↑はスペインのマクドナルドでクラスの合間にお茶をした時のアップルパイとアイスコーヒーです。

いや頭を使うと砂糖が必要ですね。😂(笑)


さて本日もセビージャにてフラメンコを学ぶ学生達にはお馴染みのPlaza Pelícano (プラサペリカノ)に来ております。

ここには貸しスタジオやフラメンコ学校が集中して建設してあり、色々なクラスを受講する事ができます。

本日は4回目のトロンボ先生の授業でした。いつものように、生きたフラメンコのコンパスについて熱弁しています。(↓参照)


さて本日はある27歳のカンタオール(フラメンコの歌い手)への説教が始まりました。

どうやら、この若い歌い手さんはポロ(タバコ感覚でするドラッグ/麻薬)を吸いながらフラメンコのフィエスタをするような仲間とつるんでいる。だから、トロンボ先生が彼の将来を心配していました。

先生は言います。

「今27歳だよね。」

「今ならその(麻薬)環境から離れられるよ。」

「君は数少ないカンタオールの才能がある。」

「でもプロになるまでの勉強が足りないよ。」

「今から10年間セビージャで修行(勉強)しなさい」

「そして、海外で活躍するんだ。」 

「国内(スペイン)には今のタイミングではライバルが沢山い過ぎるからね。」

そして私達一般人の生徒に向いながら話を続けます。

「貴方達のように普通の大学を出て就職できるような準備は私達(トロンボ先生を含む)にはないんですよ。私も10代からアーティストとして働いてきました。生きるために、我々は今ある才能をプロとして使う道しかないのですよ。」

だいぶ前の話になりますが、トロンボ先生も若い頃麻薬で台無しにした期間が10年くらいあったようです。それ故に、特に貧しい環境で育ち麻薬に溺れる若者にフラメンコにより人生を楽しく生きれるような活動をしているようです。

そして今日は(プロの)ギターリストさんがアコンパニャール(寄り添い)を、トロンボ先生の指導で実践的に教える為ににクラスに来ていました。

トロンボ先生は続けます。

「彼(ギターリスト)はね素晴らしい聴覚を持つギターリストだよ。でもね、"人生を楽しむこと"を選んだんだ。つまり、プロのフラメンコの世界にどっぷり浸からず、リラックスしながら好きな曲を1~2曲くらいら知っている状態。この状態では、マエストランサ劇場(セビージャにある大劇場)でマヌエル・リニアン(有名なフラメンコのバイラオール)やロシオ・モリナ(有名なフラメンコのバイラオーラ)にアコンパニャールはできないんだ。」


つまり、フラメンコ業界でギターリストとして第一線で活躍するには物凄い勉強量が必要だということだ。

「つまりフラメンコに人生を、捧げる決断になる。」

これは、シンプルな決断のようにみえて、非常に重大な決断になる。 

以前スペインのロックダウン中にフラメンコアーティストにインタビューをした私はアーティストさん達が声を揃えて下記を教えてくれたのを明確に覚えている。

・1番大変なのは、経済的に不安定な人生だよ。会社員のようなお給料ではないからね。しかも年中無休だからね。

恋人とかパートナーができにくいよ。常にヒロ(ツアー)で移動/旅行し続ける人生だからね。パートナーができたとしても、仕事で一緒にいる時間が少なくなるよ。

・上記と同様に家族も持ちにくくなるよ。だって仕事で常に飛びまわるんだもの。

もちろん、家族も恋人もいながら踏ん張って活躍するアーティストさん達もたくさんいる。しかしながら、現実的に非常に厳しい環境で生きていらっしゃるのは確かだ。

例えば、パートナーや家族が一般人で経済的に安定した収入がある環境であれば少し違うかも知れません。


それでも、フラメンコのプロとして最前線で活躍するには「フラメンコ以外の人生の時間」がほとんどなくなります。

それでも、自分自身の家族?は最終的にほしい人達が沢山いるんだと感じています。フラメンコアーティスト同士のカップルでは犬や猫を同伴する人達も沢山います。たぶん、子供のような存在なんだろうなと個人的に感じています。

上の27歳のカンタオールさんの例から見ても、最低10年以上の修行を現地スペインで経験して、初めて第一線で活躍する土台に立てると言う現実的な勉強量が分かります。

トロンボ先生曰く、君は10年後の37歳から活躍はできるよ。(今から勉強すればの話だけどね)

でもこの業界は35歳を過ぎたあたりから、壁が非常に高くなるよ。

今決断しないといけない!

でもこのアドバイスは彼だけはない。スペイン国外から夢を見てフラメンコアーティストになるためにやって来る外国人達にも言える話だ。

以前ある日本人のバイラオーラさんにアドバイスを頂いた事がある。

この業界(日本)の様子を観察してみてね。フラメンコにハマり過ぎて、他の人生のイベントを楽しめず終わった人達で溢れているでしょ。もちろん個人の自由で幸せなら問題ないのよ。でも、フラメンコにハマり過ぎて気づいたら他の事ができなかった、と感じる場合もあるのよ。

「よく考えてみてね!」

最前線で活躍しなくても、上記の状態の人達がたくさんいる。良いとか、悪いとかの話ではない。要は、本当にその方向性で生きたいですか?と言う事だ。

つまり、フラメンコのプロになる決断は人生を大きく左右すると言う事がわかる。