■WRAPプログラムで元気回復
Melkでは、障がいのある方を対象に、いろいろなサポートを実施しています。その中の一つに、WRAPプログラムを今回はご紹介します。
「WRAPってなに?」と疑問を抱く人も多いでしょう。WRAPとは、Wellness(元気)、Recovery(回復)、Action(行動)、Plan(計画)の頭文字を取ったものです。日本語で言うと「元気回復行動プラン」となります。簡単に説明すると、自分自身が元気に過ごすためのプランを自主的に考えてみるプログラムのことです。私たちは全員、常に快適な気分で生活しているわけではありません。時には落ち込むこともあるでしょうし、気分のすぐれない時も出てくるでしょう。そのようなときに、気分を高めて元気になれるようなプランを考えていくプログラムがWRAPプログラムなのです。
そもそもWRAPプログラムは、アメリカにそのルーツがあり、実際に精神疾患で苦しんでいた方が、自分の経験を基に開発したプログラムです。現在では日本でも実施されており、Melkでも活用しています。Melk のWRAPプログラムの特徴として、元気になる方法を他人から押し付けられるのではなく、「自分自身で考え見つけていく」スタイルを取っているということです。Melkではプログラムを実践するために、毎回異なるテーマを設定します。そしてMelkの参加者同士で自分の体験を話して情報を共有、それに対する意見交換を行います。このコミュニケーションの中で、自分が元気を維持する・元気になるためにはどのような方法がマッチしているかを自身で見つけていくのです。
■WRAPプログラムの内容は?
次に実際にMelkのオフィスで実践されたWRAPプログラムの内容について紹介します。
・「元気に役立つ道具」を見つける
まずは、「元気に役立つ道具を見つける方法」について紹介しましょう。WRAPプログラムでは、元気を回復する・維持するために必要な事柄を「元気に役立つ道具」と呼んでいます。食べ物などの現物でもいいですし、目に見えない趣味や習慣でも構いません。自分なりに元気に役立つ道具を見つけていくプログラムをMelkでは実施しているのです。
見つけるための流れとしては、「ウキウキする趣味」や「寒い時期に使えるもの」といったテーマを、Melkのスタッフで設定し、利用者の方々で元気になるために役立つアイデアを自分なりに考えて出し合っていきます。そして、他人の出したアイデアに対して感想を述べあいます。なかには、ほかの人のアイデアを聞いて、自分の生活にも取り入れられるものもあるでしょう。そのような道具をどんどん取り入れて、セルフコントロールできる状態を作り出すのが、Melkの最終的な目標です。
・身近にある幸せを見つける
「身近にあるちょっとした幸せ」というテーマでWRAPプログラムを行っているオフィスもあります。文字通り、自分の体験したちょっとした幸せについてアイデアを出し合っていきます。すると、自分が普段気にも留めなかった事柄が、実はほかの人にとってちょっとした幸せに感じることもあることに気が付きます。このような意見交換することで、視野が広がった、自分が今まで実践してこなかった方法が新鮮だったという意見が生まれてきます。
Melkが提供するWRAPプログラムを楽しむことで、元気を回復する方法を自分なりに見つけていくことができるでしょう。
■難しいテーマで話し合いをすることも…
Melkのオフィスの中には、少し難しめのテーマでWRAPプログラムを実践しているところもあります。例えば、「学び」と「権利擁護」について考えるというWRAPプログラムです。一見すると、どのような意見を言えばいいかわからないという人もいるでしょう。しかし、学びは「今まで学んだことについて」、権利の擁護は「自分にも権利があると主張したいこと」というシンプルなテーマと考えます。すると利用者の方々の間でも、活発な意見が出てきます。
例えば学びのテーマでは、食の話題で盛り上がりました。食事は普段何気なく行っていることかもしれませんが、新たな発見があったようです。権利擁護は難しいテーマかもしれませんが、身近な権利からもっと大きく人生の核心に迫るような権利についても、いろいろと考えることができます。
このようにMelkでは、自分でいろいろと考える力を引き出す施策も実践しています。Melkでは就労するための実践的なプログラムのほかにも、WRAPプログラムのようなメンタル部分をケアできるようなものも用意しているのです。就職して仕事をすれば、ストレスはどうしても受けるものです。その中でも元気を維持するためにはどうすればいいか、Melkではいろいろなアプローチを提供しています。
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