明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さて、新年そうそう気分が悪くなるニュースから。

毎日新聞 1月3日(木)22時12分配信
  【ソウル澤田克己】韓国のソウル高裁は3日、靖国神社への放火事件で日本が身柄引き渡しを求めていた中国人の劉強(りゅう・きょう)元受刑者(38)について、引き渡しを認めないとの決定を出した。劉元受刑者は同日夜、釈放された。聯合ニュースによると、高裁は戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社には「政治的象徴性がある」として、放火事件は日韓犯罪人引き渡し条約が引き渡しの対象外とする「政治犯罪」に当たると判断した。
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一時期韓国の新聞などで日本への送致が決定したというニュースを読んで、私は本当だろうかと疑問に思ったのですが、いよいよ決まるべきところに決まったという感じがします。

今回、私が提案したいことは、近代の朝鮮半島との関係を一回見直してみようというものです。

明治維新以降、日本は朝鮮半島が他の大国にとられると自国の安全保障が危険にさらされると思い、コミットメントしてきました。

日本の近代を代表する外交官、小村寿太郎なども「もし、他の強国が朝鮮半島を有するに至ったならば、日本の安全は常に脅かされてしまい。到底無事を保つことができない。このような自体を、日本は絶対許容することができないので、これを予防するのが日本伝統の政策とも言える。」と言っています。

このような考えから戦前は朝鮮半島を併合し、毎年財政援助を続け、戦後も莫大な援助を行ってきました。

しかし、果たして朝鮮半島を他の大国に取られたとしても、本当に日本の安全保障にダメージを受けるのでしょうか。

朝鮮半島と中国が一緒になって日本に攻め込んできたのは元寇の時だけです。おまけにその元寇も結局は日本の領土を占領することはできなかったのです。元寇の体験を普遍化するのは無理があります。

そこで、日本の西の安全保障を日本海に限定してしまうのです。

そうすれば、将来の朝鮮半島がどうなっても、ほとんど日本とは関係ありません。朝鮮半島で危機が起こってもほっとけば良いのです。

従来の安全保障観のままですと、また朝鮮半島で何か起こった時に、日本は莫大な金銭を強要された挙句に、全く感謝されないという不快感を経験することを続けるでしょう。

「日本海で十分じゃないか」というのが率直な私の気分です。
今回は台湾と韓国の「経済モデル」はどちらが有効かという問題を考えてみたいと思います。

現在の一人当たりの名目GDPを調べてみると、台湾は2万ドルで韓国は2万2000ドルでした。(ちなみに日本は4万6000ドルです)韓国の方が1割だけ高いようです。

最初に日本が統治していた時代を見てみます。

呉善花さんの『韓国併合への道』増補版に次のような記述があります。

「朝鮮統治では、最後まで投資過剰の赤字経営が続けられた。朝鮮総督府の統計年報によれば、朝鮮の財政赤字は総額17億6657万円(1911年から41年)で赤字分は本国からの交付金、借入金、公債でまかなわれた」

一方、台湾の場合は、日本の統治が始まってから10年後には、さっさと財政的独立を果たしています。

このように、財政的独立の観点からみれば台湾の方が優秀だったわけですが、日本に対する評価は真逆です。財政的独立を果たしていた台湾が日本統治時代をある程度評価するのに対して、最後まで日本から援助を受けていた韓国が日本に「搾取」されたというわけです。

なにか腑に落ちません。

次に第2次大戦後をみてみましょう。

同じ呉善花さんの本には「1998年までの韓国への日本のODA援助の実績でみると、無償資金援助が239億9400万円、有償資金援助が6455億2700万円、合計で6742億4500万円である。」と書かれています。

また技術援助も続けられており、トータルでは7000億円と呉善花さんは見積もっておられます。

中国に対する3兆円よりは少ないですが、それでも多額の援助です。

一方、日本は60年代から台湾にもODAを実施しているのですが、いろいろ調べても総額はわかりませんでした。おそらくは、韓国に行ったよりもはるかに少額なことは確かでしょう。

