最愛/真保 裕一
¥1,575
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勝手に採点 ☆☆☆


音信不通だった姉が危篤との連絡が警察から入る。


主人公である小児科医師の弟は、早速姉の元へと駆けつけるが、
彼女はある事件に巻き込まれていた!


真相を知るべく姉の知人を訪ねていくうちに次第に明らかになる
驚愕の真実とは!?


全体的に話が暗い。


いつもは元気いっぱいのアクションものを得意とする筆者が、
東野圭吾張りの愛憎劇を書いて失敗した感じ。


特にラストの必然性が全く理解できない。


それでも不幸な再会から、愛する姉の暮らしぶりを調べ、彼女の
生き様を詳らかにしていく過程は、緻密に計算されている印象。


以外と簡単に核心に迫るあたりは物足りないものの、実際人の生
き様とはそんなものかもしれない。


姉と弟の隠された秘密は後半明らかになるが、二人の関係がイマ
イチすっきりしないのはなぜか。


弟の人物描写に躍動感、リアリティが欠けているためか。

空飛ぶタイヤ/池井戸 潤
¥1,995
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勝手に採点 ☆☆☆☆☆☆!


トラックの脱輪事故で若い母親の尊い命が奪われる。


事故を起こした運送会社の社長は、当初自社の整備不良を疑うが、
整備担当者の仕事振りを目の当たりし、製造元である財閥系自動車
メーカーの欠陥を確信し孤独な戦いを始める。


実際に起った三菱ふそうの事件を下敷きにしている。


被害者家族、メーカー関係者、取引銀行、警察、週刊誌記者たちが
複雑に絡み合い、事件は迷走するが・・・。


大企業VS中小企業という分かりやすい構図に、中年社長の苦悩、奮闘、
家族の協力などがブレンドされ、とても感情移入がしやすい。


関係者が多く登場するも、それぞれの役割分担が明確なため、それほど
混乱することなく読み進めることが出来る。


中盤、スクープが発表されて事態が好転すると思い気や不発に終わり
ますます事態が悪化して行くあたりは思わずガンバレと応援したい気持ちに。


終盤にかけて支援銀行が登場し、強制捜査が入るなど胸のすく納得の
展開に。被害者の夫までもが謝罪に訪れるなど、ひとつ残らず社長に有利
な展開となるがそれもご愛嬌。


また、PTA会長である彼が悪の権化のような母親から突き上げを食うあたり
も絶妙なスパイス。


絶体絶命をピンチを幾度となく切り抜け、従業員と家族を守り通した社長
に拍手喝さい!

Kの日々/大沢 在昌
¥1,785
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勝手に採点 ☆☆


元刑事の探偵がヤクザから足を洗った二人組からある依頼
を受ける。依頼の内容は彼らが強奪し、仲間が隠したはず
の大金の在り処を探し出すこと。


早速彼は事情を知っていると思われるKという女性にコン
タクトし、金の隠し場所を探し始めるが・・・。


この探偵、口が軽すぎる。依頼人の秘密をバンバンしゃべり
まくる。挙句の果てには、Kに惚れて依頼人を裏切る気満々。


スジが通っていないので、どうしても好きになれないし、
感情移入も難しい。


さらにKという頭の悪い女性もいただけない。


普通、見ず知らずの男性には警戒を抱くはずの若い女性が、
探偵の嘘にホイホイと簡単に乗っかってしまう。


金をもてあましたオバサンじゃないんだから。


ストーリーの強引さに取って付けたような薄っぺらい登場人物。
リアリティが完全に欠如した駄作。

隣の子どもはどうやって東大に行ったのか──東大生親子1000人に聞いた子育て術/講談社
¥1,365
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勝手に採点 ☆☆☆


東大生約1,000人にインタビューを行い、彼らがどのような
幼少期を過ごしたかを徹底取材。


そこで浮かびあがってきた日常生活とは!?


