前回(3/6)は、エリザベス宮地監督の
ドキュメンタリー映画「WILL」を観て
という最初の感想を書かせていただきました。
映画を観てから2週間以上経つのですが、私の中で大きく変わったことがあります。
毎日気づいていたことなのですが、今日改めて気づいたことです。
今日(3/20)は春分の日、お彼岸ということで夫とお墓参りに行きました。その帰りに二人でスーパーに寄り、昼食と夕食の食材を購入するため食品売り場を見て回りました。
お墓の近くにオープンした比較的新しいスーパーで、初めて立ち寄りました。広々として生鮮食品が充実していました。
夫は、結構舌が肥えているといいますか、食材にはうるさいところがあって。。特に鮮魚(お刺身)とお肉選びは丁寧に吟味します。そこだけはじっくり時間をかけます。
食肉コーナーできれいに陳列された、新鮮で美味しそうな精肉の前に来た時、見事(芸術的)に大量に並べられたパッケージを見て、『美味しそうなお肉』と思ったのはほんの一瞬で、次に思い浮かんだのは「WILL」で知ることとなった、スーパーに並ぶまでの過程です。
美味しそうなお肉が切り身になるまでの裏側。
本革のジャケットや小物を見ても、すぐに「WILL」を思い出します。
そして、一番に「ありがとうございます」と心の中で呟きます。
感謝の気持ちが湧いてくるのです。
製品になるまでの舞台裏で、動物を殺める人がいる。
殺めた動物を運ぶ人がいる。
動物の死体を解体・処理する人がいる。
きれいにカッティングして、パック詰めする人がいる。
冷凍する前の段階で、生々しい現場に立ち込むであろう血なま臭さや内臓の処理、その中のどれが欠けても成立しない私たちの食卓。外食産業。高級レストラン。
私は海の近くで育ったこともあり、幼少期からどちらかというとお肉よりお魚を食べることが多かったので、今でも変わらずお魚の方が好きです。
美味しいお肉との出会いは、大人になってからと言っても過言ではありません。夫は逆でしたが、若い頃よりは今はお魚を好むようになりました。
何と言いますか・・
「WILL」を観てから大きく変わったことは、食に対する感謝の気持ちです。
この映画を世に出してくれたエリザベス宮地監督にも、オファーを引き受けてくれた俳優であり猟師である東出昌大さんにも、今になって感謝しています。
「生きること」「自然との共存」「生の営み」「生の性(さが)」のようなことを考えるきっかけを与えてくれる。このような映画は希少で貴重だと思います。
山の奥地で子どもたちに、食育として、猟師が捕らえた鹿(猪だったかな?)を解体する現場を見学させるシーンが出てくるのですが、これも色々と考えさせられました。
自分の子どもだったらどうかな?
それを体験させられるかな?等々。
実際に現場を直視する体験というのは困難だと思いますが、こうして映像で勉強する食育?というのがあってもいいのかなと思いました。
ここからは、少しショッキングな感想と映像に関する過激な描写もありますので、今日は気分良くいたい、暗い気持ちになりたくないという方はここで退室(Good bye)をお願いします。
ご訪問いただき、お読みいただき、ありがとうございました。
このMVの中に、今よりずっとずっと若い可愛いエリザベスさんが出てきます。もし良かったら見てみてね♪
お読みいただき、ありがとうございました。
気分悪くなりたくない方は、
ここからMOROHAのMV「tomorrow」
の所まで飛んでください。(下)↓↓
まどろっこしくてごめんなさい。
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【閲覧注意】過激な表現があります
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正直言うと、ひとつだけ心に引っかかるものがあって、私にとってはとてもショッキングな映像がありました。
それは、色鮮やかで綺麗な緑色の鳥(バードウォッチングを思わせる美しい野鳥)名前が分からないのでごめんなさい。上手く表現できません。でも確かに鴨ではありませんでした。(鳥類にあまり詳しくないので正確に伝えられません)
その鮮やかで光沢のある美しいグリーン羽毛?の顔を持つ野鳥の映像は、
あるのはまだ生きているような円らな瞳の「横顔」と、その下には丸くて可愛い小さな、多分「胃袋」だけ。顔からぶらさがっている。それだけが繋がっている姿。
なんと言えばいいのでしょうか。
なんとも言い表すことができません。
まるで、アート作品でも見るような衝撃的な姿でした。美しいだけにショッキングな映像でした。
これを虐待と感じる人ももしかしたら居るのかもしれません。
私はどう気持ちの処理をすればいいのか・・分からなくて、ずっと考えていました。数日間はその映像が脳裏に焼き付いて離れませんでした。
初めて目に入ったその奇妙で奇怪な絵面に、強烈なインパクトを残してしまったようです。
時間の経過と共に今は薄れてきましたが、これを「残酷」と捉えるのかどうか・・
上手く言えませんが、その野鳥の見えない肉体の行先はどうなったのだろう?食用とされたのだろうか?おいしく調理されて食されていれば、それはそれで他の動物と同じ扱いに過ぎないのですが・・。
その先の私の記憶がストップしていて、分からないのです。結末が何も分かりません。
(果たして、映画の途中を見逃したのだろうか・・そんなはずない、私ちゃんとしっかり全部見たよね?)と自問自答。
故に、気持ちの整理ができずにいました。ちょっと苦しかったです。
これを書くかどうか、書いていいのかどうかも分からなくて・・時間がかかりましたが、気持ちの整理をするためにも書いてみることにしました。
恐らくですが、この何とも言えない強烈なインパクトと心の残像は、エリザベス宮地さんが何年も前に友人の写真家(石川竜一さん)が撮影した、動物(鹿だったかな?)の臓器の写真を見た時のインパクトと似ているのでは?・・と内心感じています。多分・・いえ、不確かです・・(知らんけど)
