今月の末頃に久しぶりにジェニファーと会うことになった。
会ったとき、きっとまた「ダーティー・ジョーク聞かせて」って言われるから、英語のジョークとか覚えないとなあ、なんて思いながら出勤をしていたら、イーオンのチラシを受け取った。
それを見ながら「俺、英会話学校に入ろうかな?」って思った。


それで、イーオンに行って話を聞いた。
好きなときに行って好きなだけ英会話をして帰るっていうのが理想だったんだけど、そういうわけにはいかないらしい。
話を聞いて、仕事の帰りに1週間に50分だけ英会話学校に通うってのもありかなって思った。
それでも年間で17万円近くかかる。
迷ったけれど、結局、契約してしまった。
これから仕事も忙しくなるのに、俺はどうしてこう自分を追い詰めるのかなあって自覚しながらクレジットカードを出した。


その帰り道、本屋で久しぶりに雑誌「ロッキング・オン11月号」を買った。
思えば、中学時代に「ロック・ミュージック進化論」を買ってからずっと、俺は渋谷陽一派だった。彼に洗脳されたと言ってもいい。
だから、なのだろうか。
俺好みの編集で、トイ・ドールズとの爆飲会や麻生太郎の「とてつもない日本」の批評など、半端な記事でもたまらなくいい。
渋松対談も相変わらず面白いし(ここだけは買わなくても毎号、読んでいる)、「音楽の歌唱テストのとき、笑いそうになるのですが、笑わないおまじないを教えてください」という中学生の悩みに「面白いのは、君がその悩みを解決するのに、おまじないを求めていることだ」といった回答にもつい笑ってしまう。
メインを飾るレディオ・ヘッドの「OK COMPUTER」を始め、ポリー・ポールズマのセカンドアルバム、ドロップキック・マーフィーズなどなど、俺にも聴きたい曲がまだこんなにあるのかって思った。


週末の3連休には何の予定も入れなかった。
それでも土曜日の夜の9時から劇団の話し合いがあって出かけていった。
また劇から2人いなくなるのだという。
だから脚本を書き直してくれ、ということだった。
あまりにも当たり前の顔で言われたので、頭に来た。
「めんどくせえなあ。」
ストーリーの背骨になるカップルが消えて、OL2人(さらに子供時代のOLとして中学生2人)とヤンキー上がりの社長のグループ4人の設定で話を作らなくてはならない。
「めんどくせえなあ。」
だんだんとイラついてきた。


舞台はカラオケボックス。
最初はオタクの部屋3人、カップルの部屋2人、OLの部屋2人でドラマを作ってくれと言われていたのだ。
それがオタクの部屋が2人になって、書き直し。その後、オタクがいなくなって、書き直し。それで今回、カップルがいなくなって、OLの子供時代を作れと言われて本当にうんざりした。

なんで俺はこんなことを引き受けて、こんな話し合いの場にいなくちゃいけないんだろうと思った。

でも結局のところ、僕が作らざるを得ないんだし、うんざりして何もしなければ、自分にとってもマイナスになることはよくわかっているんだけど、なかなか感情というのは理屈どおりには動かない。


午前1時頃に話し合いを終えた。
頭に来ていたので、フォルティスで夜の街を走った。
ロッキング・オンの付録に付いていたCDをかけて走る。
いつも劇団に行くと、練習中はジャニーズの音楽ばかりで、もうそれだけで俺は場違いなところに来たって感じを受けていたことを思い出した。

ああ、もうやだなあって思った。


Ripchordの「Lock Up Your Daughters (And Throw Away The Key)」なんか聴いて走っていると、ついついアクセルを踏みすぎてしまい「ああ、こんな気持ち、うまく言えたことがない…」って思う。


リップコード

だんだんと、このフォルティスの能力がわかってきた。
俺の運転能力よりもずっと優れた車なのだということもわかってきた。
高速のままカーブに飛び込んでも、かなりなんとかしてくれる。
走っているうちに気分も落ち着いてきたので、家に帰ってビールを飲んで寝た。


翌日から脚本を作ろうかと思ったんだけど、うんざりした気分になって手につかなかった。
桃太郎電鉄をしばらくやって、ネット麻雀もして、だらだらと無駄な時間を過ごす。
夕方にビールを飲んで、どのくらいムダに寝られるものか挑戦をしてみたら、日曜日の午後6時から翌朝11時まで寝ていて、自己嫌悪に陥った。


それから起きて、イーオンでもらったワークブックを解いていく。
思ったよりもできるので安心した。
来月に受ける予定の乙四危険物取扱者の問題集もパラパラと眺める。
まだちゃんと勉強を始めていないけれど、印象ではアロマテラピーアドバイザーと同じくらいの難易度だと思った。


テレビで何度もやっていたので、ジュード・ロウ主演の映画「スターリングラード」を何度も観た。


スターリングラード

ソ連兵が全員、英語を話すことだけは違和感を感じるが、素晴らしい映画で戦争の空しさと哀しさ、そしてヒロイズムとストイックさを感じる映画だ。


俺もちゃんと目標を定めて、それに向けてしっかりと歩まないといけないんだよなあって思ったけれど、なかなかそういう訳にもいかない。
未だに、やる気が湧かないし。人生、迷ってばかりって感じだ。

以前東京の職場で一緒に働いていた弁護士が、僕の今の職場に顔を出すというので、何日も前から楽しみにしていた。
その約束の日は朝から彼からの連絡を待っていた。
連絡が来次第、今まで取っていなかった夏休みを半日取る準備もしていた。


ところがその日、彼からは連絡も来ないし、実際にも来ないのであきらめて、5時30分から長野グランドシネマで上映する「ワルボロ」を観に行くことにした。


ワルボロ

昨年ゲッツ板谷の原作を読んで、映画になったら絶対に観に行こうって思っていたのだ。


ワルボロ

仕事は5時15分まであるので、5時30分の上映時間に間に合わせるのは結構、大変なことだ。
15分のチャイムと同時に階段を駆け下り、職場の前からタクシーに乗り、できるだけ長野グランドシネマの近くまで行ってもらって、最後は走った。
それで上映時間にはギリギリ間に合った。


映画には善し悪しとは関係がなく、思いを込められる映画というものがある。


俺にとってはコッポラの「アウトサイダー」や「ランブル・フィッシュ」、チャーリー・シーンのB級映画である「ザ・チェイス」、チョウ・ユンファの「男たちの挽歌」シリーズ、タランティーノの「トゥルー・ロマンス」などがそれに当たる。


アウトサイダー

ランブルフィッシュ3

チェイス


男たちの挽歌

男たちの挽歌2

トゥルーロマンス

「ワルボロ」もそんな映画だ。決して名作にはなり得ないけれど「そうなんだよ。俺もそう言いたかった。そうなりたかったんだ」って思える映画なのだ。


主役の松田翔太もいいが、準主役のヤッコ役の福士誠治の演技が素晴らしい。
どんなに裏切られても彼だけは仲間を信じ、彼の演技にはどんな戦いの前でも「恐怖心」が見事にない。