ここで私が主張したいことは、日本がいくら多額の援助を行ったところで韓国は1997年の通貨危機に巻き込まれIMFから援助をあおがざるを得なくなったことです。

一方、台湾が経済破綻の危機に巻き込まれた話など聞いたことがありません。

確かに韓国の場合は、朝鮮戦争に巻き込まれた点で台湾よりスタート地点で出遅れた点はありますが、台湾も2.28事件でエリート達が虐殺されたことを考えれば同じようなハンデがあったわけです。

そうすると「経済的独立」という観点からみれば、台湾の方に有効性があったことを否定することはできないでしょう。

最後に現代のことについてです。

グローバル経済時代に韓国と台湾はそれぞれ代表的な企業を輩出しています。

韓国の場合がサムスンで台湾はフォックスコン・テクノロジー・グループです。

渡邊哲也さんは『日本経済の復活術』という本でサムスンの経済モデルのことを「焼き畑工業モデル」と指摘しています。

「ある企業が他社の知的財産権などを侵害するコピー商品を作り、それが実際に訴訟になって解決するまで、いわゆる販売差し止めなりの賠償が確定するまで最短でも2年とか3年という月日がかかります。その間にコピー商品を売り切って利益を上げる。」

一方、台湾のフォックスコンの場合は、組み立て企業に徹していて、他の会社の知的財産を盗むという行為などは行っていません。

そこで、渡邊さんは、両者を比較した場合に排斥されるのはサムスン・モデルだと書かれています。

私もこうやって両国の経済的な歴史を比較して、サムスン・モデルは確実に破綻すると予想しておきます。

ということで、日本統治時代から台湾と韓国を比較した場合、台湾の方にどうしても軍配が上がるのです。
ヘンリー・キッシンジャーは『外交』という本の中で、同盟を組むためには「仮想敵国」が必要だと記述しています。

では、日米同盟はどこの国を仮想敵国と想定しているのでしょうか。

普通の日本人なら中国と考えると思うのですが、実際はそうじゃないみたいなのです。

2011年のアメリカと日本の「2+2」で発表された「同盟の戦略目標」の3番目は次のように書かれています。

「北朝鮮による挑発を抑止し、ウラン精錬プログラムを検査して逆行不可能な段階を確認することで非核化を成し遂げ、・・・・・・・・・・・朝鮮半島の平和的統一を求める。」

中国は5番目に書かれています。

「中国に対して、グローバル問題への協力や国際的行動基準への順応を果たし、地域の安定・繁栄において責任ある建設的な役割を果たすよう奨励し、米国、日本、中国三国の信頼関係を構築する。」

この文章は、ロナルド・ドーアの『日本の転機』から引用しましたが、ドーアは「北朝鮮に対するあらわな敵意と中国に対する控えめなたしなめぶりは対照的」と指摘しています。

確かに、この文章からは日米の仮想敵は中国ではなくて北朝鮮としか理解できないのです。

そして、以前紹介したインタビューでジョセフ・ナイも次のように語っているのです。

「安全保障上、日本にとっての目前の脅威は北朝鮮だ。中国は、日米安全保障条約があるかぎり日本に向かって軍事行動を起こすことはないと見ている。したがって長期的には、日米両国の目標は中国と分をわきまえた関係を持続させ、日米、日中、米中間の良好な関係を持続していくことだ。」

これではっきりしました。日米同盟の仮想敵は中国ではなくて北朝鮮だったのです。

北朝鮮がミサイルを発射するといつも日本のマスコミは大騒ぎをしますが、案外このことが関係しているのかもしれません。

それにしても、世界1位と3位のGDPを持つ同盟の仮想敵が、195位のGDPしか持たない北朝鮮だとは欺瞞以外の何物でもありません。