石鎚講は石鎚大権現を信仰する人の集まりで「お山講」とも云う
江戸時代に石鉄山別当前神寺の指導により
各地に先達を中心に登拝を目的とする石鎚講が結成されて習俗として定着したらしい
娯楽というものが祭りしか無かった時代
お伊勢参り同様に信仰にかこつけた庶民の楽しみや趣味の役割をも石鎚詣りは果たしていたようです
その石鎚詣りをする為にお金を出し合う互助会としての石鎚講がありました
中国地方から船でやって来る石鎚講の人々は
中山川の河口にある新兵衛の船着き場に接岸して上陸しました
ここには明治24(1891)年11月に備中備後の石鎚講によって立派な常夜灯が寄進されています
常夜灯には石鎚山常夜灯って彫られてます
石鎚山と修験道
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新兵衛に上陸した人々は、おこやまたは大頭を経由して横峰寺へ上がり
星ヶ森峠を越えてモエ坂を下り、虎杖から黒川道で成就に到る道を歩いた
これが小松方面からの石鎚詣りのメインルートでしょうか
西条方面からは黒瀬峠を越えて千野々、河口と辿って今宮道で成就へ
大正14(1925)年に県道に千野々橋、河口橋も架設され、昭和6(1931)年には小松駅から河口間にバス路線が開通しました
えひめの記憶によるとバスの開通は大正14(1925)年7月だけど、河口橋の竣工が9月なのでとりあえず昭和6年説を選択しました
えひめの記憶
河口橋 2017年1月3日撮影
当初はバスの定員も少なかったようですが、全てを歩き通す登拝者は次第に減り、河口が石鎚登山の起点となりました
昭和43(1968)年に下谷山麓に石鎚登山ロープウェイが出来ると河口も廃れてしまい
黒川や今宮集落をはじめロープウェイまでの道中の宿や土産物屋も殆ど無くなってしまいました
ご訪問頂きましてありがとうございます
横峰寺のシャクナゲが満開だったので、前回は虎杖から反対方向へ登り、1回飛ばしてしまいましたが
再び行者堂へ戻って来ました
石鎚古道を歩く②黒川道(虎杖-行者堂)からの続きになります
虎杖(標高250m)から成就社(標高1450m)までの5.6kmを黒川谷の斜面に沿って進む黒川道
下黒川、上黒川の集落跡を過ぎて植林地帯が切れるまでの2kmほどは沢からの高低差もあり
道は荒れてはおらず、植林の作業道などに使われているのか踏み跡もしっかりとしていました
しかし、成就社まで3.5kmの標識を過ぎてしばらくすると植林地帯が終わり、
小さな枯れた沢を渡ると広葉樹の自然林になります
自然林の風景は大変良くなりますが
ここから先は歩く者も殆ど無く、踏み跡も無いので道も判りにくくなります
遡って行くにともなって、道はだんだんと沢に近づき荒れて来ます
既に廃道状態の為、初めての探訪では道の痕跡を探すのがやっとって感じでした
この黒川道のルートを下調べした際に
黒川に沿って谷沿いに遡るルートなので迷う事は無い
いざと言う時は対岸の尾根へ這い上がれば今宮道に出られるなんて…
地図をよく読めないで思ってましたが・・・
完全に舐めてました
谷に流れ込む沢も多く、対岸の急峻な谷を越えて尾根に登るなんてことはスケールが違ってました
ハイキングレベルの私でも行者堂まで辿りつくことが出来たのは
的確なポイントに張られたルート指示のトラロープのお蔭です
しかし、
このトラロープ、色褪せ具合からも判るとおり、
かなり以前に設置されたもので切れたり、切れかかっている箇所もありました
握ったり、体重をかけたりはしない方が賢明かと思います
12:28 D
行者堂を出発すると沢に沿った道になりました
道と言っても正直何処が道なのかよく分かりませんが虎ロープを探して上流へ向かいます
12:33
黒川道は増水すれば川にのまれる程、沢に近い場所にあります
僅かに石積の残る箇所もありますが、トラロープが右へ左へと張り巡らされており
そのロープに倒木が被さったりしております
12:35
写真のように切れたり、切れる寸前のロープもあります
傾斜は緩いがガレ場、ザレ場の連続で足元は危うく、ロープも切れたりしているので道も判りにくい
