母、旅立ちの記録-4 戒名 | あなたに,も一度恋をする

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ご訪問ありがとうございます。

91歳の認知症・母の介護ブログを綴っています。

心温かな訪問介護ヘルパーさん達のおかげで

母の完全自宅介護が実現して1年半。

このまま自宅で最期を迎えられたらと思っていた矢先、

私の乳がん発覚で、自分の治療と

母の介護との両立のなか、

母が旅立ちました。

その記録を詳細に綴ります。

 

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この記事は下記の記事の続きになっています。

何かのご参考になれれば幸いですが、

長文ですので、読んでいかれるうちに

お疲れになるかもしれません。

ご興味ある方のみ、読み進めてくださいませ。

 

 

 

 

ホールで葬儀社の方と打ち合わせを終え、

私と夫は一旦、家に戻りました。

戻ってすぐにお寺に電話しました。

母が生前、長野の善光寺から頂いた

『紫雲』の2文字を、

戒名に入れて頂けないかをお願いしたのです。

菩提寺にこんなご無理を

申し上げてよいのかと思いつつ、

これは母の願いでしたから。

 

母がまだ70代だった頃、

友人と長野へ旅行に行き、

善光寺に行って、ご戒名として、

漢字2文字を頂いてきました。

一緒に旅行に行った友人達も

同様に戒名を貰っています。

そのなかで、母がもらった名前が

一番素敵だと言われたそうで、

母はそれを嬉しそうに話していました。

 

この話を電話でお伝えすると、

お寺さんから、

「善光寺から戒名を与えらえたのが、

事実かどうかの確認をしたいので

その書状を今からFAXで送ってほしい。」

と言われ、

一旦電話を切って、送信しました。

 

 

この後、ご住職様からじきじきに

お電話がかかってきました。

 

「FAX拝見しました。

ただ、この『紫雲』なんですが、

こちらの寺は曹洞宗で、

善光寺さんと宗派が違うんですね。

この法名は、

曹洞宗本山に祀っている、

最高位ともいえる

位の高い僧侶の名前と同一になるため、

おつけする事が出来ないのです。」

との事でした。

 

「ですが、

この2文字のどちらかの文字を

お母さまの戒名につけさせて頂き、

お母さまにふさわしいものとなるように

考えたいと思います。

それでよろしいですか?」

と、ありがたいご提案を頂いたのです。

 

母にお願いする戒名は、

父と同じで漢字4文字。

最後の『信女』を入れると

合計6文字になります。

「戒名につけて欲しい文字を希望すると、

授与料金が跳ね上がるよ。」と

どこかで言われた記憶があったので、

いったい幾らになるのか、

正直ビクついていましたが、

このお寺では、

一番位の低い(?)

『信女』や『信士』の戒名は、

お代は頂戴してないという言う事を聞き、

ほっと胸をなでおろしました。

 

最近出て来た”お坊さん派遣”でも、

戒名代金はお経とは別に

要求されるみたいですし。

 

ちなみに、

私が以前、東京で勤めていた

広告代理店の社長のお父様が

お亡くなりになった時、

葬儀を行った麻布にある古いお寺で
(どこかわかっちゃうかな。。。)

戒名として頂いた一番位の高い、

『院居士』のご戒名代

なんと、

¥3,000,000-!

30万じゃありません!

300万ですよ!

しつこいですけど、お経代入ってません。

戒名だけにかかったお代です。

(といっても、そのお父様、

誰もが知る石油会社の会長様でしたが。。。

お寺さん、足元みてますわ~!)

 

今回の私のブログを

読んでくださってる方のなかには、

私が仏教の信徒だと思われてる方が

いらっしゃるかもしれませんが、

私は三途の川や閻魔様の存在などは 

信じていません。

仏教での説法は、どこか子供じみていて…。

そもそも支払う額によって変わる戒名の

位ごとに高貴さが違って、

あの世の行く場所が変わるって、

とてもおかしな話だと思うのです。

 

母は親の風習をならい、

何となく仏教を信じて、

何となく敬虔な檀家となって

仏壇やお寺の行事を大事にしていた。

その事を大事にしたいと思っているのです。

そして母が望んでいたように

仏式での葬儀をしてあげるのが

娘としての最後の務めになります。

 

ちなみに私と夫は無宗教。

自分達が亡くなった際には、

お寺さん不介入で、お経は不要。

戒名なんぞも不要。

坊主丸儲けは、させんぞ!

と思ってます。

葬儀も出来るなら、焼き場の1日葬で

献花だけで済ませようと話しています。

なんなら直葬でも良いと話していますが、

遺族は他にもいるので、

そうそう出来そうもなく…。

 

ま、そのくらい、

私夫婦は仏教の信徒さんからみれば、

不遜な人間ですっ!

 

そして、そんな人間でも、

ご住職さまから頂いた母の戒名と

その由来をお聞きした時、

胸が熱くなったのでした。

 

 

『紫月妙光信女』

ほんのりと人々を明るく照らし、

心に寄り添い優しく包んでくれる人

 

告別式前に

ご住職さまから手渡された母の戒名です。

戒名に希望の『紫』の文字を入れて頂いた事、

このように由来を記してくださった事、

心が癒された思いでした。

そう、母はそんな人だった。 

 

 そしてこの美しい戒名は、

まるでドビュッシーのピアノ曲

≪月の光≫みたいだと思ったものです。

 

このあと、夫に車に乗せてもらい、

私は母の預金のある銀行2行に

母のキャッシュカードを持って、

引き出しに行きました。

葬儀費用の引き出しです。

1日の限度額が

1行当たり50万円ですから

2日にわたって

引き出さなければなりません。

『遺族が亡くなったあと、

金融機関に、死亡はすぐさま伝えるな!』

と言われますが、とても重要です。

 

現在では、金融機関や税務署も

死亡後に本人のキャッシュカードで

限度額一杯の引き出しがあっても

その額が100万~200万円の範囲なら、

名義人の葬儀の領収書がある限り、

本人の必要経費としての出金とみなされ、

贈与としての課税対象には

されないはずです。

(断言はできませんので、

詳しくはご自身でお調べ頂ければと思います。)

 

これは我が家に配達してくれる、

生協の方から聞いた話ですが、

自分の家族が亡くなってすぐ、

銀行に家族の死亡を知らせたそうです。

銀行はそれを受けた直後に口座を凍結。

ここで一切の引き出しが出来なくなりました。

その後の遺産分割協議に時間がかかり、

自分が立て替えた葬儀費用や、

引落し不可になった光熱費などの支払い、

これら全てを立て替えせねばならず、

その手間で、さんざんだったと言ってらした。

 

そして時間は午後3時過ぎ。

葬儀社から送信されたLINE。

これが有難かった。

通夜開始時間・告別式開始時間が

しっかり記されている。

会館への住所や行き道も。

このLINEを親戚・友人・関係者へ一斉転送。

そして次々に届いたLINE返信。

親戚のほとんどが遠方から来るため、

寝泊りの心配はあるでしょうからと、

ホールの2階に泊まって頂く部屋がある事を

電話で伝達。こうして、

葬儀に何人参列するかが把握出来ました。

 

そして、箪笥に大切にしまっていた、

母の葬儀のための2着の着物一式を

ふろしきに包み、

母の使っていたお数珠を持って、

夫とともに、再びホールに向かいました。

 

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追記

今日も長文におつきあい頂きまして

ありがとうございます。

まだまだ続きます。