「美しいアートのような残酷さ」
でも写真になればアートにもなる・・といったような。本当に何とも表現できないインパクトと心の残像です。上手く伝えることができません。
東出昌大さんが確かこんなこと言っていました。
「世界は残酷で溢れている」と思うんですよね、みたいなこと。
その言葉に共感する日々です。
本当にその通りで、その残酷の日常があるから私たち人間は栄養を摂って生きていられます。
それを忘れてはいけないと思いました。
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tomorrow
動物を殺める人間も、誰もがやりたくない仕事をする人たちも、生きるためにそれをしている。
そういう尊いワーカーが存在するお陰で、私たちは健やかに成長し生きてこられたという事です。
全てに感謝「ありがとう」の気持ちが溢れます。
食事をする前に今までは「いただきます」と言っていましたが、今は「感謝していただきます」と言うようになりました。
人前ではちょっぴり恥ずかしいので「感謝して」は心の中で唱える感じですが、一人の時は必ずそう言って食べています。
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食肉として扱う動物の飼育環境問題等は諸処あると思いますが、「WILL」が提示しているのは、もっと別な観点。
東出昌大という一人の人間を見つめる・・そういう意図もあるので、ドキュメンタリー映画としては色んな味付けがあり、見応えあるものになっていました。
奥様が妊娠中?出産後?詳しくは分かりませんが、育児で多忙な妻を裏切る不倫行為をしていた、女性からすると許せない夫(男)ということになります。
離婚して、多くの仕事を失い、多額の借金を背負って、事務所から独立した東出さんの今「一人の男の生き方」「狩猟」「俳優」「猟師」・・多面な顔と、多色なコントラスト。
スキャンダル後、重い十字架を背負って生きているからこそ、内側から出てくる人間味。彼の内面を引き出すエリザベスカメラ。
前記事で書きましたが、途中で私が泣いたシーンがあります。
それは、食育として見学に来ていた子どもたちと遊ぶシーンです。無邪気に、屈託のない無邪気な笑顔で子どもたちと戯れるのです。
じゃれ合って、走り回って、転げ回って、子どもにもなつかれる。この自然体のほのぼのシーンを捕えるザベス監督。
かなり走り回ったことでしょう。笑
あぁ、この子どもが自分の実の子どもだったら、こんな風に笑って遊ぶんだろうな・・。この人の愛情は確かにここにあるはずなのに。
なぜ人間は間違いを起こすのだろうか・・。
遊ぶ相手を間違えてるよ?
本来はそこに自分の子どもがいたはずだよ?
本当は人より愛情深い人間なんじゃない?
冷酷なのに感情豊かな愛情深い人・・そんな風に感じていました。胸が高鳴るシーンでした。
そこにあの感情を揺さぶる音楽が重なるのです。
はい、MOROHAの人間ドラマ風のあの歌が!
挿入歌はこの映画のために作曲したものではなく、何年も前から既存の楽曲ばかりだそうです。それが、今の東出昌大さんにぴったりシンクロするのです。・・泣きました。
ある動画で、
「愛ってなんでしょう?」
という高橋弘樹氏の質問に
「僕はやっぱり子どもなんですよね」
「自分が自分の子どもに向ける愛・・」
と答えていました。
少年のような無邪気な笑顔を向ける人懐っこさ。もしかしたらこの人は、人たらしなのかもしれない。いい意味で。
藤井風さんの人たらしとはちょっと違うかもしれないけれど、人を惹きつける、人を引き寄せる魅力のある男性なんだろうなと思いました。
とにかく知識が豊富。勉強熱心。読書家。
女好きというよりは人好きなんだろうな・・
完成した映画を観て、東出さんは
「俺、人間のクズじゃん。俺ってこんなに理屈っぽい人間だったのか・・」とか、そんなこと色々話されていましたが、
人生のどん底まで落ちて、孤独になって、落ちて落ちてうつ病のようになって、この先の未来を憂いている時に、エリザベス監督からドキュメンタリー映画のオファーがあり、最終的に受けることにしたそうです。
「そういうどん底の時に、いつも宮地さんが(撮影で)側にいてくれたことが有難かった」と、助けられたというような事もある取材で話されていました。
結果的にエリザベスさんは、東出さんを救ったのだと思います。
エリザベス監督だからこそ、こんなに深い人間味溢れるドキュメンタリー映画が生まれたのだと思います。
私は、短編・長編、過去の藤井風さんの全てのドキュメンタリーを観て、エリザベスさんを好きになったので「WILL」はどうしても観たかったのです。観に行って良かったです。
色々な気づきを与えてくださり、ありがとうございました。
こちらは東出昌大さんの一面が垣間見える動画です。(役者としての向き合い方など)
「WILL」を見に行った映画館で知った、東出さんも出演している映画「福田村事件」
これも観たいと思っています。(もう上映終了してしまいそうなのですが)汗
ドキュメンタリーとか、実話を元にした映画が好きなもので。笑
でも「四月になれば彼女は」は、公開初日のあさイチで観に行きます!!座先予約しました!!楽しみです♪
原作は読まずに、真っ新な状態で観ます。(ん?)
本当は我慢できずに少しだけ読み始めたのですが、途中で止めました。映画を観終わったら、小説を読んでもう一度映画を観ます!映画の見方や感じ方が変わるかもしれませんね。楽しみです。
またまた他愛のない記事になりました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
<おまけの写真>
鹿児島・指宿「開聞岳」
露天風呂・玉手箱温泉から見た「開聞岳」
きれいでした