【マンガ感想】
『蟲師 10巻 (漆原友紀)』
|
蟲師 10 (10) (アフタヌーンKC)
漆原 友紀 講談社 2008-11-21 by G-Tools |
【あらすじ】
降幕の刻。
広大無辺の妖世譚――その幕がついに降りる。
「光の緒」「常の樹」「香る闇」、そして前後編からなる降幕話「鈴の雫」
――眩き4編、ヒト知れぬ生命達の脈動と共に。
主人公は、『蟲』という普通の人には見えない妖怪のようなモノを退治したり、
その『蟲』に取り付かれた人々から『蟲』を取り除く治療などをする蟲師。
主人公は極力個性を殺した作りとなっており、思想・主張をあまり持っていないキャラでして、
『物語の主人公』というよりも、『蟲』に取り付かれた人々を観察する傍観者的存在です。
そのため、物語は、『蟲』に取り付かれた人々を中心に構成されており、
彼等が住む土地に主人公が訪れることにより物語が動きだす構成となっています。
---------
最終巻。
単行本でこの作品を追っていたので、今巻で終了というのは突然の出来事でした。
特にこれといって最終回らしいイベントなどはなく、今巻もいつも通りのエピソードを普通に描かれ、
「これからも続いていくのだろうな~」と思い、最後の作者のあとがきを読んでいくと、
ナント、今巻で終了である事が判明しました。
『これからも主人公の旅は続いていく』
という終わり方はこの作品らしい終わり方であるとは思うものの、
正直、個人的にですが、消化不良というか盛り上がりに欠ける終わり方でした(^^;。
最終回らしいエピソードを描くとか、『大団円ラスト』を描くとか、何かしらのエピローグを描くなどの、
何か余韻が残るようなエピソードを描いて、もう少し盛り上げてほしかったです。
さて、ここからは10巻の感想。
今巻は、『光の緒』・『常の樹』・『香る闇』・『鈴の雫』の4編が描かれました。
個人的にお気に入りなのが、『香る闇』という作品です。
『廻陋』という花のような匂いを出す『蟲』に囚われると、
その者は無意識のままに『同じ時間をくりかえし生かされる事となる』という。
そのことは誰にも確かめる術はなく、本人もまたそのことに気づくことはない・・・。
という感じの話でして、自らの人生を何度も繰り返している人物の下に、
蟲師である主人公が訪れて、『蟲』の存在を教えて貰いその『蟲』から解放されるまでを描く作品です。
『過去に戻りたい』という願望は誰しも一度は持つであろう願望の一つであると思いますが、
この作品の蟲に囚われた人物は、そういう願望とは関係なく、ほぼ強制的に人生を繰り返すという
非常に不幸な人物でして、過去に戻るごとに今までの記憶をすべて失ってしまいます。
そのため、一旦、その無限ループに囚われた人は、全く同じ人生を何度も繰り返し過ごすこととなり、
その無限ループに気付かなければ、いずれ『蟲』と同化してしまうという設定です。
この話を読む度に、
『例え、過去に戻れたとしても、自分が変わっているわけではないので同じような人生を歩んでしまう』
と感じ、とりあえず、日々を頑張って過ごしてみようかな、と思ったりします(笑)。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【総評】
最終巻。
1巻から10巻まで一貫して同じ雰囲気を保つ事ができた数少ない作品だと思います。
作者の次回作に期待したいです。
点数的には
85点
です。
では、ここまで。
