キングダム | akaneの鑑賞記録

akaneの鑑賞記録

歌舞伎や演劇、映画、TVドラマなど鑑賞作品の覚書

 

紀元前245年、中華西方の国・秦。戦災で親を失くした少年・信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)は、奴隷としての日々を送りつつも、大将軍になる夢を抱きながら剣術の特訓に明け暮れていた。

やがて漂は王宮へと召し上げられるが、王の弟・成キョウ(本郷奏多)が仕掛けたクーデターによる戦いで致命傷を負う。

息を引き取る寸前の漂から渡された地図を頼りにある小屋へと向かった信は、そこで王座を追われた漂とうり二つの王・エイ政(吉沢亮)と対面。

信は漂が彼の身代わりとなって殺されたことを知るが、エイ政と共に王座を奪還するために戦うことになる。

 

私、ONE OK ROCKも結構好きなんですけど、主題歌の「Wasted Nights」、とても映画の世界観に合ってると思いませんか?
この予告編も感動的だし、すごく楽しみにしていました。

 

で、す~~っごく良かったです!

私は大好きです。もう一回見たいぐらい。
日本映画にしてはスケールが大きくて!
 

 

メインのロケ地は、中国浙江省に位置する広大な象山影視城。

春秋戦国時代の華麗な宮殿と荒れた貧民窟がリアルに再現された中国屈指の映画村です。

だからなんとなく、チャン・イーモウ監督の「グレートウォール」や「ヒーロー(英雄)」なんかを彷彿とさせます。

 

 

 

王宮の雰囲気、大きさや質感、色の感じが似ているんですよね。
ともかく「壮大さ」「広大さ」が圧倒的な説得力なんですよ。

絶対CG出は出せないこの空間の広がり。
それに日本では撮影用の馬をかき集めようとしても10頭にも満たないそうですが、中国では約100頭が用意できるので、ロケ現場で騎馬がずらりと並ぶ様子は圧巻!だったと。そりゃ10頭と100頭じゃ全然違います。

 


メインキャストの甲冑などもデザインを詰めたうえで、歴史もののノウハウを持つ中国に製作を発注するなど、かなり本格的。
王宮のシーンで日本語が聞こえてくると「え?中国語じゃないの?」って一瞬違和感があるほどでした。

ハリウッドで『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』『ブレードランナー2049』などのコンセプトアートを手掛けてきた田島光二が担当していたり、配給がソニーピクチャーズということで、海外での公開を視野に入れての制作のようです。
ただ、海外版予告編は主題歌がワンオクじゃないんですね。

本編でも使われていないので、各国それぞれ人気ミュージシャンの曲を使うのかもしれません。



かなり長い原作の、導入部分だけのようですが、あまりあれこれ詰め込まず、王宮奪還のところだけに焦点を当てたのが、原作未読の人にも分かりやすくて良かったのではないかと。
原作の原泰久さんが脚本にも関わっているのも安心です。
もうちょっとサクサク進んでもいいんじゃないかな?とも思いましたが、キャストみんな頑張ってたし、なかなかカットするのも忍びなかったのかな~なんて。

 

観賞後、動画サイトにあったアニメを見てみましたが、まぁキャラクター再現性が凄いですね!
喋り方も一緒。これなら原作ファンも納得なのではないでしょうか。

ただ時々、漫画のノリっぽいギャグなどが挟まれていて、そこで急に世界観が小さくなってしまうので、それはどうなんだろう?

あえてそう言うのはナシの方が良かったような…

 

 

 

信役の山崎賢人君。
デビュー当時はひょろっとしてて、少女漫画映画での気の弱い男の子といったイメージでしたが、「とどめの接吻」「陸王」「グッド・ドクター」などでの経験を経て、かなり成長したな~って印象です。
ちょっとギャーギャー言い過ぎな気もしますけど、少年漫画の主人公って「空気読まない、バカみたいに真っすぐで熱血漢」といったキャラ多いですよね。ドラゴンボールの悟空とか、ワンピースのルフィとか。
典型的なそういうキャラでした。
すごく演技が上手いというわけではないけれど、役に真摯に向き合い、全力投球しているのが真っすぐに伝わってきて、気持ちが揺さぶられます。
漂と死に別れるシーン。

