2023年秋:北陸鉄道旅⑧金沢→七尾 | ☆出かけよう!気のむくままに…☆

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 北陸フリーきっぷでの旅3日目。6時頃には目を覚まし、6時半からのホテルの朝食を食べる。3日目も出発はゆっくりなので、福井での朝に続いてこの日も朝の散歩に出ることにした。散歩といっても遠くまでは行けないので、駅の西口(金沢港口)に向かった。

 

 ホテルから東口(兼六園口)に向かう途中で左に折れて北陸本線と建設中の北陸新幹線の高架下を抜け、あとは高架沿いに歩いて広々とした金沢駅西口前に出た。西口の広場の真ん中になにやら意味ありげに大きなモニュメントがあるが、金沢市市制100周年記念に作られた「悠颺(ゆうよう)」というモニュメントだ。色合いからコンクリート製のように見えるが、実はステンレス製だ。

金沢駅西口市制100年記念モニュメント

▲金沢駅西口のモニュメント…駅をバックに反対側から見ると能登

半島の形と、片仮名のカナザワという文字の組み合わせが読み取れる

 

 東口側に比べて観光地が少ないせいか、西口はこれから仕事に向かう人の姿が目立つ。バスターミナルとタクシー乗り場、その間の池、生け垣、モニュメントなどがバランスよく配置された西口駅前広場は、東口よりも広々としている。

金沢駅西口駅舎

▲朝の金沢駅金沢港口(西口)

 

 ちなみに、西口は正式には金沢港口、東口は兼六園口というが、金沢港も兼六園もすぐ近くにある訳ではない。

 高架駅下のコンコースを抜けて東口に行く。東口の地下には北陸電鉄の北鉄金沢駅があるが、地上からだと駅は見えない。地下に民鉄が入っているのは長野駅を思い出させる。

 朝の東口はバス待ちの行列が目立つ。まだ8時前なので並んでいる人は観光客というよりも、観光地の仕事場に向かう通勤の人なのかもしれない。西口よりも人は多いが、鼓門で記念写真を撮っている観光客はまだあまり見かけない。

金沢駅東口もてなしドーム・鼓門

▲朝の金沢駅東口もてなしドームと鼓門

 

 ホテルに戻って3日目の出発準備をする。連泊するので荷物は置いていける。使ったタオルを部屋の前の廊下に置き、軽装備でカメラと杖代わりの傘を持って再び金沢駅に向かう。

 3日目は特急『能登かがり火』で七尾へ、のと鉄道でその先の穴水に行く。元旦の大地震でJR西日本の七尾線とのと鉄道が被災して不通になったが、ここに記していることは昨年11月上旬の旅行なので穴水まで行くことができた。

 地震についてはここ数年能登半島で群発地震があったので、運が悪ければ旅行中に地震にあい、立ち往生することもあるかもとは考えていた。ただ、その可能性は低いと思って旅行を決行した経緯がある。

 地震で被災した七尾線は2月15日に全区間復旧(一部区間減速運転)するが、のと鉄道は同じ日に七尾(和倉温泉)から能登中島まで復旧、残りの能登中島-穴水間は4月中の運転再開を目指すという。被害を受けた方たちの一日も早い日常生活の再開を願うばかりだ。

 

 金沢駅在来線③⑤番線ホームに行く。金沢駅は高架式の駅で、東側に新幹線の2面4線ホーム、西側に在来線の3面7線ホームが並ぶ。在来線ホームは東側から①~⑦番線となり、新幹線が在来線側から⑪~⑭番線ホームとなる。並びとしては①番線の隣が⑪番線になる。改札口は1階、中2階に乗り換え改札口がある。

 富山駅や福井駅と同様、雪害対策のためホーム全体が屋根で覆われているが、③番線の津幡寄りにある切り欠けホームの④番線だけは屋根がない。乗車予定の『能登かがり火1号』は⑤番線からの発車だ。

金沢駅⑥番線『能登かがり火1号』

▲富山行の横の⑤番線に入線してくる『能登かがり火1号』

 

 隣の⑥番線ホームにIRいしかわ鉄道の8:49発富山行普通電車が停まっているのが見える。発車時刻6、7分前になって和倉温泉行の特急『能登かがり火1号』6両編成(グリーン車1両付)が津幡側から入線してきた。『能登かがり火』は基本グリーン車なしの3両編成で、1日1往復だけグリーン車付の6両編成が運行されている。また、大阪からの『サンダーバード』が1往復乗り入れるが、こちらもグリーン車付の6両編成だ。

 IRいしかわ鉄道は北陸新幹線の金沢開業により第三セクター化された元北陸本線の石川県区間だ。4駅目の倶利伽羅から先はあいの風とやま鉄道となる。北陸新幹線が敦賀まで延伸されると、北陸本線金沢以西の石川県区間もIRいしかわ鉄道に移管される。

