ナイチンゲールの沈黙/海堂 尊
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勝手に採点 ☆☆☆


チームバチスタの栄光に続く第二弾。

舞台は東城大学医学部付属病院。


眼球摘出手術を控える男子中学生の父親が何者かに殺害される。
遺体はバラバラに切り刻まれると言う凄惨なもの。


警察庁から地元署に出向中のキャリア加納が最新科学装置を
武器に捜査の指揮を取る。


そこへおなじみ田口医師と厚生労働省の白鳥のコンビが加わり
犯人究明に協力するが・・・。


とにかくキーパーソンが多すぎ。


田口、白鳥を始め、加納や伝説的歌手や看護婦浜田、被害者の
息子など、誰に感情移入しても次々と主体が変わってしまう。


特に今回から新たに登場した人物の描写がなおざりに。

しかも殺人事件は不必要。


看護婦と入院患者の交流や強制入院させられた歌手と病院関係
者とのやり取りは、微笑ましくもドラマティック。


このあたりを大きく膨らませた方がよりリアルで感動的な話に
仕上がるはず。安っぽいミステリーになってしまった分、この
あたりのトピックが台無しに。


また、犯行現場を再現する画像装置や犯人の心理状況を把握す
るために歌を活用するなど、突然非科学的描写も出てきて漫画
的な色彩も強い。


筆者は医師で題材も病院ものなのだから、得意分野から逸脱しない
ことを心がけてほしいもの。