朗読者/ベルンハルト シュリンク
¥1,890
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勝手に採点 ☆☆☆


15歳の少年が母親に近い年齢の女性と恋に落ち、
逢瀬を重ねるが、突然、彼女は姿を消す。


大学生になった主人公は意外な場所で彼女と再
会を果たす。そこで明らかにされる秘密とは。


久しぶりの再読。


雰囲気的には村上作品に近いものが感じられ、
親近感を抱く。


ただ話題がナチズムに絡められる分、暗くなり
がちでより現実世界での葛藤がメインテーマ。


その分ファンタジックな色合いは薄い。


ただ、ノンフィクションでないためか、後半の
名作をテープに録音して届け続ける行為や彼女
が手紙を書くシーンなどいまいち心に迫ってこない。


さらに残念なのはラスト。


せっかくの新しい人生をあきらめてしまったのは
なぜだろう。

失われた町/三崎 亜記
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆☆


町に住む住人が忽然と姿を消してしまう消失現象。


数十年に一度訪れるこのカタストロフに立ち向かうべく
管理局なる秘密組織が活動し、失われた町に関する
あらゆる情報を収集、廃棄していた。


さらにその悲劇を阻止するため様々な試みが験され奏功し、
新たな消失町が特定され住人が避難を完了する。


この先どんな事態が発生するのか!?


半世紀近いタイムスパンの話が時系列的に並んでいない
ので全容を把握しずらい。


結局、あれ、これだれだっけ?と前に戻ること請け合い。


さらに、登場人物も多く感情移入できないまま、次章に
進んでしまい消化不良感も残る。


もうひとつ分かりにくいのが、架空の時代、地域設定。

ここまで複雑にする必要もないと思うのだが、筆者は
色々詰め込みたかったらしい。


「ドリームバスター」や「屍鬼」の雰囲気にも似た独特
の世界観が特徴の新しい試み。


個人的には好みではないが万人に受け入れられるものだろうか。

我らが隣人の犯罪/宮部 みゆき
¥470
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勝手に採点 ☆☆☆


宮部氏初期の作品で少年が主人公の中編集。


東野氏の初期の作品にもこういった謎解きがメインの
パズルを解くような嗜好のものがあるが、最近は流行らない。


題名にもなっている「我らが隣人の犯罪」では、叔父と中学生
の主人公が、脱税を行っている隣家の家人を脅して、あわよくば
その分け前に与ろうという話。


叔父さんはまるで恐喝者。いくら犬の鳴き声がうるさいとはいえ、
こんな悪者に簡単に加担する考えが分からない。


とばっちりを食った反対側の家も可哀想なほど。


それに比べると、同じ年頃の少年が主人公の試験管ベイビーの話
は心和ませるストーリー。


追い詰められたシングルマザーの切迫感を優しい少年の気持ちが
うまく包み込み事態は一件落着。


愛情とアイデアが凝縮された一編。

スプートニクの恋人/村上 春樹
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆☆


主人公で教師の僕と大学の知り合った「すみれ」の
微妙な友情と彼女の失踪を独特のタッチで描く恋愛小説。


あいかわらず幻惑的な村上ワールド。


雰囲気的には「ねじまき鳥クロニクル」に似ている。


こちら側とあちら側の世界があって、ある理由から
愛する人があちら側に行ってしまって失踪する。


それを見つけようとする僕の内省。


独特の空想的世界は控えめで、非常に現実的な出来事が
主体で読みやすい。


前半部分のすみれとのやり取りも分かりやすく微笑ましい。

しかし、彼女が思いを寄せる憧れの女性の元から突然いな
くなり物語りも迷走気味に。


ラストシーンのすみれからの電話は何を意味するのか。
すぐに居場所を伝えるため、電話はかかってくるのだろうか。

まほろ駅前多田便利軒/三浦 しをん
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆☆☆


まほろ市で便利屋を営む多田とひょんなことから
居候する事になった高校時代のクラスメート行天。


気の合わないコンビのささやかな活躍と友情を描く。


アイデアと巧みな文章次第で面白い作品を作れる典型。


殺人事件やびっくりするような事件なしでここまで
楽しませる筆者の力量はかなりのもの。


主人公の二人もお互いバツイチで全くさえないものの、
便利屋という商売を通じて、人と出会い交流し幸せの
意味を見出していく。とてもささやかだが。


挿絵の二人はレディースコミックに登場するような
かなりの美形だが作中は全く印象が異なる。


年齢設定は分かりにくく微妙。20代後半か。


特に好感の持てる登場人物は娼婦のルルたち。

身体は売っても心までは売らない典型。


チワワもさぞかし幸せに過ごしていることだろう。

それにしてもタバコを吸うシーンが多い。


ドラマ化すれば真っ先にJTがスポンサーに名乗りを
あげるだろう。ただし、肺ガンにはご用心。

たそがれ清兵衛/藤沢 周平
¥580
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勝手に採点 ☆☆☆☆


