上り電車この曲が好きで何度も聴いていると、三拍子のピアノの旋律の繰り返しが、実は曲を支えているのだと気付く。波の音のように、静かに永遠に続いていくようだ 。その詩には、故郷 を離れ、新たな出発をと 決意し、上り電車に乗った若い日の私が重なり合う。柔らかい歌声が、どこか懐かしく少し切ない。
しろくろ明るいようで暗い、暗いようで明るい指田さんの詩。白と黒。昼と夜。昼の喧噪には、夜の静寂を。暗闇には、美しい光を。光には、陰影を。 相反するものを映し出す歌声。外を見つめる目は、心の内も見つめている。揺らぐ気持ちに、そっと寄り添ってくれる歌が好き。
「嘘月」眩い陽光の下、ふと影に気づく。影は夕べの約束を思い出させる。秘密だよ。泣いていい場所はここ。僕の体の奥の奥から振り絞って本当の本当を叫んでいいのはここ。闇夜と僕の約束。ここでしか駄目だよ。誰にも気付かれないよう。やがて夜が明けたら、僕はまたピエロの真似をするのだよ。