俺もそうだが、男の見苦しさのほとんどは、この「恐怖心」が招いていることが多い。
現実には「恐怖心」があるために、社会との摩擦を避けられる面も多いのだが、これがない人間の生き方はとてもシンプルで、俺は男としてこういう人間に単純に憧れる。


B級だけど、この映画は褒めたい。
「いい映画だから、ヤッコ役の奴の演技がいいから、見ろ!」とどうしても言いたくなる。


会う予定だった弁護士は、その日、僕が帰った後に職場に来てくれたらしい。
机に名刺がおいてあり、翌朝それを見た俺は「なんてこった」と思った。


お詫びのメールを書いたら、「6階に行ってみたら「もう帰った」といわれ「ああ、もうキャバクラに行かれたのか…。」と思い、ショックのあまりしばし呆然としてしまいました(笑)。 今回は残念でしたが、またの機会は是非!」っていう返事が来た。
まあ仕方がないことだ。


カズオ・イシグロの「日の名残り」(早川書房)を読んだ。


日の名残り

人生のすべてをイギリスの「執事」として生きることに捧げてきた男に、アメリカ人の新しい主人が2週間のイギリス旅行を薦めることから話は始まる。


人生を賭けるに値するものは「仕事」なのだろうか。それとも「人生を楽しむこと」が重要なのだろうか。
「食堂に虎がいたのに何事もなかったかのように撃ち殺し、主人には「万事順調です」」と言えるようなそんな完璧な執事に彼はなりたいと思っているのだ。


最初は退屈さもあって読むのがつらいが、この不器用で、でも頑ななまでに美しい生き方しかできない執事を僕もじわじわと気に入ってきて、最後は彼と同じ痛みと悲しみを俺も感じた。


いい本だとは思うけれど、派手さが全くないので、人には薦めづらい。


アントニオ・バンデラスの映画「レッスン!」も観た。


レッスン

不良少年の溜まり場のようなニューヨークの公立高校で、社交ダンスを教えようとするダンス教室の先生の物語だ。
この映画のなかには、つらい生活を送らざるを得ない、多くの高校生の姿が描かれている。


一時期、日本に外国スタイルのストリップが流行ったことがあった。


ホールに2本、ポールが立っていて、裸のお嬢さん達がクルクルとそのポールを回るっていうのが基本だ。


あれは巣鴨のストリップだったと思う。


今ではもう跡形もないが、そこにも外国スタイルのストリップがあり、僕たちは1人目のダンサーに5000円ほどのチップを全てあげてしまった。


2人目のダンサーは黒人だった。
明らかに1人目よりも優れた身のこなしとダンスをしていたのだが、僕らはもう手持ちのチップがなく、ただ彼女を見守っていた。


自分のダンスの時間が終わってから彼女は服を着てステージを降りると、チップがもらえなかったのがショックだったのか、手で顔を覆って静かに泣き始めた。


その泣き方が、まるで人生の全てを奪われたかのような泣き方で、僕は胸が痛くなった。


「レッスン!」を観ながら思い出したのは、その泣いていた彼女のことだった。
彼女にもこんな過去があったのだろうか、と思う。


見所があるわけでもないし大した映画じゃないけれど、僕は見終わったあといろいろと考えさせられて、少し悲しい気分になった。


フォルティスが26日にようやく届いた。


仕事を半日休んで受け取りに行き、そのまま洗車場に行ってブリスというコーティング剤を塗った。

その日は仕事が忙しくて、塗り終わるとすぐに、仕事に戻らなくてはならなかった。
そんなわけで結局、僕は最後の夏休みを、半分は仕事をしながら消化した。


週末には母を連れて土岐市までドライブに行ってきた。


車を買ったという話を知り合いのホステスにしたら「じゃあ、私はあなたのフォルティスで最初にカーセックスした女になってあげる」って言われた。


「汚れるのやだからいい」って俺は答えて、ふと「ああ、俺ってかっこいい」って思った。

10月22日から24日までの3連休。昔、同じ職場で働いていたTどんとOが福島県から長野に旅行に来た。
新車のギャラン・フォルティスで旅行に行くはずだったんだけど、間に合わなかったので、三菱の販売店に前のギャランを代車として出してもらい、それで旅行に行くことになった。
代車のギャランは、かなりいい車だった。
カーナビを変えて、音響を良くすれば、もう俺このギャランでいいやって思うくらい、走りは安定感があって素晴らしかった。


【1日目】
先に長野駅に着いたのはOだった。Tどんは宿舎の草刈りがあるとかで遅れた。
Oを新幹線の改札口で出迎える予定が、渋滞に巻き込まれて遅れてしまい、3分ほど僕が遅れた。
それで長野駅の東口の出口あたりで会った。
「何をしてんだよ。」
「悪かったな。」
それからそば屋に行って天ぷらそばを食べた。
会うのは随分と久しぶりだったけれど、「俺、ちょー腹空いている。肉を食わせろ」と文句を言っている彼を見ると、以前とあまり変わりがないようだった。


2時過ぎに長野駅に着いたTどんを、Oと2人で迎えに行った。
赤いTシャツを着たTどんは遠くからでも目立っていた。
「久しぶり。」
Tどんはあかべこサブレと日本酒をお土産に持ってきてくれた。


とりあえず小川村にある「小川の庄、おやき村」に行く。



小川の庄
http://www.ogawanosho.com/

ちょうどおやき村に行く道が道路工事中だったので迂回路を使ったのだが、狭く険しい道で運転が大変だった。
到着して、何をどう注文したらいいのかさっぱりわからないので、店のおばばに聞くと、随分とひどい態度で、「焼きのおやきならあっちだ!ここは蒸しだけだ!」と言う。
「なんなんだろうなあ、あの態度は」と文句を言いながら奥に行くといろりがあり、そこで(たぶん)焼きたてのおやきを売ってくれる。
おやきを売ってくれた親父は「味噌汁も勝手に飲んでくれればいい」というのだけれど、味噌汁が入っているはずの鍋はほとんどカラで、「お茶も自分で淹れて飲んでくれ」と言われたんだけど、ほとんどお湯がなかった。
あまりにひどいので、3人で笑ってしまった。


それから、今日の宿泊地である大町に行った。
泊まったのは木崎湖の湖畔にある「割烹旅館 だるまや本店」という旅館だった。

だるまや本店
http://www.darumaya-honten.com/
部屋は3階で、僕たちの分だけで20畳以上あった。
あまりに広くて笑ってしまう。
他に客はいなくて、僕たちの貸し切りのようだった。


コンビニでビールを買い、それから「ゆーぷる木崎湖」という温泉施設に行き、風呂に入った。
ゆーぷる木崎湖
http://www.yupuru.co.jp/

ちょっと熱めの湯だったが、気持ちよかった。


夕食は豪華だったが、品々のなかにブラックバスの刺身があって驚いた。
俺とTどんは完食したが、Oはブラックバスはなかなか食べられないようだった。
ブラックバスはスズキ科の魚で、食べられる魚なのだという。
刺身は歯ごたえが強く、僕には(Oはそんなことない、と言うけれど)鶏のささみのような感覚だった。


