「日本の総理大臣って時間が経つとすぐに支持率が下がるな」
「ええ、そうね。それがどうかしたのかしら」
「いや、どうしてそういう事になるのかな、って思ってさ。しかも誰が総理大臣になっても変わらず毎回だぞ」
「そんなの簡単よ。実は人が変わったように見せかけて、日本という国が出来てからずっと同じ人が総理大臣をしているのよ。だから毎回同じようなペースで支持率が下がるわ。そして下がり切ったらまた新しい顔に変わってやり直すのよ。まさか気付いていなかったのなら驚くかもしれないけれど、日本の政治のトップはサイボーグよ。どの政治家も総理大臣になった途端に表情がなくなるでしょう?それにはこういう理由があるのよ」
「まぁ確かに強張った顔で恐る恐る試運転してるカンジだな。って、そんなわけないだろ!ずっと今までのままじゃ日本の政治が良くなる可能性が無いじゃないか」
「あら、ずいぶん大胆な事を言うのね。日本の全ての政治家を敵に回してしまったんじゃないかしら。そんな事を言うとあなたの家だけ消費税が100%になってしまうかもしれないわよ。日本の政治家は国民を苦しめる事と私腹を肥やす事に関しては無類かつ無二の才能を秘めているもの。あなたのような収入の無い高校生が一人くらい社会的に抹殺されたって彼らの心にはかすり傷一つつかないわ。だからあまり危険な事は言わない方が身のためじゃないかしら」
「……お前の発言の方が遥かに危ないような気がするけど……とにかくどうして毎回同じような事を繰り返してるんだろうな」
「しつこいわね。さっき理由は話したじゃないの。まさかもう忘れてしまったのかしら?政治家と同じくらい忘却能力に優れているのね。将来はあなたも目指してみたらどうかしら」
「いや、さっきはサイボーグの話をしてただけじゃないか!その説明じゃ納得出来ないぞ」
「あらそう。そうしてより良い回答を得ようとする心理と同じよ。人には欲と向上心があって、今の状況で何もかも満足出来る人なんてごく一部しかいないわ。少し良くなったとしても、それに慣れればもっと上を目指すしか楽しみがなくなるし、実は悪いまま変わっていない事柄がたくさん残されている事も、更に悪化している事柄がたくさんある事にも気が付くようになるわ。もちろん何も変化が無いと感じる人も、更に悪化しただけと感じる人も大勢いるし、結果的に支持率は下がるしかないのよ」
「なるほど。最初は皆ある程度期待するからな。その最初の支持率を上回るような事には滅多にならないってカンジか」
「ええ、そうね。いっそ総理大臣を同時に七人くらい誕生させてしまって、それぞれ違う曜日を担当させれば良いのよ。そうすれば一体誰の曜日の時に国が悪化しているのかが中々判断出来なくて支持率が下がりにくいんじゃないかしら」
「それだともし一人まともな政治家が混じってても皆一緒になって下がっちゃうんじゃないのか?」
「そうね。どれだけ想像力と創造力を解放して話をしても、一人が真面目な事ばかり言っていると私達まで真面目で頭の固い人間だと思われてしまうようなものね。腹立たしい」
「……その頭の固いのは僕の事を言ってるんじゃないだろうな……全く。まぁ結局どれだけ考えても支持率を下げる事は避けられないってカンジか」
「そうね。私達の支持率と同じよ。私の人気なんてあっと言う間にあなたとハイジに抜かれてしまって、最初に用済みになるのは私に違いないわ。最初に目に付いた人ほど飽きられる順番も先にやってくるのよ。これだけ多くの人間が地球上にいるのに、一番最初に好きになった人をいつまでも好きでいる事が出来る人なんて……あら、ありえない事も無いわね。心配して損したわ」
「あれ?珍しく自己解決したんだな。どういう心境の変化があったんだ?」
「うるさいわね。最初の一人をずっと想い続けられる人もいる事に気付いただけよ」
「清くても清くなくても良いからクリックしたら良いのよ」
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