリーが説明的で散漫になってしまうので、もう少しポイントを絞った方が良かったと思いました。



菅田君は、あまりインパクトがなかった。
今まで、エキセントリックな役が多かったからかなぁ。
葵ちゃんと別れてしまってからは、目標もなく無気力に生きてる感じだったり、普通の人、受けの芝居だから難しかったかも。
彼は10年間、見た目などもあまり経年変化がなくてもうちょっと服装とか髪形で変化をつけても良かったんじゃないかな~。
ティモシー・シャラメにも思うんですけど、痩せすぎていて体がペラッペラなんですよね。そうすると少年っぽさが勝ってしまって、30歳子持ちのパパには見えなくて、そこがもう一歩だったかな。
でも小松菜奈ちゃんとのバランスや芝居の雰囲気はやっぱりとても良いです!

 

 

 

 

私、「アサヒスーパードライ」のCMの菅田君が大好きなんですよ!

まさに今!等身大の輝いている若者って感じしませんか?

曲も「This is Me」ですしね。

 

 

 

 

 


ここ最近、菅田君は「糸」の番宣でテレビに出まくってます。
そこでの言動を見ていて、本当にフラットでナチュラルで、自分をしっかり持ちつつも、あらゆるものを受け止める自由さがあって、改めてとても魅力的な人だなと思いました。
多くの出会いに恵まれているのは、それだけ人を引き寄せる魅力に溢れた人なんだろうなと。
自分を、そして周りの環境も俯瞰で客観視できて、芝居も冷静に組み立てているところが好印象。

 

 

 

 


菅田君は2021年に、有村架純ちゃんと共演「花束みたいな恋をした」の公開が控えているようですね。
坂元裕二さん脚本ということでちょっと期待しています。