分子栄養学のススメ -13ページ目

分子栄養学のススメ

分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

夏バテといわれる症状は、体がだるい、食欲がない、頭痛がする、めまいや立ちくらみがするなど、様々です。

 

これらの症状は、更年期の不定愁訴やストレスの影響などがその原因になることがありますが、低血圧の症状も、これに似ています。

 

低血圧は、朝に強く出ることが多く、朝起きるのがつらいなど、特に午前中の生活に支障をきたします。

また、季節ではに症状が出やすく、食欲不振になると夏バテし易くなります。

 

外気温が高いと、末梢血管が拡張するため血圧が低下します。

加えて、夏季には汗をかくことによって、循環血流量が減少することも血圧が下がる要因となります。

そのため、水分の補給はもちろんですが、ナトリウムやカリウムなどの電解質も不足しないように注意する必要があります。

 

●低血圧の種類

 

高血圧と比較して、低血圧には明確な基準がありませんが、一般には、最高血圧 (心筋の収縮期)が 100mmHgより小さい時を目安にしています。

 

低血圧も高血圧と同じく、体質的なものと、原因となる疾患があるものとがあります。

 

慢性的に低血圧が続き、外的要因が思い当たらない場合は、体質や遺伝的な要因である本態性低血圧と考えられます。

本態性という語は、医学的に明らかな原因はないことを指しています。

 

また一過性のものとして立ちくらみといわれる起立性低血圧症もあります。

立ち上がったとき、重力によって下半身に血液がとどまろうとするので、静脈から心臓へ還る血流が減少し、そのため収縮期血圧は20mmHgほど低くなります。

 

このような状態の時、交感神経は、ノルアドレナリンを放出して、静脈を刺激して血液還流を促し、心筋に対しては拍出量を増加させ、細動脈には収縮を命じます。

細動脈は、交感神経支配を受けており、血圧の調節に重要な役割を果たし、抵抗血管ともいわれます。

 

通常は、数十秒で元の血圧に戻りますが、低血圧症の人では、動脈がすばやく反応せず、その収縮の力も強くないため、血圧の回復が遅れ、立ちくらみや失神などを起こすと考えられています。

 

●高齢者の3人に1人は低血圧

 

加齢によって高血圧が起こり易いことは広く知られていますが、実際には、血圧が低くなる人が少なくないことも分かっています。

これは、血圧調節役の自律神経系で、交感神経の作用が鈍ってくることなどが原因です。

また脳への血流が減少すると、低血圧症状が起こり易くなってきます。

 

特に、立ちくらみやめまいといった症状は、転倒や思わぬ怪我につながることもあります。

低血圧が起きやすいタイミングや予防方法について、知っておくことが大切です。

 

日常生活では、急に立ち上がらないように日頃から注意したり、食事では、一度に多く食べないことや食後に安静を保つことなどが挙げられます。

 

食後は食べた物を消化・吸収するため、血液が胃や腸などに集まり、脳への血流が減少します。

通常は、自律神経が働き、血圧や心拍数を上げて、血液の循環を調節しますが、この機能が上手く働かない場合は、血圧が低下し、食事性低血圧が生じます。

 

 

●血圧と栄養対策

 

低血圧の人には、一般的に、規則正しい生活、起床はゆっくりと、積極的に運動をする、などの指導が行われます。

 

栄養面での対策としては、高タンパク食を土台にした、フィードバックビタミン・ミネラルの摂取が欠かせません。

フィードバックとは、元々は工学の用語ですが、電化製品の自動制御のように、体にもフィードバック的に調整される仕組みがあり、生体の基本原則の一つとなっています。

 

このシステムがなかったら、血圧や血糖値、体液をはじめとする、体の恒常性(ホメオスタシス)を保つことはできません。

 

生体のフィードバックはコーディングによって可能となります。

コーディングとは、遺伝情報を解読してタンパク質を作る過程をいいます。

三石巌は、このコーディングに関わるビタミンやミネラル群を、フィードバックの基本に置くという意味で、フィードバックビタミン・ミネラルと呼びました。

 

