天国からのサプライズ。泣かせないでよ。遺影選びで。 | ダウン症児のママはシンガーソングライター MIMOの「ギフト」な日々

ダウン症児のママはシンガーソングライター MIMOの「ギフト」な日々

ダウン症の愛娘の子育てと、シンガーソングライターとしての音楽活動を楽しんでいます。
みなさんが元気でやさしくなれる情報をお届けいたします!

私の大好きなおとーさんの話。

 

この「おとーさん」とは、

 

うちのパパの父のことだけど、

 

私にとっては、

 

実の父みたいだってことは、

 

こちらに書いてあります。

 

私があなたの「本当に娘」になった日

 

 

 

 

 

あれはおとーさんの葬儀の準備中に、

 

遺影写真を選んでいる時のことだった。

 

 

 

 

 

100歳まで生きるだろうと、

 

ご近所も親戚も疑わないくらい、

 

元気だったおとーさん。

 

しかし亡くなる四年前に、

 

突然不慮の事故に見舞われて、

 

最重度の身体障害者になった。

 

だからまだまだ本人は、

 

元気でいるはずだったのだ。

 

 

 

 

それゆえ、

 

おとーさんは今流行りの、

 

「終活」などはしていなかった。

 

なのでもちろん、

 

自分の「遺影」なんて、

 

準備などしていない。

 

必然的に、

 

私たち子供夫婦が選ぶことになった。

 

 

 

 

でも私たち夫婦には、すでに、

 

「もうあれしかないよね」という、

 

とっておきの一枚があった。

 

それはおとーさんの、

 

障害者手帳のために選び抜いた、

 

おとーさん史上、

 

最高の笑顔の写真だった。

 

それがこれ。

 

 

ね。

 

なっかなかイイ表情でしょ?

 

 

 

 

この写真をプリントアウトし、

 

葬儀屋さんとの打ち合わせに持参した。

 

しかし葬儀屋さんはこう言った。

 

 

 

 

 

「いやいやいや!

 

 このトリミングしたアップの顔だと、

 

 遺影全体が顔になって、

 

 ギョっとなりますよ!

 

 もうちょっとバストアップというか、

 

 引きのデータありませんか?」

 

 

 

 

 

家に帰ってから、

 

パパのWindowsに保存されていた、

 

この写真の元データを探した。

 

しかし。

 

しまった‥‥。

 

この写真の背景はどんなだったっけ?

 

トリミングしてしまったデータが、

 

誤って上書きされてしまったまま、

 

保存されていた。

 

うぅっ‥‥私としたことが‥‥

 

なんという失態‥‥。

 

 

 

 

いや、デジカメのデータは、

 

パパのWindowsと、

 

私のMacどちらにも、

 

保存されていたはず。

 

諦めてたまるか!

 

複製データでもなんでも、

 

どっかにはあるはずだ!と、

 

二人で血眼になって探してみた。

 

 

 

 

でも、なかなか出てこない。

 

探せど探せど、

 

おとーさんのあの最高の笑顔は、

 

どこにも無かったのだ。

 

 

 

 

 

どこだろう‥‥

 

どこだろう‥‥

 

 

 

 

いろんな写真フォルダを、

 

ひっくり返し、ひっくり返し‥‥。

 

どれくらいの時間探しただろう。

 

 

 

 

「あ!あった!」

 

 

私のMacの写真アプリの中に、

 

おとーさんのあの笑顔があった。

 

そしてMacならきっと、

 

今の私のピンチを救ってくれるはずだ!

 

 

 

案の定あった。

 

 

オリジナルに、

 

戻せるではないか!

 

 

 

そして戻った写真がこちら。

 

 

 

なんと!ビックリ!

 

私と娘のあーちゃんが、

 

おとーさんを、

 

サンドイッチしているではないか!

