- 狼花 新宿鮫IX (新宿鮫 (9))/大沢 在昌
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勝手に採点 ☆☆☆☆
ご存じ「新宿鮫」最新シリーズ。
テンポの良さと事件の構図が明快なため、エンタテイメ
ントとして十分楽しめる一作。
警視庁新宿署の鮫島警部が今回追い詰めるのは盗品市場。
盗品をシステマチックに換金するシステムを暴力団の
支配を巧みに逃れながら独立性を保ち運営されている
らしい。キーになるのは、バイヤーの中国人女性。
彼女の素性を暴くため単独で捜査を行う鮫島。
すると意外なことに前作で取り逃がした仙田が背後にい
ることが判明し、事態は急展開を見せる・・・。
さらに鮫島と同期のキャリア管理官・香田との微妙な
バランス関係が崩れ、確執が最高点に達する。
香田が主張する暴力団を使って不良外国人を排除する
システムは現実的で説得力があり、鮫島の理想論よりも
即効性のある策といえる。
鮫島もこのあたり理解しているだけに単純な対立とは
異なり関係が複雑化している。
本編では謎に包まれていた仙田の素性も明らかになり、
彼がどうのようにして国際的な犯罪者になっていった
かが判明する。
神出鬼没、大胆不敵な彼には似つかわしくないあっけない
幕切れで肩透かしの感が強いが、仕事に私情を挟んだ報い
を受けたというところか。
鮫島の上司・桃井の存在も内容に厚みを持たせるとともに、
捜査状況を説明する下りなどは、読者の頭の整理にも最適。
さらに良かったのは、恋人・晶の出番が少ないこと。
彼女がいないと、リアリティと男臭さが損なわれない。
それにしてもこのシリーズは毎回期待を裏切らないので、
次回作が待たれる。