映画化もされたメジャー作品。


実直な性格で質素な生活を送る下級武士たち。


共通するのは武芸に秀で、ヒト癖ある性格や容姿。


彼らに下される過酷な藩命や降りかかる災難にひた
むきに対処する生き様を描く時代小説。


「用心棒日月抄」の主人公が、くるくる別人に変わり
短編にまとめられた感じ。


映画化されたとあって長編かと思いきや「たそがれ清兵衛」
を始めすべて短編。


病身の妻を助けるため、早々と下城し帰宅すると家事や
内職に勤しむため、昼行灯の清兵衛。


夕方から元気を取り戻す彼のあだ名が「たそがれ清兵衛」

しかし、その実彼は免許皆伝の腕を持つ剣の達人。


そんな彼が藩のお家騒動に巻き込まれ、刺客として抜擢される。
見事藩命をやり遂げ、褒美に妻を名医に見せ、湯治場へ連れて
やることができたというお話。


どうやら映画化された話は「祝い人(ほいと・物乞い)助八」
という話の方らしい。


そのほか、「うらなり」や「ごますり」、「だんまり」など
能あるタカは何とやらを地で行く主人公たち。


それにしても、経済的、地位的に恵まれない武士の生き様を描
かせたら右に出る物はないと思わせる筆者。


さほど多くない文量に凝縮された秀作たち。


彼らの哀愁漂うそこはかとない奥ゆかしさが暖かく胸に伝わる。

これからも、藤沢氏の作品を手に取るのがとても楽しみ。

きつねのはなし/森見 登美彦
¥1,470
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勝手に採点 ☆☆☆


幻想的な雰囲気漂うファンタジックホラー集。

今が旬の森見作品初体験記念。


ジャンルは全く異なるものの、伊坂幸太郎に設定や文体が似て
いる気も。どこがどうと問われるとすっと出で来ないが。


主人公の学生が体験する不思議な憑き物にまつわる話が中心なの
だが、原因と結果は明確でないため読後のスカッと感は乏しい。


だからどうなのよ~、といった感想が出がち。


連作的な作りすべての物語が断片的に繋がっているのだが、
特に深い脈絡に欠ける。


特に最後の謎の水生生物の話は不可解&不発。


最後にオーッと盛り上がったかと思いきや突然?と終わる。

目くらまし的作風は感心しない。


言いたい事、描きたい事をきちんと読者に伝えて欲しい。

佐々木 譲
警察庁から来た男

勝手に採点 ☆☆☆


北海道警察本部に対して警察庁から異例とも
言うべき特別監査が実施される。


監察の指揮を取るのは若きキャリア・藤川。


二件の不可解な事件から、道警内部に巣食う不正を
追求して行くがなかなか接点が見当たらない。


そこに前回も活躍した佐伯が現場で、津久井が藤川を
補佐する形で絡み、道警と暴力団との癒着を暴いていく。


前回同様あまりにスピーディーに問題が解決して様に
違和感を覚える。そこまで早く出来事が主人公に有利
なようにスムースに動いてしまうものか。


また、裏金や旅行、再就職の斡旋など、暴力団との癒着
があれば、当然の如く警務や内部通報により、上層部に
伝わるはずだが、その気配もなかったよう。


それが野球チームつながりで芋づる式に簡単に暴露する
あたりが薄っぺらい印象がぬぐえない。


事がこうも簡単に進むなら、なぜ今まで露見しなかった
のか甚だ疑問。


ただ、展開としては「踊る大捜査線」の如く、キャリア
VSノンキャリの葛藤や警察内部の権力闘争、銃撃戦など
テンポ良くボリュームも満載。


テレビ映画向けにはちょうど良い題材。

ナイチンゲールの沈黙/海堂 尊
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆☆


チームバチスタの栄光に続く第二弾。

舞台は東城大学医学部付属病院。


眼球摘出手術を控える男子中学生の父親が何者かに殺害される。
遺体はバラバラに切り刻まれると言う凄惨なもの。


警察庁から地元署に出向中のキャリア加納が最新科学装置を
武器に捜査の指揮を取る。


そこへおなじみ田口医師と厚生労働省の白鳥のコンビが加わり
犯人究明に協力するが・・・。


とにかくキーパーソンが多すぎ。


田口、白鳥を始め、加納や伝説的歌手や看護婦浜田、被害者の
息子など、誰に感情移入しても次々と主体が変わってしまう。


特に今回から新たに登場した人物の描写がなおざりに。

しかも殺人事件は不必要。


看護婦と入院患者の交流や強制入院させられた歌手と病院関係
者とのやり取りは、微笑ましくもドラマティック。


このあたりを大きく膨らませた方がよりリアルで感動的な話に
仕上がるはず。安っぽいミステリーになってしまった分、この
あたりのトピックが台無しに。


また、犯行現場を再現する画像装置や犯人の心理状況を把握す
るために歌を活用するなど、突然非科学的描写も出てきて漫画
的な色彩も強い。


筆者は医師で題材も病院ものなのだから、得意分野から逸脱しない
ことを心がけてほしいもの。

苦難の乗り越え方/江原 啓之
¥1,260
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勝手に採点 ☆☆☆


今やお茶の間のアイドルとなった感のあるスピリチュアル
カウンセラーの江原啓之氏が説く前向きな生き方への処方箋。


「人と比べない」、「運命と宿命の違い」、「一日一日を
大切に生きる」など、簡易な文章で分かりやすいうえ、

言っていることはごもっともな内容。


その辺の評論家が説くよりよっぽど共感できる内容で
テレビで見ている暖かい人柄がそのまま伝わってくる。


しかし、どうも胡散臭いのは死んだらどうなるかを説く霊界
ネタや守護霊、前世の話。


生き方に迷った人や困難に直面した人が解決策を求める気持
ちも理解できるし、そんな話で解決の糸口を見つけられる
のなら良いのだろうが・・・。


信じれるところは吸収し、そうでないところは読み流しても
十分理解できる内容なのでそれで満足。