(前回は>>>こちら。)


私が言いたいのは、こういうことです。


認知症の人の症状が悪化する原因のひとつに

周囲との関係の悪化があります。


ですから、介護される家族に対して

(うまく認知症の人に合わせてくれれば

症状が改善するかもしれない)と

思うこともしばしばあります。しかし、

家族のほうも症状に振り回されていて、

余裕がなくなっている場合も多いのも

もういっぽうの事実なんです。


とくに認知症のことを本当によく勉強されて、

(怒ったらいけない)などと、

頭では分かっていても、実際にはできなくて

苦しんでおられる介護者の方もたくさんいます。


さあ、そういうときにどんなことが言えるのか、

ということが今回のテーマなんです。




え?分かりませんでした(笑)

長く、くどい話でしたからね(苦笑)




そのヒントとして(おもしろいなあ)と

思ったのが、この宗教の話なんです。





実は、こういうことはすでに行われています。


認知症キャンペーンで

「認知症は脳の病気です」と言われているあれです。

知っていますか?


悪いのは認知症になった本人でも、

家族などの周囲の人でもない。

悪いのは認知症という病気なんだ、


という物語を作りましょう、ってやっています。





「悪者をつくらない」というところは、

内田先生が通っている歯医者さんが

やっていることです。

50代のおばさんが駆け込んだ

拝み屋さんもおばさんを

叱ったり諭したりはしなかった。

因縁がこじれているせいにした。




「認知症は脳の病気です」キャンペーンも

そこまではよかったと思います。

でも、そこから先の詰めが甘いことが

この本を読んで分かってしまったのです。


(次回に続く)

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それではさっそく引用します。


内田氏が受けた

歯科治療の

お話です


~~~~~~~~~~~~~~


(内田樹)

でも、そこに行ってすぐに、「この人は名医だ」って思いました。それまで、どんな歯科医に行っても、まず歯医者は僕を叱るんです。「ブラッシングが足りない、食生活が悪い、生活習慣が悪い、歯がこんなになったのは全部おまえの責任だ」、と。おっしゃるとおりなんですけど、そういうふうに行くたびに叱られると、こちらもだんだん気が滅入ってくる。やっぱり叱られると、免疫力とか下がりますよ。それで足が遠のくわけですよね。(中略)でも、E阪先生はね、全然叱らないの。歯を見て、「あらー、これは大変なことになっていますよ。がんばって闘いましょうね」っていうふうにおっしゃる。要するに「歯を悪くする邪悪な霊」みたいなものを想定して、僕が無辜(むこ)なる被害者で、E阪先生と2人で開くと闘うっていう、そういう物語に巻き込んでしまうんです。僕の生活習慣とか、ブラッシング不足とか、そういうことは一切とがめないんですよ。


(釈徹宗)

ま、さ、に、民間宗教者ですね。


(内田樹)

そう、まさに民間宗教者!とにかく、この先生の治療だとこちらが精神的に非常に楽なわけです。ものすごく痛くなって行ったときでも、「あらら、とんでもなくなっていますねえ、痛かったでしょう」「やられちゃいましたね」とかね。けっして僕を叱らない。(中略)釈先生のおっしゃった拝み屋さんのところに来る人も同じですね。「あなたの不幸はあなたの生き方が悪いせいだ」とみんなから言われてきて、本人もそのことにはうすうす気づいている。

でも、言われて直せるようなら、「生活習慣」なんて言わない。だから物語的に生活を再演してみせる。「あなたは悪くない。外部に悪があるから、それを何とか押さえ込みましょう」という話型に落とし込む。


(『現代霊性論』P77~P78 内田樹、釈徹宗)


~~~~~~~~~~~~~~


はてさて、内田樹先生は、

人間味あふれる先生ですね。


虫歯ができたことは、日ごろの

自分の怠慢が招いたことだと

重々承知している。


承知しているけれども

だからといって、歯科医の

先生にキズに塩を塗るような

追い打ちをかけられるのはたまらない

ということを告白されているのですね。




次回、また認知症の話に戻ります。


(つづく)



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どうでした?

とても長い文章を引用してしまいましたが

読んでいただけましたでしょうか。


このエピソードを聞いて、

真っ先に私は、認知症の人を

介護する家族のことを思い出しました。




認知症の症状は、周囲の環境と

折り合いが悪くなって、

症状が悪化することがありますよね。


呆けてしまった妻を怒鳴る夫とか、

物取られ妄想の標的になる嫁とか、

排泄の失敗をなじる息子とか。


周囲との関係が原因で症状が悪化する場合、

それを改善させないまま症状が良くなることは

ほとんどありません。


そして、こういった状況は、ご本人はもちろん、

介護家族にも多大な負担感をもたらし、

在宅生活に支障を来たすことも少なくありません。




ですから、在宅生活を支えようと思ったら、

ご本人と周囲との関係を改善させるための

介入を試みなければなりません。




しかし、だからといって

「認知症の人を理解しましょう」だなんて、

自分は高いところ身を置いて、

介護に憔悴しきっている人にむかって

見下すように言っても、

言われたほうは、できない自分を責めるか、

振る舞いが変わることはまれでしょう、

「理想と現実は違うのよ」とか言って。




とはいえ、認知症の人のほうが

周囲に合わせて、ふるまいを変えることが

困難であることは明確なので

介護する側が変えることのほうが

現実的なのはたしかです。つまり、

「パーソン・センタード・ケア」ですね。




さて、その進め方なんですが、

私にはその方法論を今まで

持ち合わせていませんでした。


できることといえば、両者の摩擦を

できるだけ少なくするために、

通所サービスなどを使って引き離すとか、

介護者の苦労話を聞いて、聞いて、

聞きまくるとか、そういうことしか

できない3流ケアマネでした。


ただ、前回のお話しをヒントに、

もう少し知恵を絞ってふるまえば

3流の私も2流半ぐらいになれるかな、

と思いました。


次回、もう一回、別の文章を

引用させてください。


(次回に続く。)



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