先週の金曜日、6月19日に久しぶりに銀座の画廊巡りをしたと前回のブログに書かせていただきました。

今日は、ギャラリーアートもりもとで開催されている「福井欧夏展」について触れたいと思います。(会期6月18日(木)~27日(土))

このギャラリーアートもりもとに来るのも半年ぶり。

でも、スタッフの方たちとはフェイスブックでつながっているので、長い間あっていないという感じはありませんでした。

 

福井欧夏さんは、写実絵画の世界の中での実力者であり、日展や白日会展に必ず出品されているので、私はいつも拝見するのを楽しみにしていますし、これまでブログでも数多く触れてきました。

そうしたなか、今年の白日会展は、新型コロナウイルスのため、展示はされたものの、結局、公開されなかったわけですが、その白日会展で、福井欧夏さんの作品は文部科学大臣賞を受賞されており、是非とも、その作品を拝見したいと思っていたところです。

 

そして、今回の個展では、その作品が展示されており、とても楽しみにしていました。

こちらが、その作品です。

「うたかたの森で」 162.1×112.1㎝(100P)

会場には、福井欧夏さんが在廊されていたので、ご紹介いただき、直接、お話しすることができました。

福井さんは、この作品では、やりたいことをいろいろ尽くし、自信作であることが、話の中からうかがうことができました。

 

私にとっては、過去の作品も、この作品も、いずれも素晴らしく、どうちがうのだろうと思い、最近のほかの作品を振り返ってみました。

まず、2017年12月の改組新第4回日展の作品です。

「香を摘む」という作品です。(日展は、写真撮影可ですが、日曜日は混雑するので不可とのことで購入した写真です。)

この作品は、女性の色香が空気を伝わって感じることができると、いたく感動した作品でした。

改組 新 第4回日展(於 国立新美術館)に行ってきました。

 

翌年の改組新第5回日展に出展された作品です。

「花の装い」という作品です。

この作品は、ドレスが素晴らしく、その美しさに心が躍る作品でした。

改組 新 5回日展(洋画)(於 国立新美術館)に行ってきました!

 

こうしてみると、今回の作品は、背景である森の世界の描写や足元の白い睡蓮が咲く水面、そして白いレースのドレスなど、技術面はいうまでもなく、高い芸術性が感じることができる作品というのが、自分なりによくわかった気がします。

 

福井欧夏さんとの会話の中で、NHKで放送された「浮世の画家」(原作カズオ・イシグロ、主演渡辺謙)が話題になりました。

この浮世の画家の中で、3枚の絵が登場しており、その3枚の絵を現代の画家に制作依頼がされたのですが、その3人の画家とは、近藤智美さん、宮崎優さん、そして、福井欧夏さんの3人でした。

そして、その制作秘話が、NHKの日曜美術館で放送された際に、宮崎優さんの個展について触れた私のブログに驚くようなアクセスが集中した話をしたところ、興味深く聞いていただきました。

宮崎優さんの個展について書いた私の記事に驚きのアクセス数が!?

 

すると、福井さんが担当された作品は、主役の渡辺謙が演じる画家小野益次から戦後離れていった弟子、萩原聖人が演じる「黒田」の家を訪ねた際、黒田が留守で、留守番の黒田の弟子の青年、渡辺大知が演じる「円地」が応対した際、そこに飾られていた円地の作品を、福士さんが担当されました。

そして、私も印象的に覚えているのですが、渡辺謙がその作品、振り返りざまの和服姿の女性を描いた作品を「じっと見つづけた」ことを、福井さんが取り上げ、渡辺謙氏がああやって真剣に見てくれたことに満足感を覚えたという趣旨の話をしていました。

 

福井さんは、明確にはおっしゃらなかったですが、近藤智美さんは渡辺謙が演じた主役の画家、小野益次の作品を、また、宮崎優さんの作品はその小野益次の師匠、小日向文世が演じる森山誠治の作品という物語の中でも重要な作品を担当したところ、福井さんは、弟子の弟子の作品という、物語の中でさほど重要でもないとも思える登場人物の作品というところに、意識しない小さな不満を覚えられていたのかもしれません。(私の推測にすぎません)

 

確かに、私が夢中になって読んだ原作の中でも、ほかの2作品には作品の描写がかなりあるところ、青年円地の作品自体の描写はなく、主役の小野益次が「じっと見つづけた」との描写と、その作品について「そうか、あなたが自分で。うん、大した才能と言わねばならぬ。まったく、大した才能をお持ちだ」「(「浮世の画家 ハヤカワepi文庫P165)と述べた程度です。

ただ、この青年が描いた作品が、福井欧夏さんが描いた素晴らしい作品であったことにより、この場面の格調と緊張感が一気に高まり、渡辺謙の「じっと見つづけた」という迫力ある演技を引き出したんだなと、今になって思うところです。

 

ちなみに、このNHKに出演した福井さんの作品は、今、福井さんの手元にあるそうです。ただ、今のところ、テレビ以外では見ることができない作品とのことで、いつの日か、その実物を見る機会があればと望むところです。

 

ながながと、浮世の画家について触れましたが、福井欧夏展に展示された作品を二つだけ紹介させていただきます。

まず、DMの作品です。

「花想」 40.9×31.8㎝(6F)

 

そして、もう1点

「瞳」 40.9×27.3㎝(6P)

会場には、魅力的な作品が数多く展示されており、たいへんな盛況であることを記載させていただきます。

 

福井欧夏作品展について、とめどもない感想を書かせていただきました。

最後に、ギャラリーアートもりもとのホームページのアドレスを掲載します。

http://www.artmorimoto.com/