テレビにPS2を接続できたので、夜はビールを大量にのみ、駄菓子を食べながら、深夜の1時過ぎまで桃太郎電鉄USAをやっていた。


僕はハリケーンボンビーに物件を吹き飛ばされて、最下位。
Oがビギナーズラックで1位だった。
Tどんは楽勝ペースだったのに(俺達は盛大にブーイングをしていた)気がつかないうちにOに逆転されていて、悔しがっていた。


【2日目】
朝食は7時30分にとった。
朝から豪華な食事で、ついつい食べ過ぎてしまう。


8時過ぎに木崎湖畔のボート屋に行き、ワカサギ釣りに行った。

ワカサギ釣り
3本サオを貸してもらったのだが、ワカサギ釣りの場所までボートで行ってから、僕のサオのリールが壊れていることに気がついた。
それで僕は早々に諦めて本を読み始めた。


2人は釣り始めたが、サオに仕掛けが絡まったり、リールに糸が絡んだり、とにかくやたらと壊れるので、釣りをしている時間よりもサオいじりの時間の方が長かったような気がする。


まわりのボートで、小さな子が何匹もワカサギを釣り上げて歓声を上げるなか、俺達は「ああ、糸が絡まった」「リールってどういう状態が正しいんですか」などと虚しい会話をし、たまに釣れても「ワカサギが針から外れない。外してくださいよ」「ふざけるな。自分で外せ」などという心温まる会話がほとんどを占めていた。


大きなクーラーボックスに、わずかばかりのワカサギを入れてボート屋に帰ってくると、ボート屋の親父に笑われた。
でも俺達が泊まった「だるまや本店」の主人は実は漁協などのとても偉い人だったらしく、あの店の紹介だからとブラックバスに食いちぎられた仕掛け代などは、タダにしてくれた。


釣れたわずかばかりのワカサギを持って、「だるまや本店」に行くと、おばちゃんが「普段はこんなことしないのよ」などと言いながらも、フライにしてくれる。
「あれ、増えてる?」
「あまりに少なかったから増やしておきました。」
俺達はフライに抹茶塩をつけて、おいしくワカサギを食べた。
帰り際に、「いらないって言われたけど無料ってわけにもいかないだろ」って3人で話し合って、千円だけ渡して旅館を出た。
駐車場から車を移動していたら、旅館の主人がわざわざ送りに来てくれた。
「飲んでください」とお茶を3缶もくれた。
「だるまや本店」を去るときには、おばちゃんも旅館の前で手を振ってくれた。
「本当に親切でいい人達だったなあ」と車のなかで俺達は話していた。


魚の生臭さを消すためと、木崎湖が意外と暑くて汗臭くなったので、大町温泉郷に行き「薬師の湯」に入った。



大町温泉郷
http://www.joy.hi-ho.ne.jp/ma0011/T-Nagano75.htm

ここの露天風呂に入って寝ていると、本当に幸せな気分になる。
Oはこの温泉が気に入ったらしく、なかなか出てこなかったので、その間Tどんと僕はソフトクリームを食べながら彼が出てくるのを待っていた。


それから扇沢に行き、トロリーバスに乗って黒部ダムに行く。
僕はトロリーバスのなかで爆睡してしまい、気がついたら黒部ダムだった。
黒部ダムまで少し歩かなければならない。
3人でムダ話をしていたら、トロリーバスのなかに切符を落とした人がいた、という放送が入った。駅長室に来い、という。
ちょっと気になって探してみたら、僕の切符がなかったので、駅長室まで取りに行った。
いろいろと聞かれたけど、TどんやOの番号と見比べて、僕のだとわかって、最終的には返してもらった。
「何やってるんですか」「うるせえよ!」「切符なくしたって放送が入ったからどんな間抜けな奴かと思ってたのに」「うるせえよ!」俺も心からの反省の言葉を2人に伝えた。


黒部ダムに来るのも久しぶりだ。


黒部ダム

http://www.kurobe-dam.com/
黒部ダムから下に見える放水口を見るとその圧倒的な高さに腰が引ける。
「下を見ているとキンタマが縮む」という意味のことをOは何度も言っていた。
俺達は黒部ダムをうろうろとした後、「黒部ダム限定」だという木イチゴのソフトクリームを食べ、それからまたトロリーバスに乗って扇沢まで戻ってきた。
今回もトロリーバスのなかで俺は爆睡した。
でもチケットはなくさなかった(もう必要ないけれど)。
いくつになっても人は進歩するものだ。


それから白馬のジャンプ台に行った。



ジャンプ台
http://www.hakubamura.net/jump.htm

ちょうどオリンピック10周年のイベントのあとで、ジャンプ台の上には登れなかった。
着地地点の下まで行ったら、オリンピックのときの最終ジャンパーの船木がいて、Oは原田の真似をして「船木~」なんて言っていたけど、もちろん俺達のことなんか気にも留めていなかった。
ファンにサインをしたり、船木も忙しそうだった。


それから俺達はコンビニで大量の駄菓子とビールを買って、2日目の宿泊地である白馬の「ステラ・ベル」というホテルに行った。



ステラベル
http://www.stelle.co.jp/index.htm

夕食は特別なコースにしてもらっていたので、かなり立派な料理だった。
俺は片っ端から素早く食べていたけれど、Oは「俺はゆっくり食べるんだ」と時間をかけて食べていた。
「医者に言われたんだよ。ゆっくり食べろって。で、腹八分目にしろって。」
Oはそう言うけれど、でも絶対、満腹するまで、こいつは食っていた。
ご飯のおかわりまでしてるんだもん。
「くだらねえこと言ってんじゃねえよ」って俺は思った。


ステラ・ベルには味噌樽風呂というのがあって、俺とOはそれに入りに行った。
ちょっと熱かったけれど、なかなか面白かった。
その後、ステラ・ベルの地下1階にある温泉にも入りに行った。
ちょっとぬるめでいいお湯だった。


この日も大量のビールを飲み、駄菓子を食べながら、桃太郎電鉄USAの続きをした。
12時過ぎまで戦って、Tどんの執拗な攻撃を避けながら、僕が昨日から逆転して1位になった。
「正義は必ず勝つんだな」と思った。


【3日目】
ステラ・ベルの朝食はおしゃれな洋食だった。
普通のパンもクルミパンも美味しかった。
TどんとOはパンもおかわりしていた。
「昨日、腹八分目とか言ってなかったっけ?」
「だから俺は腹八分目にしているんだ。」
絶対、満腹しているはずなのに、Oはそう言い張る。


朝食後、荷物の整理をして白馬駅に行き、OとTどんは帰りの切符の手配をする。
長野からの帰りの電車はほとんど満席のようだ。
「指定席が取れなかった。一応、自由席は買いました」と悲しそうにTどんは言った。
「混んでたから切符買ってない。でも、どうでもいいや。立ってても平気だから」とOは言う。