 『能登かがり火1号』は津幡までIRいしかわ鉄道を走り、そこからJR西日本の七尾線に入る。七尾線はJR西日本の飛び地路線の一つだ。同じような城端線と氷見線はあいの風とやま鉄道に移管されることが決まったが、七尾線は今のところJR西日本が持ち続けるようだ。

 自由席は後ろの2両で、最後尾の車両の乗車率は1割あるかどうかだ。8:56金沢出発。雲があるものの晴天の中、金沢の市街地を走り、やがて農村地帯となり、西側に市街地のある津幡を通過して単線電化の七尾線に入る。交流から直流へのデッドポイントを通るが、特に気づかず。

 出発前に車窓はどちらがいいかと乗務員の方に聞けたが、海が見える区間もなくイマイチみたいな話だった。実際に乗ってみると、丘陵地と山林、農地、駅周辺部の市街地という車窓が続く路線だった。市街地は津幡周辺、宇野気、羽咋辺りが比較的広がりがある。日本海側を通ることもあるが、1キロ以上離れているので海自体は見えない。

 金沢からいきなり13駅通過で羽咋(はくい)到着。41.2キロを33分で走破、JR西日本の力の入れようが分かる。ちなみに『能登かがり火1号』は最速列車で、金沢-和倉温泉間71.0キロを58分で走る。羽咋で乗っていた車両から1人降りた。

 能登半島基部西側の羽咋からは北東に延びる邑知潟(おうちがた)地溝帯を七尾湾に向かって進む。羽咋側では邑知潟平野とよばれて幅4km前後の広さがあるが、内陸部では1kmぐらいまで平野部が狭くなる。能登半島随一の稲作地帯で、北側の山地、南側の丘陵に挟まれて刈り入れの終わった水田が広がっている。

 そんな穀倉地帯の6駅を通過して遠目に密集した住宅街が見えてきたら、すぐに左にカーブして七尾9:48到着だ。『能登かがり火号』は七尾の次の和倉温泉まで行くが、のと鉄道の車両は七尾-穴水間で運行しているので七尾で乗り換えることにする。

 七尾駅は2面3線のJR西日本七尾線と切り欠けホームののと鉄道のホームがあるJR西日本の管理駅だ。改札口のある①番線が一部けずられた形で部分的な島式ホームとなり、その切り欠けホームがのと鉄道専用ホームとなっている。

 乗り換え時間が45分あるので改札口を出て外に出てみる。「北陸フリーきっぷ」のフリー区間は和倉温泉までなので、そのまま改札口を通ることができる。

 

七尾駅駅舎

▲七尾駅…JR西日本の管理駅で、のと鉄道との共用駅だ

 

 七尾もいい天気だ。青い空と白い雲。旅行3日目は雨の心配がない。七尾駅の広いロータリーを回る。駅の向かいの歩道に七尾に所縁のある絵師・長谷川等伯像が立っていた。天文8年(1539年)七尾で生まれの絵師だ。

長谷川等伯「青雲」像

▲七尾駅前にある長谷川等伯像

 

 駅から線路沿いに和倉温泉方面に歩いてみる。線路際から七尾駅②③番線ホーム横の留置線も見える。留置線の奥には車両が留置されていた。

 すぐ先の踏切からも七尾駅を見ることができる。

踏切からの七尾駅

▲正面に七尾駅②③番線ホーム、左隣に①番線とのと鉄道ホーム

 

踏切からの和倉温泉方面

▲和倉温泉方面…被災した七尾-能登中島間は2月15日復旧予定だ

 

 踏切から駅に戻る途中で穴水発七尾行の気動車がやってきた。折り返し穴水行になるこの車両に乗車する予定だ。

穴水発七尾行到着

▲のと鉄道穴水発七尾行2両編成

 

 駅に戻ってJRの改札口隣ののと鉄道への改札口を抜ける。と言っても、のと鉄道は基本車内改札のようで改札口といったようなものはない。ただ、のと鉄道の社員や七尾市・穴水町の委託員による生活応援フリーきっぷの販売はしていた。

 のと鉄道の1日乗り放題きっぷは通常1,600円だが、2024年3月まで沿線の七尾市と穴水町が利用者促進のために助成金を出して売っている「生活応援フリーきっぷ」は、簡単なアンケートに答える必要があるが半額の800円だ。ちなみに、七尾-穴水間は片道850円、和倉温泉-穴水間は690円だ。

 自分は和倉温泉からの乗り越しになるので車内で買ったが、往復1,380円のつもりだったのが800円になりラッキーだった。

七尾駅のとホーム穴水行前面

▲七尾駅ののと鉄道穴水行…隣の線路が①番線に続く

 

七尾駅のとホームから見た①番線

▲切り欠けホームののと鉄道側から見た七尾駅①番線…

JRの①番線ホームとは直接行き来できないように仕切られている

 

 10:33発の2両編成ののと鉄道で次は穴水に向かう。

 

 以下つづく。

 

 

2023年秋北陸鉄道旅:⑦小浜→東舞鶴→敦賀・金沢