原作者が最も大切にしていて、二人も全力で集中して演じたというシーン、信の目に溢れる涙と慟哭にやられました。
奴隷ということであまり体を大きくはできないけれど、しっかり鍛え上げていてアクションもかなり良かった。
正式に訓練を受けていない、自己流という設定なのであえて洗練された動きではなく、ホント体当たりって感じ。

 

 

 

漂とエイ政を演じた吉沢亮君。
二役演じ分けが素晴らしかった!
優しくて素朴な漂と、気品あふれる孤高の若き王 エイ政。
顔つきも声も話し方も全然違うんですよ。
キャスティングされた頃は、まだほとんど無名だったにも関わらず、プロデューサーが「公開される頃には、この子は絶対売れてるから!」と猛プッシュしてくれたそう。素晴らしい先見の明ですね。
私としては割と前から注目してた吉沢君。東京出身なのに、なんとなく台詞が訛ってきこえるのが気になっていたのですが、今回は大丈夫でした。
王妾の子供であり、王宮に信頼できる家臣も少なく、その孤独と哀しみを纏う佇まいがいいです!
でも信たちと出会い、心を通わせ、仲間たちと王宮奪還に向けて無謀とも思える反撃に出る。
まだまだ未熟だけど冷静沈着で大胆、そして王となるべきオーラと度量を備えた人物でした。

 



以前から何度も共演しているし、仲良さそうでいいね!
これからの映画界を背負っていく二人の俳優。

益々活躍してほしいですね。

 

 


彼らの子供時代を演じた子役も、二人ともとっても似ていて可愛かったんですが、信役の男の子しか画像が見つけられませんでした。

 

 

 

楊端和の長澤まさみさん
何万といるツワモノの山の民を束ねる美しき山の神。
ともかく美しくてアクションも決まっていて、超カッコイイ!
最初に仮面を外した時、おーーーーー!って思いますもん。
決してデレない、圧倒的な強さを持ちほぼ感情を出さない人物ということで、撮影中も周りと距離を置いていたそうです。
彼女は普通の人も演じられるし、コメディエンヌの才能もあるし、ミュージカルもできるし、ずーーーっと第一線で活躍しているのも納得。

 

 

 

河了貂役の橋本環奈ちゃん。
本当に可愛くて役にピッタリだと思うんだけど、橋本環奈、長澤まさみ、吉沢亮、と並ぶとどうも「銀魂」を思い浮かべてしまって。似たようなキャラだしね。

 

 

 

ラスト、信と死闘を繰り広げる左慈役の坂口拓さん。
本当の格闘家の方で、山崎賢人君に「絶対避けられるから全力で本気でかかってきて」と言って撮影したそうで、その圧倒的な強さが凄まじく伝わってきました。
もうちょっとセリフが上手いと、もっと説得力あったんだけどなぁ。

 

 

 

王騎役の大沢たかおさん。
彼は圧巻でしたね。マンガのキャラを踏襲しつつも、しっかり「大沢たかお」の存在感も出せていて
体も大きく作り上げて得体のしれない人物を見事に演じていました。
独特の喋り方に驚きましたが、原作もあの感じなんですね。
副官の謄を演じた要潤さん。ほとんどセリフもなく登場シーンは少ないのですが、印象に残りました。

 

 



竭氏役の石橋蓮司さん。これはもうさすが!ベテラン!
エイ政の弟、成きょうにこびへつらう丞相。

その卑屈っぽさが秀逸で、こういうマンガキャラでもしっかりと演技力で血の通ったリアルな人物像を描けているのが素晴らしいですね。


大沢さんと石橋さんの二人は、ちょっと別格だったと思います。


先日見た「ハンターキラー」の制作秘話からも感じましたが、これだけCGを極めても、というか極めたが故に、今また「本物の力」というものが見直されているのかな。
「ボヘミアン・ラプソディ」のセットや小道具、音響効果などもものすごいこだわりでしたし。
技術がハンパなく進化したうえで、さらに徹底的にリアルに再現する傾向が顕著な気がします。
今は、誰もが様々な情報を得られますからごまかしがきかないっていうのもありますね。
でも映画ファンにとってこれは本当に喜ばしいことです!

 

 

 

今、渋谷の東急本店1階に「キングダム」のコーナーができていますよ!

衣装が飾られグッズも売っているようです。