それから白馬の八方尾根に行く。駐車場には横柄で不親切な親父が待っていて、駐車場料金の500円を取られる。


「今回の旅行でホスピタリティを感じたのは「だるまや本店」だけだ」ってOが怒る。
「まあな」俺も今までも白馬や栂池で、たまにこういうサービス精神のかけらもないような奴に会うことがあった。本当に腹立たしい。


八方尾根ではゴンドラの「アダム」、アルペンクワッドリフト、グラートクワッドリフトを乗り継ぐ。八方ゴンドラ

http://www.hakuba-happo.or.jp/trek-motiaruki.pdf

Tシャツのままアルペンクワッドリフトに乗ろうとしたTどんは、見知らぬ人から「上は寒いですよ」って言われて笑われていたので、長袖のラガーシャツを着ていた俺もちょっと笑ってやる。
アルペンクワッドリフトの途中からガスにまかれ、周囲はほとんど見えなくなる。


その上のグラートクワッドリフトでは、半袖のシャツしか着ていないOもTどんも「寒い、寒い」と言い続けていた。
俺には2人が北アルプスの自然を肌でも感じて満喫しているように見えた。


グラートクワッドリフトから第一ケルンまで2分ほどだというので歩く。
久しぶりの山歩きだったが、歩きながら昔の記憶がよみがえり、だんだんと楽しくなってきた。
大学時代はしょっちゅう山に登っていたのだ。
第1ケルンまでの道が途中でわからなくなり、ガスのなかで少し道に迷ったときも俺は楽しかった。
「ああ、山登りしてるなあ」って気分だった。
山登りと道を見失うのは世間の人が思うよりも実際にはとても仲良しなのだ。


結局、第一ケルンを発見したのは、一番動かなかったはずのTどんだった。
見つかってよかった。
そこからグラートクワッドリフト乗り場までの帰り道、どこで迷ったのかもわかった。
その分岐点を見ながら道を間違えても無理はない、と思った。
間違えた道の方が、整備されていたからだ。


下界に降りて、TどんとOがトイレに行っている間に、僕はゴンドラの受付の女の子に、白馬で一番うまいそば屋と言われている「林檎舎」までの道順を聞いた。
すごくきれいで親切な女の子だったので、結婚を申し込みたくなった。


「林檎舎」では、友達からすすめられた「そば三昧」を注文して食べたのだが、あまりにうまくて3人とも追加でもう一枚ずつそばを頼んだ。


林檎舎

http://homepage2.nifty.com/ringoya/framepage1.html
「そば三昧」はおしぼりそばと、普通のそばつゆとくるみだれを一度に頼めるセットなのだが、本当にうまい。
「僕は去年食べた戸隠のそば屋よりもこっちの方がおいしかったです」とTどんは言っていた。


それから長野に帰る途中に「ぽかぽからんど美麻」で、とても快適な温泉に入って、ゆったりとした気分になった。今回は温泉だけはたっぷりと入った気がする。



ぽかぽからんど
http://www.pokamiasa.sakura.ne.jp/

それから川中島古戦場に行った。


川中島古戦場

古戦場にある神社に寄って、ソフトクリームを食べて、長野駅に戻ってきた。


改札口で2人を見送ったあと、2人とも新幹線あさまの自由席に座れたと、メールが来て安心した。
そのメールに返事を書いて、家に帰ったら自分が思ったより疲れていて驚いた。


それですぐにそのまま昼寝をした。
寝ながら、こんな旅行で疲れるなんて、もう年なんだなって思った。

月曜日と火曜日は、飯綱高原で研修があった。
今までの人生を見直し、これからの人生の設計をするという研修だったが、僕にとってはあまり意味のない研修だった。
なぜ、こんな研修を必須にすべきだと会社が判断したのか理解に苦しむ。


せっかく飯綱高原まで来たのだからと、夜は家には帰らず、そのまま戸隠の民宿に行って泊まった。
月曜日の夜だったので他に泊まり客がいなくて、僕は豪華な食事を一人で食べた。
量が多くて、食べ終わるのに1時間近くかかった。
素晴らしかったのは料理だけで、あとのサービスは何もなく、湿気を吸って重くなったふとんも自分で敷いて寝た。


火曜日の研修の最後には、将来の理想の一日を書かなくてはならなくて、皆が仕事で成功したことを書いているなか、僕一人は「天蓋付きのベッドで目覚め、18歳のマレーシア人の妻が、オレンジジュースを持ってきてくれる。新聞を読みながら、株式欄に目を通し「また儲かってしまったな」と独り言を言う」という文章を書いていた。
まさか、みんなの前で読まされるとは思わなかった。
もういいや。どうでも。


水曜日の夜は新しい脚本(7冊目!)を持って、劇団に行った。
以前から気になっていたところに大きく手を入れたら、話がだいぶしまってきた。
今まで脇役のようだった元ヤン社長が、主役級になって、ステージ上の位置までセンターになった。
「こんなんでいいのかな。」と思っていたら、やはり今まで主役級だったカップルの女性役の人から「私はどういう性格なのかわかりづらい。検討してほしい。」とクレームがついた。
確かに、ストーリーの上で、ちょっと滑っている感じもする。
もう少し深く考えないとな、と思う。
劇団に中学生が2人入ることになり、彼女たちの出番も作ってほしいと頼まれる。
2週間くらいかけて、もう一度作り直すことに決めた。


金曜日の夜は係の飲み会だったのだが中座して、友達と、スナックで働いている友達の誕生パーティーに行った。
この日のために、僕は花屋に花を配達するように頼んでいた。
「私チーママになったのに、花が少なかったらかわいそうでしょ。立場ないし。だから、花を店に届けてよ。住所?そんなの知らなくていい。西友の花屋に行って、うちの店の名前を言えば届けてもらえるから。わかった?」って言われていたからだ。


12時過ぎまで飲んで、帰りに近くのゲームショップでPS2を買って帰ってきた。


週末は代車のミラージュに乗って実家にかえったのだが、ほとんど寝て暮らしていた。
メダカの水槽の掃除だけはした。


怪しい貝が繁殖していて、20匹近くいたメダカが1匹しか生き残っていなかった。
貝をすべて退治して、水槽の石もよく洗った。


実家で寝転がりながらカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」(早川書房)を読み終わった。


わたしを離さないで

抑制がきいていて無駄がない優れた小説で、読み終わってからもその衝撃の強さに胃が痛むほどだった。
ひとつひとつの話はたわいもない話だ。
読んでいる間に、僕がイメージしていたのは、雪が降っている光景だった。
雪が降り積もって普段とまったく違う世界を目の前に広げるように、この小説はゆっくりと静かにその世界を形作っていく。
読み終わった後、主人公たちの避けられない運命と、健気に生きている姿とが、何度も頭に蘇り、読むのがつらすぎて、もう2度とこの本を読み返せないな、と思う。


作者は日本生まれのイギリス育ち。
だからなのかな、と思う。運命を受け入れる深い心を持ち合わせているのは。
アメリカ人であれば、主人公が運命と対決するストーリーにしていたかもしれない。


