『生まれながらに良い姿勢は与えられない。勝ち取るもの!』で、人体はそもそも左右非対称の造りなので整体などで「歪んでいる」と言われても冷静になりましょう、という話をしました。
脊柱は生理的弯曲(S字カーブ)のある形状ですが、望ましくない側方への弯曲である「側弯(そくわん)」もまた、誰しも多少あります。
人間は工業規格製品ではないので骨格も1つとして同じものはなく、100人いれば100人の顔がみな違うことで分かりますよね。
完璧な骨格を持つ人はいません。
(工業規格製品だって、精密度によりますが歪みがあり個性があるでしょう。)
レントゲンを見ると、私も側弯がありました。
要注意ですね。
まずは現状の自分の身体について知っていること:知見を増やし、それを頭の片隅に置いておくことで、機能性側弯(一時的な側弯状態)であれば過度の進行を予防できる可能性が高まります。
「側弯症は手術が必要と判断されるような角度(40°〜50°以上)になっても、痛みなどの症状を出すことはまれ」で、前屈検査や目視確認は大切です。
レントゲン写真を撮る機会があれば、ご自分の目でもよく確認してみてください
↑前屈検査は第三者に「肩甲骨の高さが揃っているかどうか」
評価してもらう必要があります。
多くの側弯は痛みもなく、ずっと付き合っていくものでもあります。
クライアントAさん(手術なし)
座位時、片側にタオルを敷くなどして調整する
下記は別のクライアントBさんからいただいたフィードバックです
「私は側弯症という背骨の病気で13歳の時に手術をして以来、20年以上、なるべく体を動かさないように過ごしてきました。
完治はしないため身体のバランスが悪く、整体は欠かさず通っていましたが他人任せであることに物足りなさを感じ、もっと責任を持って自分自身で身体をコントロールしたいと思うようになりました。
自分に合うものを探す中で出会ったのがピラティスです。
最初は身体を動かすことに対して恐怖や不安がありましたが、だんだん、本当は自分の身体が動くということ、そして身体はとても動きたがっているということに気づきました。
ちょっと気を付けて生活するだけで、身体もちゃんと応えてくれることも知りました。
ピラティス1つ1つの動作に根拠があるので、納得しながらできるのも楽しいです。
身体が少しずつ動くようになったのも嬉しいことですが、それよりも、自分の身体に向き合えるようになったことが、今の私にとって大きな成果だと感じています。」
ピラティスは治療ではないのですが、「自分の身体を細かく認識し意識にあげる・自分で自分の身体を動かしてゆく」というプログラムです。
大きな側弯があるとフォームローラー上に仰向けになることも初めは難しいですが…
日々、敢えて乗ってみることで、感じたり分かることも多いと思います!
恐れずに動いていきましょう
側弯に限らず腰痛などもですが、「何か整形外科的問題があれば運動しない」というのは悪手です。
「身体を大事にする」=「運動しない」という発想になりがちですが、間違いです。
「身体を大事にする」=「正しく運動する」が正解です
クライアントAさん、Bさん共に、これまでの人生で運動をされてこなかった方々でした。
それを側弯のせいにしてしまうとなると、うーん、お気持ちは分かるのですが…
北京・ロンドン五輪で男子100mを連覇したウサイン・ボルト氏も、また脊柱側弯症でした。
もちろん大変な苦労を重ねられての記録達成ですが、側弯でも運動できるのですよー。
しっかり動きましょう!
正しく運動すれば何がしかの良い結果を得られますし、側弯や腰痛のせいにして運動しなければ、他のもっと多くの問題が引き起こされます。
側弯や腰痛などよりも、運動不足の方が死を早めます。
【バレエと側弯について】
日本側弯症学会のHPには下記記載があります。
私は自分がバレエをしていて、側弯の要因になり得るのはアラベスクかな?と感じています。
↑※完全に個人の意見です。
脚を上げる際に、ドゥヴァンやアラセゴンドではあまり脊柱に負荷はかかりませんが、デリエール・アラベスクは脊柱回旋が伴います。
脊柱回旋方向に負荷がかかる状態(無理してやっている)を繰り返すと、側弯を進行させるのかもと思います。繰り返しますが個人の意見です。
アラベスクで脚を高く上げたいのはバレエをやっている以上当然ある望みなのですが…
ご自身の感覚で「腰や背中に負荷がかからない程度」に脚の高さを抑えてみて、様子を見る時期があっても良いかもしれません。
その分、ストレッチをしっかりと。
側弯がある場合、左右差が出てきますので、得意な方ばかりやらないように。
苦手な方の練習回数を増やしましょう。
得意な方ばかりをやっていると、偏った筋収縮が強化され側弯を助長してしまうかもしれません。
できるだけ筋収縮を均等にさせてあげたいのが側弯への対応なので、左右差には気をつけてください
他には足部の重心位置の調整など、細かく検証していくことで自分の身体を知ることが大切です。そこはプロと一緒に確かめていくと良いです