体全体の代謝を正常に行うため、言い換えれば、生体のフィードバックがスムーズに行くように、良質タンパク、ビタミン、ミネラルに不足があってはなりません。

 

木で例えると、基礎となる土壌・根・幹は無視して、葉に栄養を与えても、その木は枯れてしまいます。

 

体本来の仕組みを活かした栄養対策が、まずは基本となります。

 

尿もれの悩みをお持ちの方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、なかなか話題にするのが難しい症状でもあります。
P&Gジャパン株式会社の2019年に行った大規模調査によると20代から60代の日本女性の2人に1人が尿もれを経験しているという結果が出ています。
加齢や妊娠・出産経験により尿もれを経験することが多いとされていましたが、この調査により尿もれは年代に関係なく誰にでも起こりうることがわかりました。

【尿もれの実態】P&Gジャパン株式会社2019年大規模調査より引用

 

尿もれの原因は?

多くの場合、尿もれは腹圧性と切迫性の二つに大別されます。

(1)腹圧性尿もれ
重い荷物を持ち上げた時、走ったりジャンプをした時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまうのが腹圧性尿もれです。女性の尿もれの中で最も多いといわれています。これは骨盤底筋という骨盤底の筋肉が緩むために起こり、加齢や出産を機に起こることが多いようです。荷重労働や排便時の強いいきみ、喘息なども骨盤底筋を傷める原因になるといわれています。

(2)切迫性尿もれ
急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまうのが切迫性尿もれです。トイレが近くなったり、トイレにかけ込むようなことが起こるため、外出や乗り物に乗る時など心配される方が多いようです。本来は脳からの指令で排尿はコントロールされていますが、脳血管障害などによりそのコントロールがうまくいかなくなった時など原因が明らかなこともあります。しかし、多くの場合、特に原因がないのに膀胱が勝手に収縮してしまう過活動膀胱により、尿意切迫感や切迫性尿もれが起こるようです。男性では前立腺肥大症、女性では膀胱瘤や子宮脱などの骨盤臓器脱も切迫性尿もれの原因になります。

その他、自分で尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつ漏れ出てしまう溢流性(いつりゅうせい)尿もれ、排尿機能は正常にもかかわらず、身体運動機能の低下や認知症が原因でおこる機能性尿もれなどもあります。

 

骨盤底筋を鍛えるメリット

女性の骨盤内は骨盤底筋群(筋肉や靭帯)によって支えられていますが、出産や加齢(閉経)などの影響で骨盤底筋の筋力が低下してしまいます。
また、現在ではコロナ禍を機に男女ともに座っている時間が増え、骨盤底筋が衰えてしまっている状況もあるようです。
女性では骨盤底筋が衰えることにより、膀胱、子宮頸部、直腸、膣壁などの骨盤内臓器が下垂して膣口から脱出してしまう骨盤臓器脱という病気を患うこともあります。骨盤臓器脱は女性特有の病気であり、欧米では経腟分娩を経験した30%の女性に骨盤臓器脱が見られるとの報告もあります。

骨盤底筋の衰えが尿もれの原因の場合、鍛えることで改善が期待できます。
筋肉は加齢により衰えるのではなく、年齢に関係なく使わなければ衰えてしまいます。
骨盤底筋を鍛えることのメリットは尿もれの改善だけでなく他にもあります。
骨盤底筋を鍛えることで骨盤周りの血流が良くなり、冷え性が緩和されたり、下垂していた内臓が引き上げられポッコリお腹の改善にも期待することができます。

 

骨盤底筋トレーニングとは・・・

排尿を途中でやめた時のように、膣や肛門の周りの筋肉を意識的にしめたり緩めたりする地味なトレーニングです。
このトレーニングは産婦人科医ケーゲルが考案したことからケーゲル体操とも呼ばれています。
基本的には横になっているときでも座っているときでも立っているときでも行うことができますので、気が付いた時に行ってみましょう。