スー・モンク・キッドの「リリィ、はちみつ色の夏」(世界文化社)も読み終わった。


リリィ、はちみつ色の夏

読み終わってから解説を読んで、「ああ、そうか。」と思ったんだけど、確かにストーリーの流れはマーク・トウェインの「ハックルベリー・フィンの冒険」に似ている。
違うのは「政治的に正しい」か否か。この小説は正しい。
ストーリーはまあまあだけど、内容は凡庸で特に優れてもいない。
ハチについてのいろいろな知識をある程度は持つことができるが、それも特に優れた知識というわけでもない。
アメリカ南部の1960年代の空気は感じ取ることができる。


抑制のきいた「わたしを離さないで」を読んだ直後だったので、抑制が全くないアメリカ的なストーリーには、無駄が多いことも気になったし、深さが足りないとも思った。

9月10日にカリスマの車検が切れる。
三菱の販売店から電話があって、できたら9月8日にカリスマを持ってきて欲しい、という。
9月9日は担当者が地域の運動会があるから、いないのだそうだ。


9月8日の夕方5時頃にカリスマを三菱の販売店まで持って行く。
家を出る前に、カリスマの鍵が見つからなかったり、いつもよりもサスがキイキイと鳴るような気がしたりしたけれど、カリスマが別れを惜しんでいるのか、それとも俺自身がまだ離れたくないと思っているのかよくわからなかった。
カリスマにはチェーンやスタッドレスタイヤなども積んだ。
スタッドレスタイヤだって10万近くしたのだ。もったいない話だよな、と思う。


三菱に着くと、担当者が少し緊張した表情で立っている。
「フォルティスの納車が予定より遅れる」というので、僕が電話で怒ったせいだと思う。


「ちょうどフォルティスの試乗車が来たので、乗りますか?」というので、乗らせてもらうことにした。
乗り心地は、カリスマによく似ている。
シートの固さも、視界の必ずしも広いとは言えない見え方もよく似ている。
「カリスマと似てるなあ。」
思わず、声に出して言うと「同じセダンですから」と当たり前のことを言う。
まあ、反応に困る意見であることは確かだ。


パドルシフトは結構、面白い。
ちょうど雨が降ってきたので、自動雨滴感応ワイパーってのが動く様子も見た。
自分が望んでいるタイミングより、少し遅れる。
余計な装備だよなあ、とつくづく思う。


imfoボタンを押して、瞬間燃費メーターも見た。
カリスマにもついていて、カリスマは1リットルあたり13キロくらいの瞬間燃費だったけれど、フォルティスは同じ速度で10キロくらいといった感じだった。


「納車の関係ですが、先日の台風の関係で生産が遅れておりまして、15日に岡山県にある工場で完成、20日か21日、場合によっては25日頃に長野に到着することになっています。」
車の中で、担当者はそんなことをいう。


「あのさあ、農作物ならわかるけど、なんで工場で作っている車が、台風で生産が遅れるんだよ。それに、岡山で作っているんなら、今度の台風なんか関係ないじゃん。」
「そうなんですよ。不思議なんですけど。」
「それに、どうして岡山から長野まで来るのにそんなに日数がかかるんだよ。どこか回ってくるの?普通に行けば一晩でいける距離だろ。」
「それが、新潟港まで船で送られることになっていまして…。」
「岡山から?船で?もしかして鳥取の境港あたりまで運んで、そこから航路?」
「たぶん、そういうことだと思います。」
「陸で運べよ。海が荒れたらどうするんだよ。」
「ですから、業務部の方でも何があるかわからないので確約できないと言ってまして。」
「なんで、車作って運ぶだけのことに日程の確約ができないんだよ!」
当初は遅くとも20日には納車が完了する話だったのだ。


「先日、お話ししたときに、22日から旅行に行くご予定だとか…。」
「まあね。」
22日から2泊3日でTどんといわき市のOが長野に遊びに来ることになっていたのだ。


「代車に3ドアハッチバックのミラージュを用意しましたが、それではまずいですよね。」
「それは商用車じゃん。みんなフォルティスに乗りに来るんだけど。」
「これも今は修理中で確約はできないんですが、その日に代わりに、ランサーをご用意できるかもしれないんで、一応、その手配も進めています。」
「ってことは、22日までにフォルティスの納車、絶望的だってこと?ランサーは乗ってみたい気もするけど。」
「ただ、それも確約ができませんので…。」
どうも三菱の説明はよくわからない。
8月19日に契約したのに、まだ届かないし、いつ届くかわからないなんて。


販売店に戻って、納車日がわかったら教えてくれといった小さな打ち合わせをして、それからミラージュの代車に乗って帰ってきた。


雨の中で、最後にカリスマを見た。
「まだまだ走れるのになあ。みんなには笑われていたけど、俺、本当に好きだったんだよなあ、この車。」


赤いカリスマは雨に黙って濡れていた。
いろんな思いが錯綜して、ミラージュを勢いよく走らせて自宅まで帰ってきてしまったので、家に帰ってから「最後にカリスマにさよならとかありがとうっていうのを忘れた」と思って、僕はひどく後悔した。

今まで読んだ本のなかで、最高の本を読んだ。
ラッタウット・ラープチャルーンサップというタイ系のアメリカ人の書いた「観光」(早川書房)という本だ。


観光

7つの短編からなるこの本のなかには、「人」が描かれている。
美しさ、哀しさ、もろさ、切なさ、優しさ、ずるさ、諦め。
僕は、読みながら何度も「ここには全てがある」と思った。
ストーリーはどれも読みやすいが、内容は濃く、1編を読むたびに深く考え込む内容だ。
洗練されている重厚なフレンチを食べたときのような、美味しいんだけど苦しい、そんな感じがする。


どれも素晴らしい小説で、1編1編について何がどう素晴らしいのか説明したい気分だ。
7編のなかにある「徴兵の日」という小説は、本当に数ページしかない。
でも、そこに描かれる世界は実に哀しくて、主人公の一家のずるさと友達の一家の貧しさ、優しさ、愚かさと哀しみが胸に沁みる。


この本を僕は読むべきだったし、読んでとても満足している。
今まで一番美しい小説だと思っていたのは、イーサン・ケイニンの描く「宮殿泥棒」「エンペラー・オブ・ジ・エアー」だったり、ヘルマン・ヘッセの「車輪の下」「デミアン」だったりしたけれど、この「観光」にはもっとずっと深い、それはタイの貧しさや気候のせいかもしれないけれど、味わいがある。


宮殿泥棒

エンペラーオブジエア

車輪の下

デミアン

この本の短編の舞台はすべてタイで、感受性が豊かな少年の目を通じて、タイを「象とセックス」だけの国だと思っているガイジンたちの姿(つまりは僕たちの姿)も鮮やかに描かれている。