ただルートは全て左岸(上流に向かって黒川の右側)にあり、黒川の対岸に渡る事は一度も無いので、あくまで左岸を進む事
でもGPSルートログの軌跡は黒川の右岸にも渡っており、右にずれています
ネットで調べると、これは私だけでなく、
調べた限りでは、この黒川谷を歩いた人のログ全て同じ様な結果になっているようです
黒川谷がGPSに影響を与えているのかも知れません
12:38
(ノ゚ρ゚)ノ ォォ こんな場所で砥石を拾ったよw
蔵王権現様がしっかり草刈をしろとおっしゃってるのかも知れません
12:42 E
滝が見える
12:45 F
12:48
九十九折に石積があったようですが殆ど崩れてしまってます
12:46 G
岩肌の岩石を削り石垣を積み上げた隘路
谷は道から深くなり切れ落ちていきます
12:48
標高が急激に上るので黒川は滝になって落ちていきます
12:50 H
黒川の左岸に合流する支流を渡る橋が流されています
谷が深い為でしょうか?GPSログが右にずれています
支流の上流はほぼ滝ですね
橋が無いので水量が多いと渡渉は困難かも
この支流を渡ればもう道に迷う事はありません
12:57 I
滝のように急勾配の斜面を下る雪融け水
黒川の源流の様です
13:00 I
紅葉の時期には景色が素晴らしそう
支流の沢を渡ってからは谷からの取水設備などもあり、道は運搬車も通れるようなしっかりとした道になりますが、とても急勾配な道です
13:02 J
成就社まで1.5km
出発してここまで7.53km歩きました
黒川道は6kmのはずですが、河口-虎杖間800mを差し引いても計算合いません
13:16
石鎚山道と書かれた標識
ロープウェイが出来て既に50年余
この道標はそれより前からあったかも
13:21 K
上流にタンクが見えてる
スキー場の取水施設のようです
黒川道は西条市側のピクニック園地スキー場と旧小松町側の石鎚成就スキー場の間の谷を抜けています
13:25 M
13:25 M
沢の中の作業道を上流へと向かいます
13:31 N
このタンクで作業道は行き止まり
あとは尾根の上まで沢を遡るしかありませんが足元が悪いので断念しました
植林の中を左に行けば黒川道、悪くても今宮道に出るはず
植林の中を等高線に沿って左へと進みます
13:43 O
しばらく進むと古いトラロープの張り巡らされた道に出会いました
その道を登っていると懐かしき標識が現れました
もう逢う事は無いと思っていた遍路道を守る会の標識です
黒川道まだ続いてました
成就まで0.5km 実測250m
13:43 P
あと500mとはいえ勾配はきつく足元は悪い
上から人の声が沢山聞こえてくる
道のまわりはゴミが一杯
このゴミは投げ捨てたゴミというよりもゴミの投棄場所という感じ
正直もうへとへとになってる
限界かも
最後の500メートルを登り続けていると熊笹の道になり、広い道に飛び出しました
13:49 Q
成就社はこの道を右に少し上った所にあるようです
いったい何処に出たのだろうか
ゴールデンウィークでこの道を多くの人が左へと下ってる
13:53 Q
最初は成就社から八丁坂へと下る道かと思いましたがロープウェイにも続く今宮道でした
ここから奥前神寺を経由して下のピクニック園地スキー場までの今宮道は軽トラックも走れそうな整備された広い道になっており、
奥前神寺から分岐してロープウェイの山頂成就駅へと人々は下っているようです
また、この這い上がって来た黒川道を下って第1リフト下のスキー場作業道を右のリフト乗り場の方へ上がって今宮道に合流する事も出来ます
9時40分に黒川道に入り13時49分に此処に這い上がりました
なんと4時間9分もかかってる
標高差は1450-250で1200m
距離は地図上では6kmだけどGPSでは約8km歩いてる
行者堂を探したのと迂回ルートを加えても2kmの差は大きすぎるような気がするけど・・・
多くの登山参拝客が通り過ぎる道端にしゃがみ込んで大きく肩で息をしながら休憩
思っていた以上にきつかったぜよ
息を整えて成就社の鳥居を潜ります
13:55 R
