・Power of Ten
https://www.youtube.com/watch?v=55Gpm1Q0abk
「木を見て森を見ず」ということわざが有りますが、まさに目先のこと、枝葉にとらわれて本質が見えない。全体が見渡せない状態です。「木を見て森を見ず」とは云いますが、「森を見て木を見ず」とは余り聞きません。
全体を見て細かい所を見ることができないというよりは、細かいところばかり見すぎて全体が見えないことのほうがが要注意ですということですね。Powers of Tenは今から50年ほど以前にアメリカで作られた短編教育映画ですが、まさに「木を見て森を見ず」を映像化したものとして高く評価できます。
・泳ぎの“森”を見る
泳ぎを見る場合にも、得てして森を見ることなく木にばかり関心を寄せてしまう傾向を否定できません。手足の細かい動作に囚われることなく全体を大雑把に見て、その傾向を正しく評価することが大切です。競泳視点で考えた場合、“泳ぐ”とは、「重心の移動の速さを競う」ものとして定義できますから、重心が常に前方に移動しているほうが有利です。重心をより前方に移動させるに最も簡単なのは前方を下げることです。グライダーの滑空よろしく前方を若干下げることで重心が前方に移動し進み易くなります。
クロールを例に考えてみましょう。
(1)基底面が平らか、前下がり
【基底面】
泳ぎにおいて、下側の部分です。主にクロールではお腹側、背泳ぎでは背中側といえます。しかし、基底面は泳ぎの様々な場面で変化します。クロールでは胸やお腹が基底面の多くを占めますが、ローリングに伴って基底面は交互に左右の脇腹に移動します。
また、基底面を構成するのは胴体ばかりでもありません。腕や脚の下側も基底面を構成します。ですから、泳ぎの基底面とは、その場面場面で胴体をはじめ腕や脚、頭もさえ含んだカラダ全体の下側のラインととらえます。
「カラダが平ら」と「基底面が平ら」との違いにも言及しましょう。「カラダが平ら」という場合、概ね胴体の中心線が平らというイメージですが、「基底面が平ら」という場合には下側です。
一般的に腹部よりも胸部の方が厚みがあるとすれば、「カラダが平ら」の場合には「基底面は若干前下がりになるでしょう。また、腰部よりも肩部の方が横幅があるとすれば、「カラダが平ら」の場合には「基底面は若干前下がりになるでしょう。腹部よりも胸部の厚みが少ないとか、腹部よりも肩部の横幅が狭い場合には、「カラダが平ら」でも「基底面は後ろ下がり」になってしまい、前方への重心移動はより難しくなります。
重心を前方に移動させるのは、このようにかなりデリケートな内容ですから、単に「カラダが…」に留まらず「基底面が…」まで踏み込んで全体を俯瞰することが大切です。
基底面について詳述しましたが、“森”を見るためには、泳ぎの場面場面で基底面がどのように変化するか?です。
基底面は時々刻々と変化する特に腕や脚の位置によって大きく様変わりします。その中でも、まずは最も大切な瞬間を正しく把握します。
(右側呼吸として)左手を入水し、同時に右手のフィニッシュからフォロースルーに掛けて…。丁度息継ぎの瞬間ですね。左手の指先から肘→脇→脇腹→腰に掛けての基底面が前下がりになっています。腰から(蹴り下ろした)足先に掛けての基底面は後ろ下がりになっていますが、左手先との深さを比べた場合には、やはり手先の方が下がっています。
若し、左手の指先から肘→脇→脇腹→腰に掛けての基底面が前下がりになっていない。若しくは後ろ下がりになっていればその修正が必要ですし、手先の深さよりも足先の方が下がっていても修正が必要です。
続きはまた次回。