書いてあることはとっても正論でもしかしたらウチノの子で
も東大にいけるのではと思わせる内容。曰く、


・朝ご飯は和食をしっかり食べる
・家族内のコミュニケーションを大切にする
・勉強の押し付けはしない
・小学校受験組はたったの10%
・父親と夕食を食べる家庭が多い
・タイミング良く具体的にほめる


などなど。要は東大の試験では、真の知性を試されるので、
小さいころからの詰め込み、ガリベンだけではモチベーション
が続かない。


そこで、小さいころから頭脳を使わせる訓練を地道に続ける
ことで東大脳を作ろうということ。


それを育てる基本となるのは、家庭内でのコミュニケーション
だそう。子供との会話を通じて問題を把握、解決する能力や
プレゼンテーション能力を培ってあげることが大切。


悪いことをしても頭ごなしに叱り付けるのではなく、「なぜ」
と問いかけを多くすることでよーく子供に考えさせなければならない。


東大は子はもちろん親も立派じゃないと合格は難しい。


かみさんも読んだ翌日。


朝は時間がないからと、いつもパン食の子供の朝食は見事納豆と
ご飯に味噌汁。これでわが子も東大合格間違いなし!?

陽気なギャングが地球を回す/伊坂 幸太郎
¥660
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勝手に採点 ☆☆


四人組の銀行強盗が繰り広げるドタバタコメディー。


銀行を襲った帰りになんと自分たちがお金を奪われる
ありえない事態に遭遇。


賊の一人を付き止め自宅を訪ねたところ、ナイフで
刺殺されていた・・・。果たしてお金は取り戻せるのか!?


空虚な会話のオンパレードで読む気をなくす。


書き手はかっこいいつもりなのかもしれないが、こう
も全編に渡って意味のないやり取りを読ませられると
拷問に近い仕打ち。


ストーリーとしては意外性があり、小物の使い方も
うまいのでホントに惜しいとろこ。


伊坂氏の描くキャラクターは全般的に人間味に欠ける。
それが最大の欠点。

心にナイフをしのばせて/奥野 修司
¥1,650
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勝手に採点 ☆☆☆


世間を震撼させた酒鬼薔薇事件をさかのぼること二十数
年前。


高校入学間もない同級生をナイフでメッタ刺しで殺害した
うえにクビを切り落とすという類似の凄惨な事件が起っていた。


さらに驚くべきことに、その後少年院を出所した少年は
なんと弁護士として成功し地元の名士となっていた!!


残された被害者の家族にスポットライトを当て、その後
の心の葛藤、家族の悲しみを描くドキュメンタリー。


やはり殺人犯には「眼には眼を歯には歯を」が原則!


残された家族がこんなにも苦しい思いを引きずって生き
ていかなければならないのに、その加害者がこうものう
のうと暮らせるなんて絶対におかしい。


極論を言うと、子供に限らず大人でも、犯した罪と同様
の苦しみを味あわせるべき。


殺人を犯したら自分が殺される、人を傷つけられたら、
全く同じ傷を負わされるのがスジ。


どうして日本の法律はこうも被害者の人権を無視するのか。
殺人を犯したような人間の人権など二の次であるべき。


さらに驚くのは、犯罪者の更正には何百億という税金が
費やされているのに、被害者家族にはなんと数億円しか
使われていない現実。


なんで悪いヤツに使って、深い悲しみを味わってる人に
使わないのか。


そしてなんと言っても言語道断なのは、弁護士になった
元少年の態度。これが更正したということか。許せない。

題名は被害者の妹の言葉。


加害者に会ったときにきちんと対決できるように
「心にナイフをしのばせて」生きるということ。


少年犯罪の実態は以下をご参考に。ホント腹立たしい。

http://nikonikobun.blog104.fc2.com/blog-entry-129.html

決闘の辻―藤沢版新剣客伝/藤沢 周平
¥560
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勝手に採点 ☆☆☆


宮本武蔵や柳生宗矩など、歴史に残る剣豪・剣客たち。
彼らの生涯に残る運命の対決を鮮やかに描く時代小説。


壮絶な死闘もあるが、結局本人は闘わわないバージョン
もあるなどバリエーションは豊富。


一番印象的なのは「二天の窟―宮本武蔵」のセコさ。


すでに老齢し、真っ向勝負では勝てないと分かるや、
自分の愛人を抱かせ、帰途を待ち伏せして打ち倒すなど
剣士としては最低の品格。


いまいち彼の名声が響かないのは、戦場での活躍がイマ
イチだったことと、こういった姑息な手段を労して、さして
有名でもない相手に勝ち続けたというネガティブイメージのせいか。


