人間になったライトとデートしてから数か月後…。
彼とも離婚し、子供の親権も取られてしまったユリは、
ライトと初めて出逢った砂浜に来ていました。
「ここでライトと出逢ったんだよね…。」
「前から聴きたかったんだけど…。」
「ライトが質問なんて珍しいね。なに?」
「ユリは何を求めているの?」
「私?どうして?」
「多くの人は願いが叶えられるっていうと、
お金とか名声とかを求めるものなんだけど…。
ユリは、そういう願いを一度もしたことないでしょう?」
「そういえば、そうだね。」
「最初に会った時から、異性を求めているようだったけど、
本当の願いはどこにあるのかなって思ったんだ。」
「そっか~。ライト、そんな風に思っていたんだねぇ…。
私ね、ライトに話していないことがあるんだ。
ちょっとだけ、私の昔話を聴いてくれる?」
「うん。」
「私、小さい頃、お父さんのことが大好きでね。
学校で体育の先生をしてたんだけど、生徒からも慕われてて、
家にも生徒が遊びに来たり悩みを相談しに来たりして…。
自慢のお父さんだったんだ。
決して裕福ではなかったけれど、お母さんとも仲良しで幸せだった。
いつも三人で手を繋いでお出掛けしてた…。」
目がウルウルとし始めたユリ…。
「話すのがツラかったら話さなくてもいいよ。」
「ううん、大丈夫。ごめんね。ライトには話しておきたくって。」
「うん。」
「お父さんね、ある日急に倒れたの。
私とお母さんはビックリして、大丈夫!?って言ったりしたんだけど…。
どんどん顔が真っ青になっていって…。
お母さんが急いで119番に電話したんだけど、お父さんずっと苦しそうにしてて…。
救急車が着いた時には、もう動かなくなってたの…。
私はどうしたらいいのかわからなくって…。
ただ、お父さんの手を握ってることしか出来なかった…。
お父さんが何かを言いたそうだったんだけど、
声に出すことも出来なかったみたいで…。
私とお母さんも一緒に救急車で病院まで付き添ったけど…。
そのまま死んじゃったんだ…。」
泣きじゃくりながら話すユリに、ライトが優しく声をかけました。
「ユリ…。泣きたい時は泣いたらいいよ。
僕たち今まで何年も一緒にいたのに…。
話せずに、我慢して一人で抱えていたんだね…。」
「まだ続きがあるの…。聴いてくれる?」
「うん。もちろん。」
「お父さんが亡くなってから、お母さんは大変だった。
私はまだ7歳で、手間もお金もかかったと思うんだ。
そんな私をお母さんは一生懸命働いて育ててくれた。
いつも帰ってくるのが遅かったけど、帰ってきた時が凄く嬉しくって。
寂しい時もたくさんあったけど、お母さんがいて幸せだった。
そのお母さんが、ある時から男の人を家に連れてくるようになったの。
たぶんお母さんも寂しかったと思うんだ。
私もお父さんが欲しかったから、男の人が来るのは嬉しかった。
優しい人ばっかりだったしね。
一緒に遊んでもらったりもしたよ。
何より、お母さんが嬉しそうだったから、私も嬉しかった。
でも、一人の男の人と長続きしないんだ。
あの人来なくなったな~って思うと、別の男の人が家に来てた。
それは、たぶん私が原因。
私がいるからお母さんは自由になれないんだな…って。
私が中学三年生の時、お母さんとケンカをしたの。
私がいるから悪いんでしょ!って言ったら、
お母さんも売り言葉に買い言葉で、
あなたのためにお母さんは全てを犠牲にしてるのに!って…。
そのケンカだけが原因じゃなかったんだけど…。
中学校を卒業してから、私はすぐに家を出たんだ。
ネットで知り合った人のところに行って、同棲しながらバイトしたりして…。
それから少ししてだったかな。
お母さんが事故で亡くなったって聴いたのは…。
お母さん、私が出ていってから、ずっと私のことを探してたって…。
そんな時、車で事故を起こして死んじゃったって…。
全部!全部私のせいなんだよ!
お父さんを助けられなかったのも、お母さんを殺してしまったのも…。」
ユリはそこまで話すと、嗚咽しながら体を震わせていました。
しばらくしてから、ライトがそっと声をかけました。
「僕に何が出来るかな…?」
少しして落ち着いたユリがこう言いました。
「ライト!私、お父さんとお母さんに会いたい!
お父さんとお母さんがどう思っていたのか、
私に何を伝えたかったのかが知りたいの!」
「それは…。」
「お願い!
それが解決しないと、私は前に進めないような気がするから…。
生き返らせてなんて言わない!
お父さんとお母さんの霊魂と話がしたいの!」
「………。」
「お願いライト!」
亡くなった両親に会いたいと、ライトにお願いするユリ。
果たしてユリの願いは叶えられるのでしょうか?
次回をお楽しみに♪
★魔法のライトの前作は、以下をご参照下さい。
<第一話>
http://ameblo.jp/mikatakakumei/entry-10733739344.html
<第二話>
http://ameblo.jp/mikatakakumei/entry-10735305409.html
<第三話>
http://ameblo.jp/mikatakakumei/entry-10737884131.html
<第四話>
http://ameblo.jp/mikatakakumei/entry-10739395395.html
<最終話>
http://ameblo.jp/mikatakakumei/entry-10741372640.html
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