アメリカの著名な生物研究施設多くのノーベル賞受賞者が所属する「スクリプス研究所」の上級研究員を務め、
現在、九州大学ウイルス学教授の柳雄介さんが、分かり易く新型コロナウイルスについて解説している報道(西日本新聞)がありましたの、ちょっと長いのですが、抜粋して紹介します。
国内外で、比較的若い人が脳梗塞を起こしたり、継承者が急激に悪化したりするケースが報告されている。
重症化には、血栓と(ウイルスを攻撃する)免疫機能の暴走がかかわっていることが早くから指摘されていた。
ドイツのグループは5月、新型コロナによる死亡者を解剖したところ、58%で深部静脈血栓がみられたと発表。
それを受けて、厚生労働省も診療の手引きを改訂し、血栓の検査を盛り込んだ。
重症化の過程も分かってきた。
(1)感染者の飛沫(ひまつ)を吸い込み、鼻や喉などの粘膜で数日かけてウイルスが増殖。
発症前でも近い距離で話したりすると周囲にうつす。
(2)ウイルスが肺に広がり免疫反応が起こる。まず、もともと備わっている「自然免疫」が働く。
数日後から「獲得免疫」が働き、B細胞が抗体を作ったり、T細胞が感染した細胞をウイルスごと殺したりする。
感染者の約8割は免疫反応のおかげで無症状や軽症で済む。
(3)増殖したウイルスが、肺胞を取り囲む血管を傷つけるため、血管を修復しようと血栓が作られる。
また、体を守るためのタンパク質「サイトカイン」が過剰に放出され、
自分の血管や内臓を攻撃してしまう「サイトカインストーム」が起きる。
このため肺で酸素を十分取り込めなくなって呼吸困難に。
他の臓器でも血栓で血管が詰まると命に関わる。
柳教授は「高齢者や基礎疾患のある人は免疫機能が低下している。
糖尿病や高血圧、肥満の人はもともと血管の内皮細胞が傷ついていて血栓ができやすい。
心疾患や呼吸器疾患があると肺機能が低下し呼吸不全を起こしやすい」と重症化リスクが高い理由を説明する。
8月下旬の米エール大の報告で、男性の方がウイルスを攻撃するT細胞の反応が弱いことも分かっており「特に高齢の男性は気を付けてほしい」と呼び掛ける。
国立感染症研究所によると感染者の致死率は、5月と8月のそれぞれ1カ月間を比べると、7・2%から0・9%に下がった。
無症状者や軽症者の割合が増えたのは「ウイルスが弱毒化したからでは」と楽観視する声もある。
これに対し、柳教授は「重症化しにくい若者の感染が増え、検査や医療体制が充実して治療法の開発も進んだためだ。
弱毒化を裏付けるデータは今のところない」と言い切る。
シンガポールで重症化しにくい型が一時的にはやったが、3月以降は見られなくなった。
「ウイルスにとって大事なのは、子孫をたくさん残せるかどうかで、強毒か弱毒かは関係ない。
現に今、世界で流行しているのは、人の間で広がりやすいタイプだ」と話す。
さらに、国内外で再感染が報告され「抗体が長続きしない」との指摘もあり、現実的でないとみる。
柳教授は「気を抜かずに3密回避やマスク着用、手洗いを続けることが何より大切」と強調している。
(参考:西日本新聞 「終息のシナリオは?弱毒化してる? 識者に聞くコロナの最新情報」)