素晴らしい小説過ぎて、人にはかえって薦めづらいけれど、多くの人にぜひ読んで堪能してもらいたいと思う。


今週末は何もすることがなくて暇だったので、古本屋で「リリィ、はちみつ色の夏」という本を見つけて、買ってきた。


リリィ、はちみつ色の夏

原題は「The Secret Life of Bees」といい、直訳すると「蜂の秘密の生活」って感じになる。
小さい頃、父親と釣りに行っては蜂に刺されていたので本当に生きている蜂は大嫌いだけど、読み物として蜂の話を読むのは昔から大好きだ。
残念ながら、パラパラと読んだところでは、本当に蜂の生態について書かれた本ではなさそうだけれど、これからしばらくは、この本を読むことに決める。


DVDで「X-ファイル ザ・ムービー」も見た。


エックスファイル

空飛ぶ円盤だの、宇宙人との密約だの、世界規模の陰謀だのがたっぷり。
圧倒的というよりも途方もなさ過ぎて、それからあまりのご都合主義で、俺が見る映画じゃないとつくづく感じた。
でも「パイレーツ・オブ・カリビアン」を面白いと思う人(世の中の主流派)にはいいと思う。


三谷幸喜の舞台劇「バッド・ニュース☆グッド・タイミング」のDVDも劇団の人に借りて観た。


バッドニュース

X-ファイルよりもご都合主義の行きすぎた劇で、話も面白くないし、わざわざ騒ぎを大きくしている主人公たちに、何度もうんざりしてそのたびに見るのをやめたりしたんだけど、感想を伝えないといけないので、なんとか1日がかりで最後まで観た。


八嶋智人の演技だけは文句つけようがなく(彼さえいれば、どんな脚本でもそれなりに見られる劇になるのではないかとも思った。)、角野卓造や伊東四朗の演技もよかったけど。


俺はこの劇に出てくる新郎のような、うじうじした事なかれ主義で、責任を転嫁し、なおかつ結果的に得をするような男が大嫌いで、こういう男を見ると自分が腐っていくような気がする。
これが傑作コメディなら、もう俺は日本のコメディなんか2度と観なくていいや、と思った。


名古屋にいる大学時代の同級生がベジマイトを送ってくれた。


ベジマイト

日本にはあまり売っていないが、オーストラリアやイギリスなどではよく見る、パンに塗って食べる、日本でいうと納豆みたいな食材で、僕はトーストにマーガリンとベジマイトをつけて食べるのが好きだ。


はじめて、オーストラリア人のグレンちゃんに食べさせられたときは、なんてひどい味だ!と思ったけれど、ロンドンで2日酔いの朝、フィンクルのお兄さんに食べさせられたときは、本当にうまいと思った。


最初は、チョコクリームかと思って味を誤解するからまずいだけで、こういう味なんだと思って食べれば、それほど抵抗がないようにも思う。


イギリスの湖水地方で10日くらいホームステイをしたことがあるが、その家でも、その家のちょっと知恵遅れの弟と僕だけは、毎朝、ベジマイトを塗ってトーストを食べて、随分とほかの家族に不思議そうに見られていた。


ちょうど僕もネットで2ビンほど手に入れたばかりだったので、これでしばらくベジマイトが足りないなんてことはなくなる。
ベジマイトばかりあったってしょうがないような気も多分にするけれど。


マンガの原作のシナリオを郵送した。
「観光」を読む前で本当によかった。
もし、読んでいたら、自分の書く話なんて、なんて下世話で浅いんだと自己嫌悪に陥って、郵送することなんてできなかったと思う。

1、2か月ほど前に、突然スナックの女の子から「今、家にいる?」という電話があった。
「いるよ」と答えたら、大きな鍋焼きプリンを持ってきた。
ネットで見てみたら3000円以上もするフルーツやクリームで飾られたプリンだ。


「なんで?」
「いつもお世話になっているから。」
「そうだっけか?」
あんまりよくわからないまま受け取る。


その日の夕方は、そのプリンを夕食にした。
思ったよりもさっぱりとした味でおいしかった。


先日、その子からメールが来た。
「ビリー(ズ・ブートキャンプ)持ってる?やりたいんだけど。」
「持ってるよ。当然。」


ビリーズブートキャンプ

週末に取りに行くから、そのときに貸してという。
「わかった。いいよ。」
「それから、DVDデッキが壊れちゃったから買ってよ。」
「はあ?」
「だってそれがないと見れないじゃん。」
「それはそうだけど。」
「私、いつもいろいろとしてあげているよね。」
「そうだっけか?」
全く思い当たらなかったけれど、そういえばプリンをもらったなあ、ということを思い出した。


土曜日は仕事があって、職場に行かなければならなかった。
帰りにコジマ電機に行き、展示品のみと書いた一番安いDVDデッキを買って来た。


夜、取りに来たので駐車場で渡す。
「はい。ビリーとDVD。」
「ありがとう!嬉しい!」
高いプリンだったなあ、と思う。


「ねえねえ。私の誕生日知ってる?」
「知らないけど。」
「9月3日なの。」
「じゃあ、ちょっと誕生日プレゼントには早かったね。」
「だから、その日は期待してます。」
「はあ?」
「じゃあ、そういうことで、よろしく。」
そう言い残して、彼女は車に乗って去っていった。


昔、ジェフリー・アーチャーの短編に、女がバッグを買う話があった。
とても高価なバッグなので、男にねだってもなかなか買ってくれない。
女は「じゃあ、半分だけ出して。残りは自分で出すから。」といって半額のお金を手に入れる。
それから、女はもう一人の男を連れてくるが彼も高価すぎると言って買ってくれない。
それで、女はまた「じゃあ、半分だけ出して。残りは自分で出すから。」といって半額のお金を手に入れる。
そうやって、結局、ただでバッグを手に入れるという話だった。


読んでいたとき「なんでこんな女に引っかかるのかなあ」って不思議だったけれど、最近、自分がそういう立場に立つと、そういうこともあるよなって思う。
本当に男はバカだ。
あ、俺だけか。


劇団のシナリオはもう手直しだけなので、書いていても面白くもなんともない。
マンガの原作シナリオに挑戦しようと思って、いろいろと調べたら、今月末の締め切りのものがあった。


平日、暇があるたびに構想だけは練っていた。
これなら書けるだろうと思うストーリーを決めて、土日に書いてしまうことにした。
ボリュームは400字詰め原稿用紙30~40枚分だという。


仕事に行ったり、DVDを買いに行ったりしたときのほかは、ずっとこのシナリオを書いていた。
日曜日の夕方5時頃までかかってちょうど30枚分書いて、あとは明日からゆっくりと3日ほどかけて見直すことにした。


夜は松代城趾に出かけていった。
そこで『ISHIN~狼たちは最果てに~』という演劇を観に行ったのだ。
劇空間 夢幻工房ってところがやっているのだが、この劇団は長野で唯一プロを目指した劇団なのだという。


夜7時から9時までの長い劇だった。

衣装も声楽隊も音楽も、それから演技にも光っている人が多くて素晴らしかったけれど、ストーリーはいい加減で、一緒に見ていた人も「どういう話なのかさっぱり」という顔をしていた。


それでも、これだけのステージを作り込むというのは大変なことだ。
僕がシナリオを書いた劇団も、来年の2月には公演をすることが決定している。
まさかこんなに大げさに作り込むことはないだろうけれど、それでもそこに費やす莫大な時間と労力を思って、僕はなんだか本当に、うんざりといった気分になった。


