現在、銀座の画廊 美の起原で開催中の中園ゆう子展「うつつの結び目」に行ってきました。(会期 6月26日(木)~7月3日(木)日曜休廊)
中園ゆう子さんは、日本画の画材を使い、故事や伝説、昔の絵の題材等と向かい合い、現在の感覚で吟味し直して、独自の作品を制作しています。
そして、その特色は、繊細な表現力に裏打ちされた「色彩の美しさ」と、そして「可愛さ」にあるのではないかと思います。
それでは、作品を紹介していきます。
「琴棋書画・画」紙本着彩 F8号
刷毛のような筆を持った女の子が、巻物に絵を描いています。
その描いた絵があたかも具現化していくように手元には菊が咲き、龍が飛翔しています。美しい着物の柄、霊獣龍の厳かな姿、それを従えるような女の子の可愛らしさが美しい色彩で描かれています。
「琴棋書画(きんきしょが)」とは、古来東洋において文人がたしなむべき4芸をいい、古くから絵の題材とされているのとことです。調べてみると、東京国立博物館には安土桃山から江戸時代にかけて活躍した海北友松の「琴棋書画図屏風」(重要文化財)が所存されています。
中園ゆう子さんのこの作品は、その題にある通り、「琴棋書画」の一つ「画」をテーマにして描かれた作品です。
今回、4つのうちの1つを作品にしたとのことですが、残りの3つについてはこれからの課題とのことです。
「荘氏胡蝶の夢図」紙本着彩 F20号
豪華絢爛の十二単を纏った女性が、書を拡げている座机に左肘をついて寛いでいます。その目線の先には、飾られた花の周りで二匹の蝶が舞っています。F20号の大きな画面に描かれた細密で美しい世界に目を見張ります。
「荘子胡蝶の夢」は、道教の始祖の一人荘子が蝶となった夢を見、目覚めた後も夢と現実が区別がはっきりしないという故事であり、こちらも古来多くの画家がこの故事にちなんだ絵を描いているとのことです。
この令和の時代にこのテーマで作品を描こうとするのは極めて数少ないのではないでしょうか。
このように中園ゆう子さんは、このように古来多くの画家が取り組んだテーマを現代の目で掘り下げて、古さを全く感じない作品を仕上げています。また、中園さんのアンテナはこんな作品も生み出しています。
「とおりゃんせ」紙本着彩 F4号
通りゃんせ 通りゃんせ ここはどこの 細道じゃ 天神さまの 細道じゃ ちっと通して 下しゃんせ
御用のないもの 通しゃせぬ この子の七つの お祝いに お札を納めに まいります
行きはよいよい 帰りはこわい こわいながらも 通りゃんせ 通りゃんせ
この江戸時代に成立した「とおりゃんせ」の童謡には生贄説をはじめ怖い話を含め諸説があるとのこと。
作品では、札に描かれた様々な妖怪が札を飛び出したりして、女の子の周りで自由に遊んでいます。
可愛らしい女の子とユーモアあふれる妖怪たちが鮮やかな画面で輝いていますが、「とおりゃんせ」からこうした作品が創り出すことができるのが正に中園さんの創造力の賜物といえるのではないでしょうか。
ここで、中園ゆう子さんの個展について書いた私のブログ記事をいくつか紹介しておきます。
今回の個展では、これまで中園ゆう子さんの作品にあまり登場していない猫の作品が数点ありました。
「ねこパーカー」紙本着彩 F4号
また、「悪魔ちゃん」「天使ちゃん」「精霊ちゃん」「人間ちゃん」の4つの連作だ展示されています。
そのうちの一点です。
「人間ちゃん」紙本着彩 F3号
今回、こうした鮮やかな日本画のほかに、そのもとになった鉛筆画も数点展示されています。
その一つです。
「鉛筆画・五色の音が鳴る」マーメイド紙 鉛筆 F4号
この作品は、昨年行われた日本橋にある画廊 REIJINSHA GALLERY で開催された「30の顔」に出展された日本画の作品の鉛筆画がです。
その時の作品はこちらです。
「五色の音が鳴る」中園ゆう子 岩絵の具、墨、顔料、麻紙、パネル F4号
(この作品は今回展示されていません。)
この作品には、琵琶や三味線、笛、太鼓などが登場し、正に音楽をテーマにしているので、前出の琴棋書画の「琴」にも当てはまる作品とも言えますねと会場の中園さんとお話ししたところですが、「琴」らしき楽器は登場していないので、この作品を凌駕する「琴棋書画・琴」(仮称)の作品を楽しみにしています。
なお、今回の中園さんの個展の紹介が、美術雑誌アートコレクターズ7月号(最新号)に掲載されており、会場にも展示されていました。
以上、今回の中園ゆう子さんの個展、いつも以上に堪能させていただきました。
最後に「美の起原」のHPアドレスを掲載します。
