 

 

 

 

そしてその瞬間に、

 

思わず涙が溢れてしまった‥‥。

 

 

 

 

 

まいったなぁ‥‥

 

おとーさん‥‥

 

天国に行ってからも、

 

こんなサプライズかよ‥‥。

 

 

 

 

 

そっかそっか。

 

あの時は障害者手帳の写真選びで、

 

頭がいっぱいになってしまって、

 

あんまり気に留めてなかったけど。

 

この写真だったんだね‥‥。

 

 

 

 

2014年の父の日に、

 

おとーさんの家にプレゼント持って、

 

会いに行った日だ。

 

 

 

 

 

そっかそっか。

 

おとーさんの生涯最高の笑顔は、

 

私とあーちゃん(ダウン症のある孫)に、

 

挟まれた瞬間だったんだね‥‥

 

 

 

 

しかも、この写真は

 

実の息子(うちのパパ)が、

 

撮ってくれてるんだもんね。

 

 

 

 

おとーさん、この瞬間、

 

間違いなく、

 

幸せだったんだよね‥‥。

 

 

 

 

そして私たち親子は、

 

本当におとーさんに、

 

心から、

 

愛されていたんだよね‥‥。

 

 

 

 

この笑顔がすべてを、

 

物語ってくれてるよ‥‥。

 

 

 

 

 

図らずとも、

 

遺影写真選びで、

 

おとーさんからの、

 

溢れる愛を感じてしまったのだ。

 

 

 

 

ひとしきり泣いた後、

 

この写真をプリントアウトして、

 

葬儀屋さんに飛んで行った。

 

 

 

 

「この写真、

 

 私たちも写っちゃってるけど、

 

 使えますか?」

 

 

 

と聞くと、

 

 

 

「はい!大丈夫ですよ!

 

 ちょっと首から下をすげ替えて、

 

 首をまっすぐに直して、

 

 周りを消してしまえば大丈夫です!」

 

 

 

 

おぉ!やった!やった!

 

頑張りが報われたぁー!

 

 

 

 

「それじゃあ、この写真、

 

 バックはどうしましょうか?」

 

と葬儀屋さんにサンプルを渡された。

 

いろんな背景があったけど、

 

青空のサンプルに目が止まった。

 

 

 

 

「うちのおとーさん、

 

 畑仕事が好きだったけど、

 

 青空バックにするってやっぱり、

 

 遺影だと異例ですかね?」

 

 

 

 

そう葬儀屋さんに私が尋ねた。

 

 

 

「いえいえ、そんなことはないですよ。

 

 このお父様の笑顔だったら

 

 青空バックにガラスで反射して、

 

 とっても爽やかで、

 

 すごくいいと思いますよ。」

 

 

 

 

そうアドバイスをしてくださった。

 

そうやって出来上がった、

 

葬儀屋さん渾身の作品がこれ。

 

 

 

 

昨年はコロナ禍の葬儀だったので、

 

親戚の方々も参列できなかったけど、

 

たった一人おとーさんの弟さんが、

 

安置されていた場所に来てくださった。

 

そしてこの写真を見て、

 

「いい写真だなぁ‥‥」と、

 

涙を流してくれていた。

 

 

 

 

ねえおとーさん、

 

この写真バッチリでしょ?

 

なかなか良い出来でしょ?

 

天国で満足してくれてるかな‥‥。

 

 

 

 

 

ねえおとーさん、

 

私はね、

 

この遺影のおかげでもう、

 

寂しくなくなったんだよ。

 

だってまるで、

 

おとーさんが目の前に、

 

生き返った気がするんだもん。

 

元気な姿になって。

 

 

 

 

親っていいもんだね。

 

いつでも守ってくれてる気がする。

 

 

 

 

 

遺影って、

 

遺された家族のためのもの、

 

なんだよね。

 

あんなカジュアルなスナップ写真が、

 

私にとっては宝物だったよ。

 

ありのまんまの、

 

やさしいおとーさん、

 

そのものだもん。

 

 

 

 

おとーさん、

 

私たち子供たちを、

 

めいっぱい愛してくれて、

 

本当に、本当に、

 

ありがとう‥‥。

 

私たち子供たちは、

 

これからもおとーさんのこと、

 

愛して生きていくからね。

 

どうかずっとずっとずーっと、

 

私たちの頑張る姿、

 

天国から見守っててね。