「よく懸賞で航空券が当たったりするけど、ああいうのが当たったらどうする?」
「今日はどのお店のフライドポテトにしようかしらね。たまにはホクホクと太いタイプにしようかしら。同じくたまには塩以外の味付けも足したい気分だわ。どういうサイクルで、どういう気持ちでどんなフライドポテトを食べたくなるのか、今後は細かく研究しておくべきかしら」
「お、おい、完全に無視されても困るんだけど……それとも聞こえなかったのか?」
「何よ、うるさいわね。言いたい事があるならはっきり言えば良いじゃないの」
「やっぱり最初の言葉だけが聞こえてなかったみたいだな。えーと、よく懸賞とかで航空券が当たるけど、お前だったらどういうところへ行きたいのかな、と思ってさ」
「いっそ太いのとは言わず、今日は皮付きでも良さそうね。でもあの形状はあまりにも元のジャガイモが大き過ぎる場合に難があるのよ。大き過ぎてしまってフライドポテトというよりもただのジャガイモを食べているような気持ちになってしまうわ。でもそこをあえて今日の私はホクホクさせたいと思っているのよ」
「おい!今のは完全に僕の目を見て聞いてたはずだぞ!どうして無視するんだ!」
「うるさいわね。クラスメイトから無視されていじめられている子供がいる事についに気付いた担任のように興奮しないでちょうだい。本当はもっと前から知っていたはずよ。子供達はいつだって近くの大人に何かしらのサインを出しているものなのよ。それに気付けないのは問題から目を背けているだけだと思うわ。大人の怠慢は時に子供を殺すのよ」
「どうして僕がいじめを無かった事にしようとする教育関係者みたいな扱いになってるのか分からないけど、僕はただ航空券の……」
「しつこいわね。いつまでその話をしているのかしら。やはりあなたは全く私のサインに気付けていないじゃないの。あなたのその話題は私の心には全く当選しなかったのよ。参加賞のポケットティッシュだってあげたくないわ。海外旅行なんて興味が無いもの」
「な、なるほど、そういう理由だったのか。ひと言言ってくれれば良いのに」
「あなたのお母さんがヒトコという名前なのかどうか知らないけれど、あなたのお母さんのたっての希望でも行きたくないものは行きたくないわ」
「ヒトコと行ってくれれば良いのに、って意味で言ったんじゃないぞ!しかも僕の知り合いにヒトコさんなんていないし」
「うるさいわね。冗談よ。とにかくあなたのお母さんが一緒でも私の両親が一緒でも私は行きたくないわ。あなたとは違うのよ」
「まぁそこまで嫌なら誘わないけどさ。じゃぁ僕がペアの航空券とかに当選しちゃっても一緒に来てくれないわけか」
「違うわよ。あなたとは違うのよ、って言ったじゃないの。あなたとならパスポートなんて持ってなくてもどこへでも行くに決まってるじゃないの。私から離れられると思ったら大間違いよ。って、何を言わせるのかしら、みっともない」
「気持ちは凄く嬉しいけど、不法入国はマズイぞ……」
「クリックするとランキングサイトへ旅行出来るわよ」
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