「精神面」の向上を図るため、

「身体面」と「社会面」にアプローチする。

逆に言えば「身体面」と「社会面」が

整えば、「精神面」の向上が期待できる。


これが私のケアマネジメントのコンセプトです。


では実際に、どうケアマネジメントしていくか、

というところを書いていきましょう。

まずは「身体面」から。


アンケートの回答の中で

身体面のどういうところを

改善したか、という回答では

キーワードとして

①基本動作(寝返り、立ち上がりなど)

②ADL(日常生活動作;食事、排泄など)

③健康

④認知機能

の4つが上げられました。

このほかにも少数意見として

⑤看護ケア(床ずれが治癒)

⑥身体機能(関節可動域が拡がった)

という項目もありました。


私に言わせれば、これらのどれかを

「喪失」している状態が「要介護」状態

だということです。


では、この身体面を

どう「自立支援」していくか、

というところですが、その前に

押さえておいておかなければいけないのが

「時間の概念」です。




「時間の概念」なんて

難しい言葉を使って

ちょっとえらそうですが(笑)

そんな難しい話ではないんです。


例えば、左半身の麻痺があります。

そこでリハビリをしました。

リハビリの甲斐あって

だんだん良くなりました


これは非常に分かりやすい

「自立支援」です。

喪失しているものに対して

獲得を試みるケアマネジメント

なんですね。




では、こういうのはどうでしょう。


③健康の項目には

チラホラ見かけます。


「病気を治す」は医療の領域です。

もういっぽうで

「病気にならないようにする」

ということもありますよね。

こうなるとケアの領域も

関わることができます。


たとえば、脳卒中にならないように

高血圧の薬を欠かさない。

内服薬の管理です。

きちんと飲めているかどうか、

当然アセスメントしますよね。


内服薬をきちんと飲むように

毎日点検するのは

「将来、脳卒中になることを

予防するため」なんです。


左半身麻痺の人が

リハビリでよくなっていく課程を

例えば数字で表すと

70%の状態を90%に戻す、

ということであれば、

脳卒中を予防することは

100%の状態を100%のまま

維持していくことなんですね。


ほかにも認知機能について言いますと、

認知症のない状態を100%として

80%の人が1年で40%にならないように

ケアの力によって1年で70%を維持できた

ということは、何もしない状態からは

30%も自立支援が出来ている

ということになるんです。


どうでしょうか。




「時間の概念」を押さえるということは、

①右肩上がり(喪失→獲得)をめざす

②キープする(横ばい)

③遅延させる(右肩下がりを緩やかにする)

という3通りがあるかな、と思います。


「自立支援」というと①ばかりに頭がいきますが

②や③だって立派な「自立支援」だと思います、

「時間の概念」を頭に置いておけば。


ただし、大事なことは安易に②や③を選ばないこと。

①の可能性は捨てなければいけないのか。

アセスメント力をつけ、専門職に聞き…

という過程を踏まなければ私は許しません(笑)。

今回から新しいステージに突入です。

と、その前に、今までのおさらいを

しておきましょう。


1.「あり方検討会」への疑問を

なげかけました。

「自立支援の理念が共有されていない」

と言いながらも、検討会の中でも

「自立支援とは何か」と言う定義が

なされていないのではないか、

ということでした。


「目標は自立支援」というのであれば、

その目標が示すものは何なのか、

そこをきちんと抑えておかなければ

現場の人間は勝手に解釈しちゃうよ。

そうなると質の評価もできないし、

したがって質が向上するなんてこと、

できないよ、ということでした。




2.アンケート調査で「自立支援」の実態を

突きとめようと試みました。

現場のみなさんが「自立支援」って

どんなことだと思っているのか。

「自立支援」だけでは不十分だと

仮説を立てていた私は「生活の質」

という言葉から考えるものは何か、

ということも調査してみました。


すると、「自立支援」という言葉は

「身体面」に関する事柄を

上げてくださる人が多く、

いっぽう「生活の質」という言葉は

「社会面」に関する事柄を

上げてくださる人が多い、

という結果になりました。

これはいったいどういうことなのか。




3.「身体面」・「社会面」にくわえて

「精神面」の3つの関係をどう考えていくか、

ということに対して私見を述べざせて

いただきました。

ケアマネジメントは「自立支援」だけを

追求してもそれにこぼれてしまう人がいる。

しかし、「生活の質」の面を考えると

身体の自立支援がうまくいかない場合も

社会性の回復を目指すことによって

到達することは可能。

身体面で自立しているほうがより社会性を

獲得する可能性が広がるが、そこにこだわり

続ける必要は必ずしもない、というお話です。


要は「精神面の向上」

生きがい、安心感、幸福感など

その人がいきいきと生きることができる

ことを目指すところにすべきで、

そのために「身体面」・「社会面」の

喪失、不足しているところを回復させる

ということがケアマネジメントの目指すところ

である、ということを書きました。




さて、新シリーズ第4回は

もう少し具体的にどのように

ケアマネジメントの目標の立て方をどうするか、

というところを書いていきたいと思います。


このテーマで書いてきましたが

そろそろ1年。

春までには終わりそうです。

「介護」の文字にはこんな意味が

込められています。

覚えておいて損はないと思います。



「介護」という言葉の「介」という文字は

はさむ、はさまる、間に入って仲立ちする

といった意味を持っているそうです。


なるほど「介」を使った熟語には

「紹介」「仲介」「媒介」といったように

「①間に入ってとりもつ」という意味があります。


そのいっぽうで、

「介錯(かいしゃく)」「介助」「介抱」のように

「②そばに付きそって助ける、世話をする」

という意味で「介護」という言葉が理解されている

ことが多いのではないでしょうか。




と、いうことで、

②の意味では「身体面」、

①の意味では「社会面」、

を表しているとは思いませんか?


このように「身体」と「社会」は

人間の生活や人生において

とても意味の深いものです。


ですから、その人その人の

「身体面」・「社会面」の

それぞれ損なっているところを

補う、支える、回復させる、つなげる

などといった仕事が「介護」

という仕事なのだと

私は主張したいのです。