本性
―――ありふれた人生を僕は探す―――
それは存在に気付かれたくないからで
心に触られたくないというのも確かなこと
わかってももらえやしない気持ちを
曝け出すのは嫌なんだ
君だから大丈夫・・・・・・なんてことはなくて・・・・・・
口で「大丈夫」「全て受け入れるよ」なんて言うことは簡単だ
だけど、実際に僕の全てを受け入れてくれることはない
その気持ちは僕の我儘なんてことは
よくわかってるんだ
それでも、これが本当の僕だから・・・・・・
間違っても受け入れてくれない人に明かしてはいけない
―心の奥底―
きっと君が思っているよりも僕はずっと厄介だ
自我
例え僕が不幸であろうとも君のための幸福を祈ろう
例え僕が偽善者と呼ばれようとも世界に奉仕を続けよう
欲に塗れる人々が増え続け闇に汚染されようとも
欲にも憎しみにも・・・・・・
怒りに呑み込まれ憤りさ え感じても・・・・・・
周りとの違いを感じても・・・・・・
”自我”を持つことで再びエゴという響きを与えられたとしても・・・・・・
親愛なる貴方のために
霞草
何処からともなく溢れてくるこの気持ちは何だろう、
誰かを愛する気持ちだろうか、
誰かを尊ぶ気持ちだろうか、
誰かを慈しむ気持ちだろうか、
いや、そんな綺麗ことぢゃない、もっとおどろおどろしたもので
誰かを憎む気持ちだとか誰かをやっかむ気持ちだとか
尽きない罵詈雑言たちが頭の中で渦巻いている
それでも、瞳からは涙が溢れ
落ちた先には優しげな霞草
儚げにも真っすぐに、あまりにも強く立っているものだから
思わず見とれてしまうほど……
この一輪の花だけがこの感情を無にしてくれる
烏
黒い気高き化身よ
己は堕天使ではなかったのか、
何時何処でそんな慣れ果てた醜い姿になったのだ、
何時かは白い純白のふわり柔らかな羽根で
空を飛ぶことを誓ったのではなかったのか
今や醜き人間どもの栖に巣を喰らい地を這い
邪魔者としてされている
黒き化身よ
己は獣に成り下がったか、
闇から這い上がることで堕天使と
呼ばれるようになったのではなかったのか、
それは魔を祓い黒きを落とすことで
天使と呼べ得るものになるのではなかったのか、
黒き化身
烏よ
己は何時まで地上にいるのだ、
何時まで獣のままでいるのだ、
夜の雑音
―助けて、恐い―
雑音が聴こえない様にと
新しい子守唄を頭の中でリピート する
それでも聴こえる……車と犬の遠吠えが
何の過去もあるはずないのに
夜のそれはすごく恐くて……
布団の中で蹲る
子守唄が昔、聴こえた悪口に摩り替る
蘇れるほどの鮮明な記憶があるはずもなく
頭の中には罵詈雑言が渦巻いている
誰かが僕を狙っている
きっと、それは……神様を冒瀆し裏切った罪人として……
醜人忘却
誰も僕に触れないで誰も僕のことを見ないで
特に僕が愛する人よ僕のことを忘れてください
触れられたら壊れてしまう見られたら出てきてしまう
僕の心が……僕の闇が……
愛しい君でさえ僕には教えたくないことがある
僕は醜い人間でこんなにも穢れている
僕をジッと見つめないで穢れている左手がばれてしまう
だからほら、手繋ぐ時は何時も右手だろう?
本当は全身真っ黒なのさ
本当は心も煤だらけなんだ
何時死んだって可笑しくない
何時消えたって可笑しくない
君が穢れてしまう前に君が僕に穢される前に
お願いです
僕を殺して下さい
それは君にとって何のことないことかもしれない
それは君にとって残酷で傲慢なことかもしれない
けれど、お願いします
君の……いや、貴方のその手で殺して下さい
貴方に殺してもらえるのなら
今までが幾ら不幸であったって
貴方の手にかかった瞬間全ての思いが消去され
全ての思いが幸福となり僕は……
僕は満足して死ねるんだ
―そして、僕を忘れてください―
大切な人に捧げる唄
大切な人に伝えたい
「こんな僕の傍に居てくれてありがとう」
それは心からの叫び
何時でも優しく見守って
時にはすごい、おどけてみせる
そんな君がとても大好きで大切で・・・
傍に居るだけで心が落ちつく
僕のことを支えてくれる
かなりの甘えん坊だけど
それさえも心に埋るほど
露草
降り続いた雨もやみ
露草の葉からは雫の宝石
そっと突いてやってみれば
涙の様に雫を落とす
それは、気付いてもらえた喜びか
気付かれてし まった哀しみか
判断なんて尽きやしない
ようは価値観の問題だ
雨の日
―雨の日の螺旋階段だとかうさぎの雨宿りだとか―
螺旋階段に響くは風雨の音
キィ…と扉の音がする尋ね者が今日も1匹
静かに獣が階段をのぼる
螺旋階段の先はない
まるで、切り立った崖の様
つまり、臨めるは死というものだけ
1度は恐怖に立ち止まるが好奇心には勝てやしない
1つ、2つと17時の鐘の音が響く
9つ目の鐘が鳴り終わる頃
うさぎはどこにいるのだろうか……