名古屋城西の丸御蔵城宝館企画展 甲冑武具に行ってきました。これは名古屋城振興協会が所蔵している武具や甲冑の企画展です。今回はあまり見ることができない品もチラホラありました。個人的に印象深いものを紹介します。
なぜ火縄銃で兜を撃つの?
これは黒漆塗椎実形兜(くろうるしぬり しいのみなりかぶと)。よく見ると火縄銃の弾痕の跡があります。合戦で撃たれたわけではなく、兜や甲冑が完成するとあえて火縄銃で撃ってみるのです。
その理由はホントに火縄銃から身を守れるかどうかの実験のため。玉が貫通しない強度があるかどうかを試します。この兜はテストOKだったようです。
収納できる甲冑
これは畳具足(たたみぐそく)といい、コンパクトに収納できる甲冑です。兜をよく見ると提灯みたいに平たくできることがわかります。主に下級武士が着用するもので、藩主(領主)から貸し出されたりもしました。
その理由は甲冑はとても高価なもので、下級武士の中には自前で甲冑を用意できない者も多かったのです。でも合戦に出た時、甲冑を着ているのと着ていない場合は生存率が大きく違うことから、貸出用、つまりレンタル用の甲冑がありました。
子供用の甲冑
色々縅二枚胴童具足(いろいろおどし にまいどう わらべぐそく)子供用の甲冑です。初陣のためかもしくは奉納するためのものかわかりませんが、子どもに高価な甲冑を用意できるなら大名家でもよほど裕福な家だったのではないかと思います。
子どもってすぐ大きくなりますからね。気がつくと着れなくなる…
空気銃
初めて見た気砲。空気銃です。火縄銃は高価な火薬が必要ですが空気銃なら誰でも撃つことができます。壊れた舶来の空気銃を修理した鉄砲鍛冶の国友一貫斎は修理する過程で構造を詳しく学びました。この経験から空気が動力になることに気づいて作り上げたのがこの気砲です。
16人には意味がある!
武具、甲冑というわけではありませんが、徳川十六神将の掛け軸も展示されてました。徳川十六将は、徳川家康に仕え江戸幕府の創立に功績を立てた16人の武将を顕彰した呼称です。
まずは徳川四天王の4人、酒井忠次、本多忠勝、榊原康政、井伊直政。あとのメンバーは以下の通り。
・米津常春
・高木清秀
・内藤正成
・大久保忠世
・大久保忠佐
・蜂屋貞次、または植村家存(いえさだ)
・鳥居元忠
・鳥居忠広
・渡邉守綱
・平岩親吉
・服部正成
・松平康忠または松平家忠
この家臣12人を加えますが、選出される武将には違いがあります。東照大権現の神号を持つ家康を権現様に見立て、家臣を仏教の四天王・十二神将に見立てていると近年では考えられ、4+12の数字を合計して16にしたと考えられています。
人選の基準は不明ですが、大部分は三河時代からの家臣で、領土拡張期に家康と共に戦場で活躍した武功派と呼ばれる武将たちが選ばれています。
破壊力アップの大筒
火縄銃より破壊力を増したのが大筒(おおづつ)。大筒と聞くと台車で移動する大砲みたいなものを思い浮かべますが、これくらいの大きさだと人が抱えて移動できます。実弾も展示されており普通の火縄銃よりもかなり大きいので、破壊力も大きいものなのでしょう。
私の感想
今回の企画展はかなり考え込まれたものだと思いました。その理由が以下の2つです。
(1)珍しい品をいくつも展示している
(2)展示物には簡単ですが解説をほぼ全て付けている
この2点はすごく大事。その理由は普段目にできないものを見るのは、わざわざ足を運ぶ理由にもなりますし、簡単でも解説が付いているとそれが何か分かるからです。
個人的にはオススメの企画展だと思います。
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