今回は台湾と韓国の「経済モデル」はどちらが有効かという問題を考えてみたいと思います。

現在の一人当たりの名目GDPを調べてみると、台湾は2万ドルで韓国は2万2000ドルでした。(ちなみに日本は4万6000ドルです)韓国の方が1割だけ高いようです。

最初に日本が統治していた時代を見てみます。

呉善花さんの『韓国併合への道』増補版に次のような記述があります。

「朝鮮統治では、最後まで投資過剰の赤字経営が続けられた。朝鮮総督府の統計年報によれば、朝鮮の財政赤字は総額17億6657万円(1911年から41年)で赤字分は本国からの交付金、借入金、公債でまかなわれた」

一方、台湾の場合は、日本の統治が始まってから10年後には、さっさと財政的独立を果たしています。

このように、財政的独立の観点からみれば台湾の方が優秀だったわけですが、日本に対する評価は真逆です。財政的独立を果たしていた台湾が日本統治時代をある程度評価するのに対して、最後まで日本から援助を受けていた韓国が日本に「搾取」されたというわけです。

なにか腑に落ちません。

次に第2次大戦後をみてみましょう。

同じ呉善花さんの本には「1998年までの韓国への日本のODA援助の実績でみると、無償資金援助が239億9400万円、有償資金援助が6455億2700万円、合計で6742億4500万円である。」と書かれています。

また技術援助も続けられており、トータルでは7000億円と呉善花さんは見積もっておられます。

中国に対する3兆円よりは少ないですが、それでも多額の援助です。

一方、日本は60年代から台湾にもODAを実施しているのですが、いろいろ調べても総額はわかりませんでした。おそらくは、韓国に行ったよりもはるかに少額なことは確かでしょう。

ここで私が主張したいことは、日本がいくら多額の援助を行ったところで韓国は1997年の通貨危機に巻き込まれIMFから援助をあおがざるを得なくなったことです。

一方、台湾が経済破綻の危機に巻き込まれた話など聞いたことがありません。

確かに韓国の場合は、朝鮮戦争に巻き込まれた点で台湾よりスタート地点で出遅れた点はありますが、台湾も2.28事件でエリート達が虐殺されたことを考えれば同じようなハンデがあったわけです。

そうすると「経済的独立」という観点からみれば、台湾の方に有効性があったことを否定することはできないでしょう。

最後に現代のことについてです。

グローバル経済時代に韓国と台湾はそれぞれ代表的な企業を輩出しています。

韓国の場合がサムスンで台湾はフォックスコン・テクノロジー・グループです。

渡邊哲也さんは『日本経済の復活術』という本でサムスンの経済モデルのことを「焼き畑工業モデル」と指摘しています。

「ある企業が他社の知的財産権などを侵害するコピー商品を作り、それが実際に訴訟になって解決するまで、いわゆる販売差し止めなりの賠償が確定するまで最短でも2年とか3年という月日がかかります。その間にコピー商品を売り切って利益を上げる。」

一方、台湾のフォックスコンの場合は、組み立て企業に徹していて、他の会社の知的財産を盗むという行為などは行っていません。

そこで、渡邊さんは、両者を比較した場合に排斥されるのはサムスン・モデルだと書かれています。

私もこうやって両国の経済的な歴史を比較して、サムスン・モデルは確実に破綻すると予想しておきます。

ということで、日本統治時代から台湾と韓国を比較した場合、台湾の方にどうしても軍配が上がるのです。