空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎 | akaneの鑑賞記録

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歌舞伎や演劇、映画、TVドラマなど鑑賞作品の覚書

 

チェン・カイコーが構想10年、セットデザインに2年間、実際の建築に4年間!
それもハリボテではなく、しっかりと当時の建築方法に乗っ取って建てたという長安の街を見るだけでも価値があります。
昨今、あまりにもCGが発達してしまったので、その凄さがあまり伝わらないかもしれませんが、建物の空気感、質感などやはり本物を感じさせます。
青龍寺なんか、現在本物の寺院として使われているそうです!凄い!
衣装その他の小道具も、本当に隅々まで凝っていて素晴らしいです。
妓楼のセットは「千と千尋の神隠し」や、映画「阿修羅城の瞳」を思い出しました。

 

夢枕獏の小説「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」を原作としており、同じ物語を2016年4月、歌舞伎座公演で観たので、大体の内容は分かっていました。
歌舞伎公演のブログはこちら→

でも原題だって「妖猫伝 Legend of the Demon Cat」となっているのに、なんで「空海」なんてタイトル付けちゃったんでしょうね。
「空海」の生涯、長安での修行などを想定して観に来た人は、やっぱり肩透かしくらうでしょう。
この原作は伝記ではなく、完全にファンタジーですからね。
しかも今回、かなり「黒猫」フューチャー。
可愛かったよー。つぶらな瞳で。
歌舞伎バージョンともかなりストーリーやキャラ設定が違っているので、ちょっと原作読んでみようかな~なんて思い始めています。


この映画、結構賛否両論というか否定的な意見の方が多いようですが、まず…


なぜ字幕版の上演がないの!!!

この意見、多いと思いますよ。

日本の映画業界、吹き替えを有名俳優にやらせれば集客に繋がるという安易で愚かな発想、いつになったらやめてくれるんだろうか。
俳優と声優は全く違う職業なんですよ。
やらされる俳優さんだって気の毒。
なんかね「探り探り声をあててる」ってのがまるわかりなの。
その中途半端さが台詞の表現を殺してしまうし、演技のテンポ感は崩れるし、何もいいことない。
まぁ、染谷君の吹き替えを別の声優がやる、ってのも変な話だけどさ~、なんか台詞に力がないんだよね。
それにはっきり言って、高橋一生さん、吹き替えは下手です。

今回の映画はまだマシですけど、海外ドラマ「This Is Us」で初の吹き替えやってて、あまりのヘタっぷりにドラマを見るのやめましたから。

声というか喋り方が特徴的すぎるのかな。
一生さん、もうず~っと前からとても好きな俳優さんだからこそ、悔しい。

 

染谷君はまだ名もない若い僧侶の雰囲気出てるし、白楽天役のホアン・シュアンさんともとても良いバランスなのに、主役二人の声がそんなだから、映画のパワーが物凄く削がれますよね。大きな問題ですよ、これは。
観てる方が全然感情移入できなくなっちゃうんですから。
楊貴妃の吉田羊さんもイマイチだったな。

 

台湾人とフランス人のハーフであるチャン・ロンロンさんは、まさに絶世の美女で、存在しているだけで充分って感じなんですけどインパクトないんだよね。
余りにもおとなしいというか、されるがままというか、ただふわ~ってあらわれて死んじゃったみたいな。
良く言えば、「愛する玄宗皇帝のために、全てを受け入れます。この命も捧げます」ってことなんだろうけど…。
まぁワタクシ、今ちょっと脳内が「バーフバリ&グレイテスト・ショーマン」なものですから、ヤワな女じゃ物足りないんです(笑)