【ゲーム感想】『クリミナルボーダー 3rd offense』(3) 総括 | 雪花の風、月日の独奏

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主にギャルゲ、時々百合。

『クリミナルボーダー 3rd offense』クリア。

いまだに啞然としてるし、悄然としてる。

感想をうまくまとめられる気がしないので、思ったことをそのまま書き殴っていく。

 

3rdは起承転結でいうところの転。

一番話が大きく動くのがお約束。

感想(1)での、かずき先生が何か大きなことをやるのでは、と予測したけれど、それがこんな形で実現するなんて。

正直当たってほしくなかった。

 

 

 

まさか―――ひながいなくなってしまう、なんて。

 

 

 

 

 

物語中盤で匂わされたのは、辰也くんの危機。

東雲にこきつかわれる、会えない日が続く、連絡が取れなくなる。

そこで見せつけられたのは、クーラーボックスに入れられた謎の「液体」。

この四拍子そろえば何かあるとしか思わない。

 

でも、「それ」がひなだったなんて。

ついさっきまで会話していたのに。

苦笑いも聞こえていたのに。

何の面影もない、形状にすらなっていない「それ」が愛しいあの子です、だなんて。

そんなのあまりにも残酷だ―――。

 

すでに1stでヒロインを務めているとはいえ、シリーズ通してのメインヒロイン(と私は認識している)を殺してしまうような展開にするとは、本当に、本当に、微塵も思ってなかった。

最初はただのドッキリかと思っていた。

プレイしてても、テキストが頭に入ってこずに上滑りしていくだけ。

人間、ショックを受けると現実をうまく認識できなくなるんだということがよく分かった。

 

いざメリルの口から彼女が死んだと知らされても、実感が伴わない。

彼女が殺される場面は直接的には描写されていないから、余計に実感がわかない。

それこそ辰也くんが後に語るように、「今でもひょっこり現れそう」な気がしてしまう。

 

 

 

イッキは、辰也くんと一緒にひなの敵を討つことで、今度こそ本当に境界線を越える。

それでも気は晴れず、鬱屈としたまま。

殺人にまで手を染めたのに、「報復の向こう側にあるであろう何か」という幻想は幻想のまま、何も得ることはできなかった。

ここの彼の心情描写はお見事としか言いようがない。

 

プレイヤーもなまじひなの死を目にしていないから、彼女の不在を消化することができない。

東雲の質の悪い冗談という一縷の望みにかけてしまいたくなる当たり、このシナリオ、意地が悪い。

「物語」なんだし、何か救いの手はないかと思わされてしまう。

全てはライターの手のひらの上。

プレイヤー殺しの異名をとる(と私は勝手に思ってる)かずき先生の本領発揮、って感じ。

 

 

唯一の慰めは共に境界線を侵犯したことで、辰也くんとの絆がさらに深まった、ということだろうか。

ただし、ひなや琴子が語っていた「相棒」とは程遠く、「共犯」という意味でしかないのが悲しいけれど。

 

 

 

でも、ひなの死は話題性を高めるための演出だったのかというと、そうでもなく。

彼女の死は、鋼鉄の女・凛を表舞台にひっぱり出すことにつながった。

というより、この段階までくると、ひなという存在は凛を自らの意思で前線に立たせるための装置として用意されたのだと思えてくる。

そうでもしないと、ハイリスク・ローリターンを嫌がる凛が本気で渦中に飛び込んでくるとは思えない。

歩く城塞・春夏冬凛、恐るべし。

 

3rdでの一番の見どころは、ひなの遺志を受け継ぐと高慢ちきな様子で啖呵を切る凛。

身バレを防ぐために、長い間ひなのことを「あの子」と呼んでいた凛が呼称を「ひな」に戻すシーンには涙を禁じ得ない。

この場面のために、今までいろんなもの積み上げてきたのかと思うと、ホント涙しか出てこないわ。

 

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そんな感じで、メリルがヒロインだったはずの3rd。

気が付いたらひなのことで頭がいっぱいになってしまった。

ものすごいシナリオなんだけど、だからといって後味の悪さはあまり感じられず、何のためにヒロインが殺されなければならなかったのか、物語としてどういう意図があったのかが明白だったため、自分の中では納得の度合いが高め。

さすがかずきふみ先生だなあ、と感嘆のため息しか出てこない。

 

それでも、イチオシの子と二度と会えないのは辛いので、しばらくひなを偲びます……。

ラジオで小波さんが言ってた将来の夢云々のくだりが伏線だったとは……。

これ、最終巻全員生き残ってるんだろうか。

この流れだと全滅してても文句言えないよ……。

 

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<総合>評価 (★:1点、5点満点)

 シナリオ:★★★★★
 登場人物:★★★★★
 システム:★★★☆☆
 ビジュアル:★★★☆☆
 音      楽:★★★★☆

 ひな追悼:★★★★★★★★★★
 総合評価:★★★★☆

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