ちょっと思うところがあって、鈴木光司監督の「リング」のDVDを買ってきて観た。


リング

この映画を上映していた当時、僕は名古屋で仕事をしていた。
一緒に働いていた同僚が、いつもセンスのいい映画を勧めてくれて(例えばL.A.コンフィデンシャルとか)、「リング」も彼女のお薦めだった。


LA1

LA2

でも、僕はそのときは観なかった。
当時、ホラー映画は嫌いだったからだ。


竹内結子が高校生の役で出演している。
彼女が最初の犠牲者になったとき、僕はなんだかとても寂しい思いがした。


ジェニファー・コネリーもホラー映画に出演しているが、美少女とホラー映画というのは相性がいいのだろう。
恐怖感や喪失感がいっそう増すような気がする。


フェノミナ

突っ込みどころも多い映画だけれど、恐怖心を煽るところはなかなか素晴らしく、最後まで緊張感を持って観ることができた。
飽きない、面白い映画だった。
もう、連絡も取っていないけれど、同僚だった彼女に久しぶりに「リング観たよ」と声を掛けたいような気分になった。


今年の夏は猛暑だが、部屋のエアコンが壊れて、大量の水がエアコンから降ってくる事態になったので、この数週間はずっと扇風機を使って暮らしている。
暑くて死にそうだ。

ずっと扇風機の風を受けていると死ぬ、という大げさな話も聞くが、ずっと受けてなかったら、そっちの方がよっぽど死にそうな気分になる。


部屋にいるときはしょっちゅうシャワーで水を浴びている。

昔、海外に行ったときに飛行機のなかで観た映画で、ニューヨークに暮らしている娘がエアコンがないためにずっと水風呂に入っているというシーンを観たことがある。
「手におばあちゃんみたいなシワがいっぱいできちゃった。」
そういう娘たちのために、娘の父親はクーラーを手に入れて、ニューヨークの大通りをクーラーを引きずりながら歩くのだ。
なんという映画だったのかもう忘れたけれど、そのシーンはまだ覚えている。
とてもいい映画だったような気がしている。


インアメリカ

週末は、ずっと車のことで奔走していた。
新しい車は三菱のギャラン・フォルティス・スポーツナビ・4WDに決めた。
8月23日発売とのことだが、実際に手にすることができるのは9月20日くらいになりそうだという。


スピーカーシステムやらいろいろとオプションを組んでいたら、280万円ほどにもなってしまった。
一応、最後には三菱の会社同士で競合してもらい、最終的には両方の会社の安い部分のみで、積算してもらって契約した。


計算外だったのは、18インチのタイヤを16インチのタイヤにまでサイズダウンして安くしようと目論んでいたのが失敗したことと、雨滴感応オートワイパーという余計なオプションを外すことができなかったことだ。

インチダウンができれば、もう20万円程度は落とせたはずだった。


車の購入にクレジットカードが30万円分までしか使えないのも誤算だった。
カードのポイントを溜めるいいチャンスだと思っていたのだが、車会社では通常はカードは受け付けないそうだ。
5%程の手数料をカード会社に取られるためらしい。


今までの愛車のカリスマは、結局、三菱が5万円で引き取り、廃車になることが決まった。

思い出の多い車なので、すごく寂しい気がするし、愛着もあるのだけど仕方がない。


中古車販売業者はまだ転売できると思ったらしく、「ただでなら引き取ってもいい」と言いしばらくごねていたが、結局、三菱に5万で引き取ってもらった方が得なのでそうしてもらうことにした。


ほかの人に乱暴に扱われるよりは、最後まで俺に扱われていた方が、こいつも幸せなのかな、と思ったりもする。
今までの走行距離は5万6千キロほど。平均燃費は12.6km/lだった。


よく走ってくれたし、いい思い出もたくさん作ってもらった。
あと、3週間で手放すことになる。
今までの感謝をこめて、残り少ない時間を一緒に過ごそうと思う。

友達からビリーズ・ブート・キャンプのDVDを貸してもらった。
月曜日から水曜日を除いて、今日の日曜日まで6日間終わった。


ビリーズブートキャンプ

内容は想像以上に厳しく、腕の力のなさと腹筋の弱さを嫌というほど味わわされた。
以前、劇団の役者の人達が笑いながら腹筋のトレーニングをしているのを見たことがあるが、ビリーのDVDにも全く同じメニューがあって、やってみたらすごくきつかった。
僕にはとても笑えるような内容ではなかった。


広告では、ビリーのDVDをやると一週間に5キロも痩せる人がいっぱいいると出ていたけれど、僕の場合、体重はかえって増えてしまった。
以前読んだ、甘糟りり子の「肉体派」(角川書店)によると、肥満している人が運動によるダイエットを始めると、最初は体重は重くなるのだという。


肉体派

必要な筋肉が足りないので、筋肉ができあがるまでは体重は重くなるのだと。
今はその時期なのだと信じたい。


レモニー・スニケットの「The Bad Beginnig(訳は「悪い始まり」でいいのかな?)」という子供向けの本を原書で読んだ。


バッドビギニング

14歳と姉、12歳の弟と1歳の妹は大金持ちの両親に育てられたが、ある日突然、その屋敷が燃えてしまい、両親は死に、財産は14歳の姉が大人になるまで使えない。
見たこともない叔父と暮らすのだが、彼は自分の劇団に姉を入れようとする。
劇の中で彼は姉と結婚し、莫大な財産を独り占めしようとするのだ。


この話では「法律」がかなり重要な役割を果たすのだけれど、かなり笑えるものがある。
「14歳では若すぎて結婚できないのだが、保護者がいいと言えば結婚ができるという法律がある。この場合、叔父が保護者だから、叔父が許可すれば叔父と結婚できる。」
とか、
「花嫁自らの手(bride's own hand)でサインをするだけで、結婚と認められるという法律がある。この自らの手という言葉は利き手を意味するので、右手が利き手の場合には、左手で書けば無効だ。」
なんていうのは、ちょっとひどいような気がする。


人には全然、薦めない。でも、まあまあ面白かった。


水曜日は劇の練習があって、僕はイスに座ってそれを眺めていた。
何だか知らないけれど、小学生の女の子が6人くらい、お母さんに連れられて見学に来ていた。
何も言わずにイスに座ってて、見ているだけなので、偉い人だと勘違いしたのかもしれない。
みんな僕の顔を見るたびにお辞儀をする。
「どうも、どうも」とつぶやきながら。僕も頭を下げる。
なんだか恥ずかしくなって逃げ出したかったけれど、役者の人たちは全然、平気だ。
見られていると思うと、嬉しいのだそうだ。
俺には全然、理解ができない感覚だ。


途中で、カリフォルニアにいるクリスが今、東京に来ていてみんなで飲んでいるという電話があって、すごく久しぶりにジェニファーとも話をした。
「今から東京まで飲みにくれば?」
と何人かにも言われたけれど、あまりに突然だったので、それはあきらめた。