【骨盤底筋トレーニング】

  1. お腹に手を当て、身体をリラックスさせます。
  2. 肛門や膣をお腹側に引き上げるように6〜8秒間ギュッとしめます。お腹には力を入れないようにします。
  3. 筋肉を緩めリラックスします。これを5回繰り返します。
  4. 1〜3を1セットとして5セット行います。

イラスト:東京女子医科大学附属足立医療センター骨盤底機能再建診療部HPより

 

三石が行っていたアイソメトリックス※と骨盤底筋トレーニングを組み合わせてより効果的に筋肉を鍛えていくこともおすすめです。
アイソメトリックスの場合は、このトレーニングを1日おきに行います。また、鍛えたい筋肉を全力で収縮させる必要があります。
骨盤底筋トレーニングを始めたからといって、すぐに効果が表れるわけではありません。最低3か月は続けてみましょう。筋肉は使わなければ衰えてしまいますので、継続して行うことが大切です。

※アイソメトリックスとは・・・アイソは「等しい」、メトリックスは「長さ」を意味する言葉で「等尺収縮」と訳されています。等尺収縮を利用して、筋肉に負荷をかけ、筋肉の繊維を増やす方法です。

※骨盤底筋トレーニングは様々な場所でお勧めされていますが、動きは同じでも回数が異なったり、体勢が異なったりします。弊社ではアイソメトリックスと組み合わせた方法をお勧めしていますが、体調に合わせて回数や体勢は変えていただいて良いと思います。
くれぐれも無理のないように行ってください。
 

骨盤底筋を鍛えるときに一緒に摂りたい栄養素

骨盤底筋は筋肉ですので、筋肉づくりに必要な良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ミネラル(カルシウム、マグネシウム、亜鉛等)などの栄養素を不足なくお摂りいただくことが大切です。
生体のほとんどの細胞は、常につくり替えられていますが、つくり替えの材料となる栄養素がしっかりと生体内に供給できていないと、もろく弱い細胞しかつくることができません。正常なつくり替えを促すためにも、これらの栄養素の摂取は大変重要となります。
また、筋肉の収縮・弛緩という動きにはカルシウムやマグネシウムが関わりますので、良質タンパクを中心に、カルシウム、マグネシウムを2対1の比率でお摂りいただくことが大切です。
栄養素を運んでいるのは血液です。血流が滞れば強化した栄養素が各組織にしっかりと運ばれていきませんので、血流の確保も大切な対策になります。ビタミンEやイチョウ緑葉フラボノイドの摂取によって血液の正常な流れを促すことをおすすめします。
 

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参考
P&Gジャパン尿もれケア『ウィスパー』HP
https://www.whisper.jp/
P&Gジャパン2019.10.17プレスリリース『日本女性 20代から60代 40,000人 に聞く、UI(尿もれ)実態大規模調査』
https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M101519/201910162218/_prw_OR1fl_M399Yr44.pdf
東京女子医科大学附属足立医療センター骨盤底機能再建診療部HP
https://twmu-amc.jp/mce/prsurgery/
 

「足のすねを押し、しばらくしても指のあとが消えない」「靴下の跡がなかなか消えない」などがあれば、身体がむくんでいるというサインです。


<むくみのメカニズム>

人間の身体のおよそ60%は水分で、そのうち40%は細胞内(細胞内液)に、20%は細胞外(細胞外液)にあります。
細胞外液は毛細血管壁を介して「組織間液」15%と「血漿」5%に分けられます。

むくみに関係するのは「組織間液」です。

私たちの身体に、栄養素や酸素などの必要な成分を送り届けるのは、血液と血管です。
心臓から送り出された血液は、動脈を通って全身を巡ります。
さらに、血液は身体の隅々に張り巡らされた毛細血管へと行き渡り、小さな細胞の一つひとつにも必要な成分を送り届けています。
ただし、小さな細胞のすべてに毛細血管がつながっているわけではありません。
毛細血管から「血漿」の一部が染み出て「組織間液」となり、細胞に必要な成分を運んでいます。
本来であれば、役割を終えた「組織間液」は、水分や老廃物となって静脈やリンパ管へ運ばれていきます。