中宮成就社を訪れるのは小学生の時以来です
この鳥居を潜ったのか、それともスキー場の第1リフトに乗って反対側から来たのかは覚えていません
覚えているのはダム沿いの道をマツダのオート三輪で飛び跳ねながら走っていたのと
成就社から八丁坂へ下って行く道、鎖場、天狗岳の北壁をロッククライミングで登っている人を見た事くらいかな
天狗岳の絶壁を覗き込むと足が震えました
13:58 S
三十六王子社第20番稚子宮鈴之巫子王子
14:00
昭和55年11月13日に旅館より出火して成就社礼拝施設は全て類焼しました
旅館等17棟、延べ5482平方メートル全焼
私の記憶では正月に成就社大火があったと思っていましたが間違ってました
後輩が2人、冬休みに成就社でアルバイト中だったので正月の筈なのに変だなぁ~
またまた思い込みでした
成就社は昭和57年7月には復興しました
14:07
虎杖を出発する時点での予定は13時30分でしたが約30分遅れで14時を過ぎました
河口からここまで9.45kmで所要時間は4時間43分(休憩、探索含む)
それにしても想定以上に疲れました
いつもは余して持って帰るペットボトルも既に飲み干しましたが
成就社には飲み物も食堂もある
しかし
財布がない(ヽ'ω`)
いつもの調子で山に登るんだからと重いので(実は重くないけど)
うっかりと車に置いて来てしまいました
お賽銭も出来ません 人生オワタ\(^o^)/
14:08
大きな声では言えませんが・・・
お賽銭無しで
見返遥拝殿より石鎚大権現を拝礼させて頂きました
14:14
ハイキングコースを一回りします
14:14 T
第1リフトの終点から尾根を辿って登って来るとここに出ます
14:15 T
ここから鳥居を潜ればショートカットで真っ直ぐに成就社へ
14:16
ミャア~
イシヅチオモテヤマネコかも
首輪に鈴まで付いてたよ
14:18 U
成就社から西条市方面
14:21
ぐるっとハイキングコースを一回りして戻って来ました
14:22 V
ここが石鎚山頂への成就社からの登山口である神門です
14:23 V
神門を潜れば八丁坂へ下り
山頂まで4kmです
14:26 W
今宮道は確か上り4時間、下り2時間半だったかと思うので、
これから下山します
出来れば前方の方々と一緒にロープウェイに乗りたいものですが
財布がない
まぁ~、時間的に遅くなっていれば別ですが
あっても乗る事は無いでしょうが、乗りたいと思うほど疲れてました
14:31 X
西之川から成就への登山道との合流地点
14:33
今宮道を下ります
14:37 Y
奥前神寺
年中閉鎖されていますがお山開きの10日間は前神寺の御本尊の石鉄蔵王大権現三体が此処でご開帳されます
元々は常住(成就社)にあって石鎚山修験道の根本道場であったそうですが
明治3年の神仏分離令で蔵王権現号を廃し石鉄神社が誕生し、常住は石鎚神社中宮成就社となったそうです
明治8年には前神寺所管の土地建物一切が石鎚神社の所有となって
奈良時代より石鎚山信仰の中心であった別当寺・前神寺は廃寺となり里前神寺は石鎚神社の本社となりました
(現在の口の宮本社の場所には前神寺がありました)
神仏分離令により一時廃寺となった前神寺は明治11年現在の地に前記寺、後に前神寺として旧名に復し石土蔵王権現信仰を継承したそうです
成就社となった常住旧奥前神寺も河口と成就を結ぶ登山道わきに再建されたそうですが
ロープウェイ開通によって登拝の流れが変わった為、昭和45年前神寺奥之院としてここに移ったとの事
14:37 Z
黒川の源流を跨ぐ第1リフト乗り場まで下りて来ました
スキーの折にはいつも立ち寄るこの場所は今宮道の一部でした
2017年1月撮影
2019年2月撮影
時刻は14時37分
成就社を出発してまだ10分程ですが
ここから今宮集落跡を経由して河口まで下ります
GPSトラックログ 今回の移動区間C-Z
今回もお立寄り頂きましてありがとうございました
では、また
次回につづく
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