幸福なる共同体を創る知恵
幕末から明治初期に来日した欧米人たちが見た日本人の幸せな生活。
引用ーー
■7.子供が可愛がられる国■
子供達の姿も見てみよう。モースはこう書いている。
世界中で日本ほど、子供が親切に取り扱われ、そして子
供の為に深い注意が払われる国はない。ニコニコしている
所から判断すると、子供達は朝から晩まで幸福であるらし
い。彼等は朝早く学校へ行くか、家庭にいて両親を、その
家の家庭内の仕事で手伝うか、父親と一緒に職業をしたり、
店番をしたりする。彼等は満足して幸福そうに働き、私は
今迄に、すねている子や、身体的の刑罰は見たことがない。
・・・
小さな子供を一人家へ置いていくようなことは決してな
い。彼等は母親か、より大きな子供の背中にくくりつけら
れて、とても愉快に乗り廻し、新鮮な空気を吸い、そして
行われつつあるもののすべてを見物する。日本人は確かに
児童問題を解決している。また、日本人の母親程、辛抱強
く、愛情に富み、子供につくす母親はいない。だが、日本
に関する本は皆、この事を、くりかえして書いているから、
これは陳腐である。[1,p103]
「日本に関する本は皆、この事を、くりかえして書いている」
という点の例証として、イザベラ・バードの記述を挙げておこ
う。
私は、これほど自分の子どもをかわいがる人々を見たこ
とがない。子どもを抱いたり、背負ったり、歩くときは手
をとり、子どもの遊戯をじっと見ていたり、参加したり、
いつも新しい玩具をくれてやり、遠足や祭りに連れて行き、
子どもがいないといつもつまらなそうである。・・・
彼ら(JOG注: 子どもたち)はとてもおとなしく従順で
あり、喜んで親の手助けをやり、幼い子どもに親切である。
私は彼らが遊んでいるのを何時間もじっと見ていたが、彼
らが怒った言葉を吐いたり、いやな眼つきをしたり、意地
悪いことをしたりするのを見たことがない。[1,p90]
■8.おんぶ天国■
赤ん坊をおんぶして育てる日本の母親の姿は、特に外国人た
ちの興味を引いた。英国の初代駐日総領事として安政6(1859)
年に来日したラザフォード・オールコックは、『大君の都』の
中でこう書いている。
子供は歩けるようになるまでには、母親の背中に結びつ
けられているのがつねである。このばあい、子供は母親が
家事をするさいにも彼女につきまとうわけだが、彼女の両
腕は自由になっている。不幸なことには(これは、見る人
によりけりだ)、かわいそうな赤ん坊は、頭が自由になる
だけで、そのからだは一種のポケットのようなものにいれ
られて、それだけでささえられている。その結果、親のか
らだが動くごとに赤ん坊の頭が、まるでくびが折れそうな
ほど左右に曲がり、前後にゆれる。
だが、心配は無用である。母親はよく知っている。子供
たちは何十世代にもわたって、代々まさしくこのように育
てられてきたのだ。・・・たしかに、赤ん坊はそれをいや
がって泣いたりすることをしない。[1,p107]
このほぼ一世紀後に来日したアメリカの日本文学研究者・ド
ナルド・キーンは『果てしなく美しい日本』でこう書いている。
生まれて最初の何年間を、子供はほとんど母親の身体の
一部として暮らす。母親はどこへ行くにも子供を連れて行
く。彼女はしばしば子供を背中に背負い、特にそのために
作られた衣服を着ける。子供が空腹になれば、場所がらも
気にかけず、ただちに乳房を吸わせる。日本の母親は息子
を独立させることに関心がなく、いつどこでも好き勝手が
許されるわけではないことを子供に教えようともしない。
それどころか、彼女の努力は息子の幸福な幼年時代を長く
してやることに集中される。[1,p110]
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いまはどんな感じでしょうか。「親である前にひとりの人間、自分の時間も大事にしなくちゃ」って感じでしょうか。いやそんなことはなさそうです。きっと一部の人だけでしょう。だって電車でポケモンスタンプラリーやってる親子連れがたくさんいるものw