トヨタの[86]という車両は・・・アイコンになった・・・というか、市民権を完全に得たのだと思いました。埼玉の本庄サーキットで。

 

先代のトヨタ86が登場した時に私は、「大トヨタがこの車両を販売し続けることは難しいだろう。」と予想していました。

なんとか・・・10年近く・・・ですか?初代は販売を続けられて・・・中古車市場では、最初期モデルが非常に手頃な価格で販売されています。

その最初期モデルが、本庄サーキットで貸し出しされていたんですよね。(現在は、他の車両に交代)

 

本庄サーキットのパドックで、出走準備をしていたところ・・・男の子がまっすぐこちらにやってきた。

・・・え?なんで??

周りには、NISSAN GT-R様やフェラーリ様も止まっているのになぜこのボロい86?(失礼)

 

おじいさんらしき方(お父さんと小学校低学年のこの男の子と共にサーキットに見学に来たらしい。)が、一言。

「写真、一緒に撮らせてもらっていいですか?」

いや、あの〜・・・私は、プロレーサーではない・・・って、この小さなサーキットで、HANSデバイスを装着してまで走っている人はいないから、そう思われたのか。

 

私はバケットシートに座ったまま、男の子と3人で一緒に写真に収まった。

 

すごいことだと思いました。

NISSAN GT-Rでもフェラーリでもなく、86なんですよ。小学生の男の子にとって。

 

「若者が車に興味がなくなった。」と言われて久しいけど、(あのアメリカでも同様の傾向)幼稚園児とかが遊ぶおもちゃは、「トミカのミニカー」ですからね。

 

「男の子の本能に車好きは刷り込まれている。」って私は信じているんだけど、なんですか?最近は、男の子とか、女の子とか分けちゃいけないんでしたっけ?

大人たちが、わざわざ事態を複雑にしているだけだと思うんだけどね。複雑なことは、理解されないし、興味も持たれないようになるんだって。車も。

「もっと速く!もっと高く!!もっと遠くへ!!!」

 

人の本能に従った「形」に人は引き寄せられるってことなんだよ。この男の子みたいにね。

 

10年経って無事にフルモデルチェンジを果たし、車名が変わったこの[GR86]は・・・

少しづつ、「余裕」が与えられている車両でした。

後席は、少し広くなりました。座ると頭が・・・当たります。確実に。ただ、先代は、思いっきり首を曲げていないと座れない構造でしたから。

それに比べれば、だいぶマシです。この新型は、少なくとも「頭は当たってしまうけど、首はまっすぐ」で座れます。

トランクルームも・・・ゴルフバックは・・・入れようと思わないな。あのマツダロードスターよりは、だいぶ広いけど。

着座位置は、そう低くないです。

GRスープラほど、サイドシルにシートフレームが食い込んでいない位置です。

まあ・・・この辺りは・・・21世紀の車両としては、致し方ないところなのだと思います。

気になったのは、シートベルトの処理。

ベルトが後ろに戻らないように・・・ということで、シートにボタンどめのフックがあるのですが・・・シートベルトアンカーが、Bピラーの樹脂パーツに引っかかってしまうんです。ほら、こんな感じにだいぶ傷がついてしまいます。

ペダル類も操作しやすい大きさと配置です。この写真でわかる通り、今回借りた車両は、AT車になります。

最新鋭車両ですが、ちゃんとパーキングブレーキは、手動式です。

現代において、「モータースポーツで使うことを前提にした車両」の判断基準は、どこか?

このパーキングブレーキの処理です。

電動パーキングブレーキを装備しながら、「スポーツ車両」を謳っている車は・・・少なくとも設計部門のメンバーに「自費で実戦参加」している人がいない車両ということです。

まあ、なんていうんですか?「サラリーマンが、会社に言われて”やらされている”スポーツ車」ってことです。ね?そこの白いなんとかR。あなた方です。

サッシュレス構造のドアを閉めて、シートに潜り込む。

このオレンジの塗装は、「86誕生10周年」の時の限定色だったそうです。

実は、このGR86という車両は、貸し出しを受けるまでに数年待ったんですよね。

スイフトスポーツの時と同様、貸し出しを受ける時に事故られて・・・何度も。

その大きさがそうさせるのか・・・乱暴に扱われる車両です。GRスープラは、指名して必ず借りられるのに。(借りた回数は、86よりスープラの方が全然多いです。それ以上にGRヤリスなんだけど)

