結婚生活5年目。

ユリと彼との間には、3歳の子供もいます。

一見、幸せそうに見える家庭なのですが、
ユリの内心には複雑なものがあるようです。



「ねえ、ライト。」


「どうしたの?」


「私、彼と別れようかと思ったりするんだよね…。」


「ユリがそう思うなら、別れてもいいんじゃない?」


「うん。でも、子供がいるから可哀想だとも思うんだよね…。」


「どうして?」


「どうしてって、親が別れたら子供は可愛そうじゃんか!」


「だから、どうして?」


「子供には父親と母親が必要なんだよ!」


「片親でも立派に育つ人は育つし、別の人が育ててもいいんじゃないの?」


「人の世界はそんなに簡単じゃないの!」


「そうかなぁ…。
僕には、ユリが勝手に深く考えて複雑にしているような気がするよ。」


「私はいいけど、子供には苦労させたくないから…。」


「離婚したからって、子供が不幸になるとは限らないよ。
仲の悪い両親の間にいる方が悪影響があるかもしれないし。
可哀想って思うのは、ユリに植え付けられた価値観じゃないのかな。」


「そうかもしれないけど…。
そんな簡単に別れを決断できないよ!」


「結婚って、お互いを縛るためのものじゃないよね?
これをしちゃいけない、こうしないといけないって決めるだけのものなら、
結婚指輪は、ただお互いの自由を奪う手枷足枷だよね。」


「ライトみたいな考え方もあるのかぁ…。
もしかしたら本当に鎖なのかもしれないね。」


「うん。結婚したら他の人を見ちゃいけないとか、ただのエゴだと思うんだよね。
性欲に任せて浮気するのもエゴなんだけど。」


「そしたら、どうしたらいいのかわからなくなっちゃうよ…。」


「ユリは犬が好き?」


「うん、好きだよ。私が小さい頃、家で犬を飼ってたから。」


「犬のどんなところが好き?」


「家に帰ってきたら尻尾を振って喜んでくれるし、
悲しい時はペロペロ舐めにきてくれるし、いつでも傍にいてくれたから…。」


「そっか、ユリの飼っていた犬は、犬としての役割をこなしていたんだね。」


「そりゃあ、犬だからねぇ…。ん?ライトは何が言いたいの?」


「どうして犬を愛して一緒に暮らすことは簡単なのに、
彼と一緒に暮らすのが難しいのかわかる?」


「犬と人間とじゃ違うよ!
犬は何も言わないけど、人はいろいろ言ってくるでしょう?」


「そうだよね。僕もそう思うよ。
犬はユリを変えようとしたりしないんだよね。
そして、ユリも犬はそういうものだと思ってる。
ユリが飼っていた犬に、猫の鳴き真似なんて求めなかったよね?」


「そりゃそうだよ!当たり前じゃんか!」


「じゃあ、どうしてユリは犬と同じようにできないの?」


「どういうこと?」


「犬のように、相手のあるがままを愛するっていうこと。」


「………。」


「ユリは犬がそういうものだと思っているから、あるがままを受け入れてる。
犬もユリに対して文句を言ったりしない。
だから、犬を愛するのは簡単なんじゃないのかな?」


「そうだね…。
人間も犬みたいに真っ直ぐだったらいいんだけどね…。」


「ユリは自分に合う人を追い求めてきたけど…。
どういう人が、自分にピッタリの人だと思う?」


「う~ん…。やっぱり価値観が似ている人かなぁ…。」


「そうだね。価値観が似ているっていうのは大切だよね。
でもね、理想のパートナーってなると、また少し違うと思うんだ。」


「ライトが思ってる理想のパートナーっていうのは何?」


「僕が思う理想の関係は、
お互いを変えようとせず、ありのままを受け入れることが出来る関係かな。」


「ありのまま?」


「うん、彼がユリのことを変えようとしなければ、
ユリにとって彼が最高のパートナーなんだと思う。
そして、ユリが彼のことを変えようとしなければ、
彼にとってユリが最高のパートナーなんじゃないかな?」


「昔、話してくれたテニスのダブルスの話しを思い出した!」


「そんなことも話したことあったね。
彼が何かをしないから、どうこうっていう話じゃなくって、
ユリがどう感じるかっていうのが大切なのかもしれないよ。」


「そっか…。
私が自分の思いにそぐわないから彼がいけないと思っていたけれど…。
彼にとってみたら、私の方が最高のパートナーじゃなかったっていうことだよね。」


「うん。価値観が同じじゃなくっても、
お互いの切り口がピッタリ合えば、ちゃんとハートの形になるんだから。」


「おっ!ライト、ロマンチックなことを言うね!」


「相手の形を変えなくてもいいんだよ。
自分の形を変える方が簡単なんだから。
もしそれも出来ないなら、お互いに相手を変えない人を見つけたらいいんだよ。」


「なるほどね~。わかったよライト!
私は相手の求めているものが大きかった上に、
自分の価値観に捉われて、自分で自分を苦しめていただけみたい。」


「自分の価値観から抜け出せたら、もっと幸せになれるかもしれないね。」


「ライトのおかげで、私も少しずつ変わってきているよ。
本当に少しずつで時間かかってるけど…。ライト、いつもありがとう。」


「ユリの幸せは僕の幸せでもあるからね。
久しぶりに何か願いでも叶えようか?」


「うん!じゃあ、お言葉に甘えて…。
今日一日、ライトが人間になってデートして下さい!」


「ええっ!?」


「ライトは形を変えることはできないの?」


「自分を変えるのはやったことないけど…。」


「なら、やってみよう!」


「ユリはいつも僕が驚くようなお願いをするね。
じゃあ、一日だけ人間になってみるよ。」



ライトがチカチカ点滅すると…。

驚くことに人間の姿になりました。



「ライト!超イケメン!」


「これでいいの?」


「いいよいいよ!すっごくいい!
今からお茶しに行こう!子連れだけどね!」



と、人間になったライトとデートをしに行ったユリ。

ユリの未来には何が待ち構えているのでしょうか?

次回をお楽しみに♪



<第八話へ続く>


【魔法のライト第二章第一話】


【魔法のライト第二章第二話】


【魔法のライト第二章第三話】


【魔法のライト第二章第四話】


【魔法のライト第二章第五話】


【魔法のライト第二章第六話】




★魔法のライトの前作は、以下をご参照下さい。


<第一話>
http://ameblo.jp/mikatakakumei/entry-10733739344.html


<第二話>
http://ameblo.jp/mikatakakumei/entry-10735305409.html


<第三話>
http://ameblo.jp/mikatakakumei/entry-10737884131.html


<第四話>
http://ameblo.jp/mikatakakumei/entry-10739395395.html


<最終話>
http://ameblo.jp/mikatakakumei/entry-10741372640.html



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