練習が終わった後、ファミレスに行き、みんなで話をしていたら、役者の一人が「実は、今日、離婚しました」と言う。
こういうときって何て言えばいいのかな?と俺が戸惑っていたら
「それで、今、この子とつき合ってます。」
と最近から一緒に練習を始めた役者の人を差したのでびっくりした。
「嘘だろ?いつの間に…。」
先月の中頃からつきあい始めていたのだという。
その場にいた男たちは固まってしまったが、女の役者の人達は皆、気づいていたのだそうだ。
「俺、すごいショック…。」
若い男の役者が、ぐったりしながら言っていたが、僕もすごく驚いた。


以前の職場で、必要以上に威張っていた人がいた。
「なんでこの人はいつもこんなに威張っているんだろう?」と腹立たしく思ったことが何度もある。
最近、退職したというので「まさか、あいつtotoBICとかに当たったんじゃないよな」と思って、話を聞きに行ったら、自殺だという。
4月にはときどき通勤途中のバスで見かけた。
あいつが自殺?信じられない気分だった。
自殺なんかする奴に俺は全然、同情しないけれど、両親や家族は悲しむだろうな、と気の毒に思う。


人は生きていれば、死にたいほどの悩みや苦しみを持つことだってある。
自殺のよくないところは、身近な人にも、自殺の道を選択しやすくしてしまうことだ。
おまえだけの命じゃないんだから、耐えろよ、と言ってやりたい。
自分から死ぬなんて、おまえは前から思ったとおり本当に馬鹿野郎だ。
そう言ってやれないのが、悔しい。

車検が9月に切れる。
僕が乗っている車は三菱のカリスマという普通の人は聞いたこともないような車で、しかも色は赤だ。
「この人ねえ、赤いカリスマって車に乗っているんだよ。カリスマだって。」
スナックの女の子にからかわれても平気だ。


保険会社の営業が車の保険を代えろ、試算してくるとうるさいので、乗っている車は「三菱のカリスマ」だと言ったら、2・3日して俺のところに来て「大変申し訳ございませんが、三菱にはカリスマという車はありません。それはペットネームか何かでは…。」と言われ腹を立てたこともある。


カリスマは逆輸入車で、ボルボと同じベースでできあがっている。


僕はこの車が好きで、今まで大切に乗ってきた。
ドアが重く、安定感がある。
基本的にヨーロッパ車なので、シートもレバーではなく、ダイヤルをグルグルと回さないとシートは倒れない。
不便だけど、その不便さが気に入っている。
電動ドアミラーが壊れて、三菱に文句を言ったときに「カリスマは基本的に外車ですから、電気系統は弱いんです」としれっと言われたときも腹が立ったけど、それでもこの車が好きだ。
自動車好きの人が聞いたら笑っちゃうような金額だけど、それなりにお金もかけてきた。


最近、上り坂から下り坂に変わるところで、ギシギシという音がしたり、塗装が一部浮き上がってきたところがある。
もう、そろそろ替え時なのかな、という気もする。


まだ5万5千キロしか走っていないし、他は全く問題がないので、まだこれに乗ってろって言われても頷くところだけど、車の雑誌を見ていたら、急に欲しくなった車があった。
特にコストパフォーマンスが気に入ったんだけど。


その車は「三菱ギャラン・フォルティス」
早速、土曜日に三菱の店に行って話を聞く。


意外なことに 8月23日発売だというのに、店に細かいスペックやオプションの載った正式なパンフはないのだという。
「最近は発売日の前日とかにパンフが届くんです。」


それでも、いろいろな話をしてくれた。
フォルティスは基本的に3種類ある。
スポーツ、スーパー・エクシード、それとエクシードだ。
スーパー・エクシードとエクシードの差は、基本的には装飾用のメッキが施されているか否かだと聞いて笑ってしまった。


スポーツとエクシードは大きな差がある。
「なんでこんなに、タイプが違うの?」
三菱では、このフォルティスを、ディアマンテの後継車としても考えていきたいのだという。
「それは、幅が広すぎだろ。」


聞いているうちにハンドルのところにパドルシフトが付いているスポーツタイプのものが、欲しくなってきた。


僕の今乗っているカリスマを下取りして欲しいと言ったけど、お金にはほとんどならないそうだ。

「きれいに乗っていらっしゃるようですが…。」

「まあね。」
通常、乗用車は6年で減価償却してしまうらしい。
「車の価値は登録した時点で、4割はなくなると思ってください」と彼は言うのだ。
たぶんその分が、車会社の取り分、ということなのだろう。


「でもさあ、三菱の車から三菱の車に乗り換える客なんて立派でしょ。もうちょっと、まあ、下取り価格50万ってのは無理だとしてもさあ。」

「無理です。」

「じゃあ、48万くらいにはならないの?」
「絶対に無理です。気持ち的には、頑張りたいですが。」
「じゃあ、新車を1日展示してもらって、新古車扱いで俺に売るってのはどう?」
「みなさん、そうおっしゃるんですが、最近は展示品も試乗車も皆リースなので、売れないんですよ。」


いろいろと粘ったけれど、安くしてもらうのはなかなか難しいようだった。
それでも、一応ダイジェストの載ったパンフをもらって、正式なパンフは届き次第、連絡してくれるように頼んできた。


水曜日には、久しぶりに劇団の練習を観に行った。
もう動きをつけながらの練習に入っている。
自分の書いた台本だけど、本当に演じられているのを見ると「やっぱ、すごいな」という気がする。


僕はメインの流れしか書いてないけれど、メインの流れ以外の役者も小芝居をしたり、観客を喜ばそうと頑張っている。
いつも低姿勢で、優しい(と思っていた)女の子が、劇のなかで怒るシーンは本当に怒っているようで、「あの子って怒るとこんなに怖いのか」と少しショックだった。


多少の注文や、どういう風に演じたらいいのかという相談はあっても、僕はもう台本を書き終わったので基本的には用がない。

一応、発声練習やストレッチもつき合うけれど、役者の人達のようにはなかなかうまくできない。


「お腹で息するって、どういうことだ?腹に肺なんかないだろ」とふと思って、「もしかして、腹式呼吸って横隔膜を強く使って呼吸しろって意味?」って聞いたら「そうだ」という。

「そうなんだけど、それじゃわかりづらいからお腹で呼吸しろって言ってるんだけど。横隔膜を使えっていう方がわかりやすい人なんて初めて見た」と言われた。


劇は、とりあえず「はっちゃける」ことが大事らしく、ドリフのコント並みに大きなアクションで演じられている。
楽しそうに演じているのを見ながら、もうこの劇も俺のものじゃなくて、役者の人達のものになったんだなあ、と少し寂しい思いもした。


どっか他の劇団で、ストーリーとキャラまでは一応できているけれど、台本書きがいなくて困っているってことないのかなあ?そうしたら、俺、手伝えるのになあ、と思った。


試験も台本もやっているときはつらいが、終わると感じるのは空しさだけだ。
英検準1級の合格証も届いたが、封を切るのも面倒で、机の引き出しに放り込んだままだ。