結局、「新車に入れ替えなければならなくなったので、どうですか?」と店舗の方から連絡をいただいて貸し出しを受けることができました。借りられるまでが長かった・・・

この写真だけを見ると、マニュアル車に間違えるようなシフトレバーデザインです。

この新型も「AT車のシフトレバーは、ただのスイッチ」のはずなのですが、ノブの重心位置といい、非常にこだわりがあることを伝えてくる操作感覚です。

86といえば、まん丸のステアリングホイールだったのに・・・とうとうこの車両にもスイッチがつくようになってしまったか・・・

操作自体は変わらず、非常に回しやすい大きさです。ただ、余計なスイッチがついたのが残念・・・と思っていたら、この車両、理由がありました。

「EyeSight」システム装着車でした。そうなんですよ。「スバルとの共同開発」をフルに活かしているんです。

「オートマ車であることを逆に武器にしたか。」と思わされました。

高速道路で、ものすごく運転が楽です。非常に優秀なオートクルーズコントロールシステムだと思います。

ただ、EyeSightまで装備できるようにフルモデルチェンジしたのに・・・ヨーロッパは、非常にこの車両を警戒しているようで・・・

新安全規則を発行して、86/BRZがヨーロッパに入ってこられないようにしましたからね。

初代から10年以上が経過して、結局、世界中を見回しても「4人乗りで、世界最小のクーペ」の座を守り続けてしまっているのですから。

 

ヨーロッパで、日本メーカは影が薄いんだから、見ないふりをしておけばいいのに。

実用車としてHyundaiの台頭は許しても車の本質の部分は許さないってことですかね。「モータースポーツは、ヨーロッパのものだ。」という・・・

完全デジタル式になったメータを見ながら、ドライブすると・・・

EyeSightのおかげ・・・だけでなく、初代に比べるとだいぶ運転が楽になりました。恐らく、車体がわずかに大きくなっているだけでなく、排気量も大きく・・・なっています。たぶん。市街地でだいぶズボラなアクセル操作ができるようになっています。

初代は、後ろに車両がいる時は、少々しっかりアクセルを踏まないと、発進加速で前方の車に置いていかれてしまっていたんですよね。

 

初代でも感心させられましたが、正直、この86/BRZという車は、「オートマ車だけ」でもいいのではないかという仕上がりです。このATシステムが。

まあ、初代も全開走行させると「もうちょっと自分の意図についてきてほしい。」と思わされる場面もあったので、そのあたりは「オートマチック」と引き換えの感覚なんだと思います。

それよりも、EyeSightをはじめとする電子装備てんこ盛りのこの車両は・・・

ちゃんとスポーツ走行の時に「電子制御完全キャンセル」ができるようになっているんですかね?

 

最初期型のトヨタ86を本庄サーキットで走らせた時は・・・マイリマシタ。どうやっても電子制御が最後の最後で介入してきて。

「電子制御キャンセルの方法」をサーキット管理者の方からレクチャーされたのですが、それでも外で見学している方々から、「なんであんなにギクシャク走ってるの?」って言われてしまうぐらい、「安全に」スポーツ走行をするセッティングになっていました。

 

よくあの電子制御セッティングで、「86/BRZレース」が成立していたなと・・・

 

まあ、ブレーキパッドが明らかに「普通のトヨタ車じゃない」成分配合の利き方になっているので、電子制御関係もだいぶ見直されていると期待します。

あ、この車両、交差点で停車時に車両が完全に停止する前にわずかにブレーキペダルを緩めると、まあまあいい音量のブレーキ音が出ます。

「標準装備の音」です。くれぐれも「ブレーキ音がうるさい。」とか言わないように。

夜、自宅に戻ってきて、縁石にぶつからずドアを開けることができるだけでなく、ちゃんと足元照明が照らされることを知った時に、「少し大人になった86」だと思いました。

 

燃費は、11.0km/Litterでした。

おうちで楽しむ陶器市 うちる