また、父の仇を討ちに行く「飛ぶ猿―愛洲移香斎」は逆の
意味で印象的。


仇である相手が亡き父を懐かしみ、自分より強いことが分かると、
潔く身を引く清清しさ。


きっと彼は故郷で許婚と幸せに暮らしたに違いない。

終末のフール/伊坂 幸太郎
¥1,470
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勝手に採点 ☆☆☆☆


小惑星の衝突によりあと三年で滅亡の危機を迎える人類。


そんな切迫した状況の仙台を舞台に、そこで生活する人々
の悲喜交々を描く連作短編集。


各編が独立した話しながら、微妙に重なり合って味わいを
深めている印象。


ちょっと冷めた目線が特徴の伊坂作品にとっては、良さが
引き出されるシチュエーション。


こんな状態に置かれたら自分はどうなってしまうだろうと
考えずにはいられない。


子を持つ親にとってはとてもつらい状況下。


ひとつ残念なのは、意外性の欠如。


みんな大部分が諦めと少々の希望を胸に生きているのだが、
全体が同じトーンで統一された雰囲気で、ビックリな人や出来事
が少なめ。


例外的に意外だったのは、復讐のため篭城したところ、実は目的の
人物が一家心中しようとしていたと言う話。


ただし、トーンとしてはやはり暗い。


起承転結を意識し、アクセントが利いた連作短編集なら文句なし。

太陽の塔/森見 登美彦
¥420
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勝手に採点 ☆☆☆


やたらとプライドの高い京大生の主人公が奇跡的にできた
恋人に逃げられる。


そんな彼女の生活ぶりをこと細かくリサーチしたり、ヘン
テコな友人たちとの交友などをギャグタッチで描く青春グ
ラフティー。


男臭いファンタジー。


前半部分は、絶妙な比喩と独特の世界観でテンポ良く引っ
張っていくため心地良い。


こうゆうタッチはとても新鮮で斬新。


客観的にいうとただのストーカーなのだが、彼が自己世界
に構築するハチャメチャな論理は傍から見てると面白い。


また、登場人物たちもかなりユニーク。


太陽の塔に心酔する彼女を始め、彼を取り巻く友人たちは
どうしてこうも変人ぞろいか。


ただ、いただけないのは中盤以降。


夢か現実がかなり曖昧になって、ストーリーが迷走する。
残念ながら何が言いたいのか分からない。


特に「ええじゃないか」騒動は何???


そこまで飛ばさなくとも、もう少し現実的なところで話を
作って行った方が受け入れやすかっただけに残念なところ。

自壊する帝国/佐藤 優
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆☆☆


外務省のラスプーチンと呼ばれ、鈴木宗男とグルになって
役所を食い物にしたとされる元外交官・佐藤優氏。


その彼が、ソ連崩壊前後の自身の活躍と崩壊のメカニズム、
豊富な人脈紹介を披露する著。


久しぶりに知的好奇心を大いに満たされる一冊。

彼の経験と学術的知識はかなりのものと感心させられる。


ムネオ騒動のときの狂乱時には、なんて悪いヤツがいたのか
と報道を通じて感じていたものだが、本書から感じられる本
人像は全く違う。


非常に職務熱心で真面目な外交官という印象。


その上、モスクワ大学に留学して、ロシア語を身につけ、自身
の特異な風貌と人間性、神学などの知識を武器にロシア国内に
豊富な人脈を持つに到ったことはまさに日本の国益に適う活躍。


ソ連崩壊前後の近代政治を齧ったものなら、本書の内容はまさに
現場を語るにふさわしい内容と理解できるはず。


ゴルバチョフ、エリツィンといった大物や彼らを支える側近たち、
果てはソ連の解体を目論む反政府組織の活動家など、登場人物に
はことかかない。


それにしても疑問に思うのは、彼はなぜ逮捕されたのか。


そのあたりは前作「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」
に詳しいようなので早速手にとってみたい。