 

ところが、何らかの原因で静脈やリンパ管の流れが悪くなってしまうことで、水分や老廃物は回収されずに行き場を失ってしまい、皮膚の下に溜ってしまいます。それがむくみの正体です。


<むくみの原因と対策>

■代謝機能の低下

血液中には、赤血球やアルブミンなどの多くのタンパク質が存在しており、その濃度は一定に保たれるように調節されています。
そのため、タンパク質が不足すると、血液中のタンパク質の濃度が薄くなり、一定濃度に保とうとして水分を外に排出します。
その結果、組織に余分な水分が溜まり、これがむくみとなります。
そこで、代謝を正常化するために、良質タンパク、ビタミンB群、ビタミンC、ミネラル(亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウムなど)、コエンザイムQ10などの栄養素が必要です。

 

腎臓、肝臓の機能低下


腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として体外に排出します。
腎臓の機能が低下すると、体外に老廃物を含んだ水分を排出できなくなるため、むくみが起こります。
そこで、腎臓機能を維持する為には、腎臓の基底膜を修復してろ過機能を正常化する必要があります。
基底膜はコラーゲンや糖タンパクなどで作られていますので、この再生の為に良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群(特にB6)、ビタミンC、ミネラル(亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウムなど)が必要となります。
さらに、基底膜を壊す原因となっている活性酸素を除去するために、ビタミンC、ビタミンE、植物ポリフェノール、コエンザイムQ10、カロチノイド、イチョウ緑葉エキスなどの抗酸化物質も必要です。

また、肝臓は食べたものをエネルギーに変えたり、アルコールや薬、老廃物を分解したり、胆汁という消化液を作り脂肪の吸収を助けたりします。
肝臓で作られるアルブミン(タンパク質)は、血液中の総タンパク質の約60%を占め、血液中の水分を一定に保つ役割があります。
肝臓の機能が低下してアルブミンが少なくなると、血液中の水分が血管の外へ出やすくなり、むくみが起こります。
そこで、肝臓の機能を強化するために、良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ミネラル(亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウムなど)が必要となります。


■筋肉、血流の低下

 

むくみは、血液循環とも関わりがあります。
人体の血液は、重力の影響により70%が下半身に集まっています。
心臓より下にある血液は重力に逆らって、心臓にたどり着かなければなりません。
ところが心臓のポンプ作用には、血液を送り出す力しかありません。
そのカギを握るのがふくらはぎです。
ふくらはぎは、下半身にある血液を心臓に押し戻す力強いポンプの役割を果たしているため、第2の心臓と呼ばれています。
この第2の心臓が担うポンプの作用が衰えると、血流が悪くなり、むくみが引き起こす下肢静脈瘤や心臓疾患、肝臓病、腎臓病、糖尿病など、さまざまな疾患のリスクも上がってしまいます。

筋肉を強化するためには良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ミネラル(亜鉛、マグネシウム)などの栄養素が必要です。

さらに、血流を促すためには、ビタミンEやイチョウ緑葉エキスなどの栄養素が必要です。
特に、イチョウ緑葉エキスの摂取は、副血行路※の発達を促進する働きがあります。

※副血行路とは、予備の血管です。主要血管が詰まって血流が途絶えてしまったときに、副血行路が開通し血流が途絶えることを回避します。

さらに、運動不足によってふくらはぎの筋肉が衰えると、ポンプ機能が低下し、足の血液を心臓へ送り戻す効率が悪くなります。

そこで、ふくらはぎの筋肉を鍛える「かかとの上下運動」がおすすめです。

また、足を小刻みに上下に揺らす「貧乏ゆすり」は、血液やリンパの流れを促すため、むくみの改善に繋がります。
筋肉が骨をこすることで起こる摩擦により、骨が血中のカルシウムを取り込むため、骨密度の増加にもつながります。

さらに、カリウムを多く含む食品(バナナ、アボカド、ほうれん草。小松菜など)の摂取やふくらはぎのマッサージなどもおすすめです。

 

参考図書