![恋人が「温泉嫌い」「遊園地嫌い」--どっちが嫌?](https://stat.ameba.jp/common_style/img/home_common/home/ameba/allskin/ico_kuchikomi2.gif)
「なぁ、今度遊園地に行ってみないか?」
「ええ、良いわよ」
「え?良いのか?」
「あら、何故誘った側が驚いたりするのかしら。私の事を子供を更正させたがるお節介な大人が裸足で逃げ出すような引き篭もりだと思っているのね、失礼な」
「いや、そういうわけじゃないけど……遊園地とかには興味が無いのかな、って思ってたからさ」
「あらそう。私はあなたが予想した姿にぴったり当てはまるような単純な人間ではないわよ。あなたは私の好物だって言い当てる事は出来ないし、私の趣味だって言い当てる事は出来ないはずよ」
「……フライドポテト好きで僕を盗撮するのが趣味、って事以外に何かあるんだろうか……まぁ良いや、とにかく今度行ってみよう。もうちょっと暖かくなってからの方が良いかもな」
「そう、私は別にいつでも構わないわよ。行って何をしたいのかしら?」
「何って、基本的にはジェットコースターとかのアトラクションを楽しむもんじゃないのか?だからあんまり寒い時期じゃない方が良いかなって思ったんだけどな」
「あらそう。ああいうものに乗りたいのね。ちゃんと見ていてあげるから好きなだけ楽しんだら良いじゃないの」
「え?一緒に乗らないと意味が無いじゃないか」
「あら、どうしてかしら。隣に乗ってしまったら恐怖に引き攣っているあなたの顔が見えないじゃないの。そのアトラクションに一体どんな意味や意義や意図を見出せば良いのか分からないわ」
「そんな一緒に行ってるのに乗らずに待ってるって……子供とお母さんじゃあるまいし。それに乗るまでに一人で行列に並んでるのってかなり虚しいと思うぞ」
「うるさいわね。最近は一人で食事に行ったり一人でカラオケに行ったりして、どこへでも一人で出掛ける人が多い御一人様の時代じゃないの。だから遊園地のジェットコースターの御一人様がいても問題ないと思うわ。興味があるのに一人だからやりたくないとか、そういう価値観では重大な機会の損失を招いてしまうわよ。既存の概念に捉われている人は嫌いよ」
「言いたい事は分かるけど、僕だって遊園地のジェットコースターに対して御一人様をするほど興味を持ってるわけじゃないぞ!しかもお前と一緒に行ってるのに一人で並ぶなんてやっぱり変だ!」
「うるさいわね。そんなに寂しいなら乗る直前までついていてあげるわよ。全く過保護な甘えん坊に育ってしまって、私がいなければ行列にも並べないなんて。責任を感じてしまうわ」
「完全にお母さん目線だな……っていうか僕は一緒に乗ろうって意味で言ってるんだけど……もしかして怖いのか?」
「あら、どういう事かしら。何だか物凄くバカにされたような雰囲気を察知してしまったけれど」
「いや、どうもこうも、そのままの意味だぞ。怖くないなら一度くらい一緒に乗ってくれても良いと思うんだけどな」
「うるさいわね。怖いに決まってるじゃないの。そんな最初から最後までどこに行くのかさっぱり分からない得体の知れない乗り物が怖くないわけがないわ。知らぬ間に元の場所に戻してくれるような優しい世の中だと思ったら大間違いよ。いつの間にか外国や宇宙や、下手すると過去や未来に連れて行かれてしまうかもしれないわ」
「もしかして乗ってる時にずっと目を瞑ってるつもりなのか……?」
「うるさいわね。どっちにしても隣に座ったらあなたの恐怖の顔なんて見れないわ。見れるのは靴だけよ」
「いや、前から不思議だったんだけど、怖いからって下を向いたり目を瞑ったりしてる人はかえって怖いんじゃないかと思うぞ。っていうかやっぱりお前でも怖いみたいだな」
「違うわよ。見れるのは苦痛だけよ、って言ったの。最初から最後まで大暴れであなたの顔や腕を引っ掻き続けるはずだもの」
「それは確かに痛そうだ……でも僕もお前の表情を物凄く見たくなってきたぞ」
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