今回は、販売が開始される前から伝説になることが定められていた車両のお話です。

WRC制圧の為に作られた車両。

先日開催されたサファリラリーにおいて、勝田選手の息子さんが27年ぶりに日本人ドライバーとして表彰台に上がったことでも話題になりました。

 

今年で終了してしまうWRカー規定の為に、たった1年の活動の為に開発、投入された車両です。

トップルーフは、カーボン材で作られているこの車両は・・・ヤリスの名前を冠していますが、正直どこまで部品共通化が図られているのか・・・

Aビラーから先の部分が、オリジナルヤリスなのかと思ったのですが・・・カナード付きのバンパー。

GRシリーズ統一デザイン。

いつも通りの文法です。「ダミーパネルを外せば、空気を利用できるよ」

大形のドアパネルなんて、サッシュレス構造ですからね。久々に見ました。この構造のドア。

オリジナルヤリスと全然違うデザインのハッチゲート。

フレームデザインが、異常にごっついです。

ペラペラのフロアマットを外してみると・・・スペアタイヤ・・・ではなく、バッテリーが鎮座する構造でした。

スリットが入ったローターの車両は、このBlogで初めて紹介すると思います。

トヨタ車で久々に・・・本当に久々に日本メーカー製タイヤが装着されていました。

超扁平タイヤですが、乗り心地は思いのほか良かったです。ダートトライアル車両のように段差を超えてすぐにボディの揺れが収まるようなセッティングまで追い込まれていませんが、それでも体がゆさぶられることは少ないセッティングになっています。

 

リヤサスペンションにドライブシャフトが貫通しているAWD車両です。

ショックアブソーバー別置式のスプリングを支えるロアアームが非常に肉厚があるプレス材になっています。

「趣味の車」のはずですが、相当な量を捌くことを前提に量産設計されていることがこのデザインからも読み取れます。

GRスープラに比べると横幅があるシートです。

GRマークが入っているヘッドレストも調整式であり、シート各部の張り出しも少ないながら、きちんと体を支えてくれます。

太いサイドシルを跨いで・・・

 

このスライド幅のシート後方になんとか体を捻じ込むと・・・

4人乗りのスペースが現れます。

トヨタ86より広いです。後席。ただ・・・

外観からの想像通りです。

空力優先で猛烈な勢いで下がるルーフのおかげで、シートに座ると頭が当たります。

まあ・・・トヨタ86と・・・変わらない頭の下げ方・・・かな?

後方視界は、一般的なハッチバック車両と比べてはいけません。

マツダ車よりも確実に後方視界は狭いです。

モータースポーツ用車両の証。

太いグリップのハンドブレーキが装備されています。

ただペダルが・・・

最近のトヨタ車としては珍しく、「普通のペダルデザイン」

きちんと滑り止め処理はされているので、ヒール&トーもすぐにできたのですが、あのカムリですら立派なペダルが装備されているのを見ていたので、この点は意外でした。

このセンターコンソール周辺とか・・・せめて、ダッシュボードはオリジナルヤリスと共通のものが使われていると期待していたのですが・・・

もう、ぜんっぜん別物です。

オリジナルヤリスとの共通点を探すよりも・・・ヤリスクロスと部品共通化が図られているのか?

あれ?

そうじゃなくて、このGRヤリスの為に後からヤリスクロスという量が捌ける企画が立ち上がったのか?

「この車両、6速仕様です。操作の仕方、分かりますか?」

定員さんに心配されながら、発進。

操作感は、あのタイプRと違って、すごく自然な感じ。

と・・・いきなりエンスト。

私は、アイドリングのままクラッチを繋ぐ流儀だけど・・・この過給器付きエンジンは、少々下のトルクが薄いらしい。

ハッとする程細いステアリングポークを操作して、最初の交差点をターンする。

この車両が、グラベル用にセッティングされていることが・・・そう、かつて少しだけ動かしたダートトライアル用車両群は、全てステリングポークは細かった。

フルターンさせることを前提としたステアリングホイールデザインとギヤ比セッティング。

「なんでもできる。」

最初の旋回でそう思わされてしまった。

「このダイヤルは触らないでおこう。」

GRスープラと違って、すぐに「何ができて、何ができないか」を悟ることができるボディの大きさと動き。

AWDマシン故なのか、普段ドライブしている車両群に近い大きさのせいなのか・・・

 

NISSAN GT-Rはバカな運転をしているドライバーが多いけど・・・

以前、高速道路であまりに無礼な振る舞いをするNISSAN GT-Rを1300ccのデミオで追い込んだことがある。

混雑している一番左側の車線に逃げ込まれてしまったけど、あのような動きができるのは、AWDマシンだからなんだろう。

 

このGRヤリスは、基本的にはアンダーステアセッティングの車両。

旋回中にアクセルを踏んで行ってもなんとか曲がれてしまう。(車体が外に膨らんでいくのは認識できるけど、ステアリング操作に頼って旋回できてしまう。)

正直、パワーがものすごくある感覚はない。

電子制御スロットルの制御のせいなのか、あるいは少々大きいタービンを備えているのか・・・出力の立ち上がり方が予測通りなので、GRスープラのように常にトラクションコントロールの介入に身構えている必要はない車両。

困ってしまったのは、安全装備の制御の仕方。

このセンタートレース機能が・・・私の感覚とずれていて、「ものすごく左に寄りたがる」動きをする。

非常に疲れてしまって・・・とうとう最後には「切」にしてしまいました。

折り合いの付け方なんでしょうけどね。

どうにも私には、トヨタ車の安全装備セッティングは「お前の動き、信じていいのかよ?」と悪態をつき続けることになります。有効にしている間中。

 

「この車、運転楽しい?」

と聞かれると・・・正直、困る。

「なんでもできる。」という感覚と、「運転が楽しい。」感覚は全くの別物。

比較的高い位置にアップライトな姿勢で座らされるせいなのか・・・

「運転が楽しいかどうかなんて関係ない。この車両は世界で一番厳密な測定器(時計)を相手にする世界で生きる車両。」そんな感覚がつきまとう車です。

 

今後のWRC車両規定次第なのでしょうが、フルモデルチェンジがされることはない一代限りの企画のような気がします。

そういった意味でも、伝説になることが義務付けられている車両なんでしょうね。

できる限り長く生産されることを願っています。