むくみはタンパク質不足のサイン? | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

「足のすねを押し、しばらくしても指のあとが消えない」「靴下の跡がなかなか消えない」などがあれば、身体がむくんでいるというサインです。


<むくみのメカニズム>

人間の身体のおよそ60%は水分で、そのうち40%は細胞内(細胞内液)に、20%は細胞外(細胞外液)にあります。
細胞外液は毛細血管壁を介して「組織間液」15%と「血漿」5%に分けられます。

むくみに関係するのは「組織間液」です。

私たちの身体に、栄養素や酸素などの必要な成分を送り届けるのは、血液と血管です。
心臓から送り出された血液は、動脈を通って全身を巡ります。
さらに、血液は身体の隅々に張り巡らされた毛細血管へと行き渡り、小さな細胞の一つひとつにも必要な成分を送り届けています。
ただし、小さな細胞のすべてに毛細血管がつながっているわけではありません。
毛細血管から「血漿」の一部が染み出て「組織間液」となり、細胞に必要な成分を運んでいます。
本来であれば、役割を終えた「組織間液」は、水分や老廃物となって静脈やリンパ管へ運ばれていきます。

 

ところが、何らかの原因で静脈やリンパ管の流れが悪くなってしまうことで、水分や老廃物は回収されずに行き場を失ってしまい、皮膚の下に溜ってしまいます。それがむくみの正体です。


<むくみの原因と対策>

■代謝機能の低下

血液中には、赤血球やアルブミンなどの多くのタンパク質が存在しており、その濃度は一定に保たれるように調節されています。
そのため、タンパク質が不足すると、血液中のタンパク質の濃度が薄くなり、一定濃度に保とうとして水分を外に排出します。
その結果、組織に余分な水分が溜まり、これがむくみとなります。
そこで、代謝を正常化するために、良質タンパク、ビタミンB群、ビタミンC、ミネラル(亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウムなど)、コエンザイムQ10などの栄養素が必要です。

 

腎臓、肝臓の機能低下


腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として体外に排出します。
腎臓の機能が低下すると、体外に老廃物を含んだ水分を排出できなくなるため、むくみが起こります。
そこで、腎臓機能を維持する為には、腎臓の基底膜を修復してろ過機能を正常化する必要があります。
基底膜はコラーゲンや糖タンパクなどで作られていますので、この再生の為に良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群(特にB6)、ビタミンC、ミネラル(亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウムなど)が必要となります。
さらに、基底膜を壊す原因となっている活性酸素を除去するために、ビタミンC、ビタミンE、植物ポリフェノール、コエンザイムQ10、カロチノイド、イチョウ緑葉エキスなどの抗酸化物質も必要です。

また、肝臓は食べたものをエネルギーに変えたり、アルコールや薬、老廃物を分解したり、胆汁という消化液を作り脂肪の吸収を助けたりします。
肝臓で作られるアルブミン(タンパク質)は、血液中の総タンパク質の約60%を占め、血液中の水分を一定に保つ役割があります。
肝臓の機能が低下してアルブミンが少なくなると、血液中の水分が血管の外へ出やすくなり、むくみが起こります。
そこで、肝臓の機能を強化するために、良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ミネラル(亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウムなど)が必要となります。


■筋肉、血流の低下

 

むくみは、血液循環とも関わりがあります。
人体の血液は、重力の影響により70%が下半身に集まっています。
心臓より下にある血液は重力に逆らって、心臓にたどり着かなければなりません。
ところが心臓のポンプ作用には、血液を送り出す力しかありません。
そのカギを握るのがふくらはぎです。
ふくらはぎは、下半身にある血液を心臓に押し戻す力強いポンプの役割を果たしているため、第2の心臓と呼ばれています。
この第2の心臓が担うポンプの作用が衰えると、血流が悪くなり、むくみが引き起こす下肢静脈瘤や心臓疾患、肝臓病、腎臓病、糖尿病など、さまざまな疾患のリスクも上がってしまいます。

筋肉を強化するためには良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ミネラル(亜鉛、マグネシウム)などの栄養素が必要です。

さらに、血流を促すためには、ビタミンEやイチョウ緑葉エキスなどの栄養素が必要です。
特に、イチョウ緑葉エキスの摂取は、副血行路※の発達を促進する働きがあります。

※副血行路とは、予備の血管です。主要血管が詰まって血流が途絶えてしまったときに、副血行路が開通し血流が途絶えることを回避します。

さらに、運動不足によってふくらはぎの筋肉が衰えると、ポンプ機能が低下し、足の血液を心臓へ送り戻す効率が悪くなります。

そこで、ふくらはぎの筋肉を鍛える「かかとの上下運動」がおすすめです。

また、足を小刻みに上下に揺らす「貧乏ゆすり」は、血液やリンパの流れを促すため、むくみの改善に繋がります。
筋肉が骨をこすることで起こる摩擦により、骨が血中のカルシウムを取り込むため、骨密度の増加にもつながります。

さらに、カリウムを多く含む食品(バナナ、アボカド、ほうれん草。小松菜など)の摂取やふくらはぎのマッサージなどもおすすめです。

 

参考図書