あなたの症状は「寒暖差アレルギー」かも? | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

季節の変わり目で寒暖差が大きくなってくると、くしゃみ・鼻づまり・鼻水が止まらない・・・そんなことはありませんか?

 

ひょっとするとその症状は「寒暖差アレルギー」かも知れません。

 

そこでまずは、アレルギー性鼻炎との違いをご紹介します。

 

「アレルギー性鼻炎」と「寒暖差アレルギー」は何が違うの?

「アレルギー性鼻炎」とは?

 
「アレルギー性鼻炎」の主な原因は、抗原抗体反応によるものです。

空気中に浮遊する花粉やハウスダストなどの原因物質「アレルゲン」を吸い込み、その成分が鼻の粘膜から体内に入ることによって、「鼻水・鼻づまり・くしゃみ」などの症状が引き起こされる病気です。
 
通年性アレルギー性鼻炎(一年を通して症状が出るタイプ)と、季節性アレルギー性鼻炎(特定の季節に症状が出るタイプ、いわゆる花粉症)とがあります。
 

<アレルギー性鼻炎が起こるしくみ>

「目でみるからだのメカニズム」堺 章 (著)
 
アレルギー性鼻炎は、上記イラストのようなしくみによって起こります。

抗原(花粉、ダニなどのアレルゲン)を吸い込み、アレルギー抗体(IgE)がすでにできている人が、また同じ抗原を吸うと抗原と抗体が結合し、肥満細胞好塩基球から化学伝達物質が出ます。

化学伝達物質は、鼻粘膜に分布している三叉神経を刺激して「くしゃみ」や毛細血管や分泌腺なども刺激し、血管が拡張、「鼻水、鼻づまり」などの症状を起こします。

※肥満細胞
別名マスト細胞とも呼ばれ、アレルギー反応に深く関与しています。
肥満細胞表面には、IgEと呼ばれる免疫グロブリン(免疫に関与するタンパク質)が付着し、アレルゲンと反応すると、ヒスタミンなどの化学伝達物質を放出します。

※好塩基球
白血球の一種で特定の抗原に出会うとヒスタミンなどが放出され、アレルギー反応が起こります。

※ヒスタミン
血管を広げ、血管の透過性を亢進する働きがあり、知覚神経を刺激して痒みを起こしたり、覚醒と食欲にも関与しています。


※三叉(さんさ)神経
顔の触覚や痛覚、冷熱感、口腔(口の中)・鼻腔(鼻の中)の感覚などを脳に伝えています。


三石巌は「アレルギー性鼻炎」に悩む人には次のような対策をおすすめしておりました。

 

アレルギー性鼻炎で悩む人は、鼻粘膜が過敏だと言われています。
粘膜表面が乾くと刺激を感じやすくなります。

粘膜は粘液によって保護されています。
粘膜分泌担当細胞の働きを助けるのはビタミンAです。


アレルギーの症状は、ヒスタミンが引き金によって、自律神経を介して引き起こされます。
ヒスタミンは「ビタミンC」によって分解されます。


自律神経のバランス調整には、「ビタミンA、ビタミンB群(B1・B2・B12・ニコチン酸・パントテン酸・葉酸)、ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、ミネラル(マグネシウム、亜鉛、ヨード)」などの摂取が欠かせません。


アレルギー体質の人は、T細胞産生遺伝子の個体差によるビタミンの必要量が大きいので、特に「ビタミンE」の摂取強化がおすすめです。


さらに、炎症が起こると活性酸素の発生量が増えるため、活性酸素除去の働きがある「ビタミンC、ビタミンE、βカロチン、植物性ポリフェノール」などが必要です。


※綿棒にビタミンEオイルをつけて、直接鼻粘膜に塗布する方法もおすすめです。
 

「寒暖差アレルギー」とは?

アレルゲンが原因ではない?


「寒暖差アレルギー」とは、医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれています。


アレルギー性鼻炎とは異なり、アレルゲンによる免疫異常を原因とせず鼻炎を引き起こす病態です。

 

そのため、検査をしてもアレルゲンの特定ができず、鼻水中の好酸球(アレルギーの場合は陽性)は陰性となります。

寒暖差アレルギーは、自律神経の乱れ(特に副交感神経の亢進)によって起こると言われています。

自律神経とは、脳からの指令を受けて、全身の臓器や筋肉の働きを調節する神経です。


自律神経には2種類あり、活動時や昼間に活性化して全身を緊張させるのが「交感神経」、安静時や夜に活性化して全身をリラックスさせるのが「副交感神経」です。


交感神経は血管を収縮し、副交感神経は血管を拡張し・血圧の低下・心拍数の減少にはたらき、この二つの神経が内臓や血管の働きをコントロールしています。

鼻の粘膜にある血管の収縮・拡張も自律神経によってバランスが保たれていますが、寒暖差が大きいと鼻の粘膜の血管の収縮・拡張が環境に対応できなくなり、くしゃみ・鼻水などの寒暖差アレルギーの症状があらわれます。


さらに、食欲不振、頭痛、蕁麻疹などの症状がみられることもあります。


一般的に、7℃以上の寒暖差があると発症しやすいと言われ、日中と朝晩の気温差が激しい日が続く今の季節は、注意が必要です。

寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)の治療は、原因が不明な場合が多く、症状を抑える対症療法(一時的な症状の消失・緩和)が基本となります。
内服薬として自律神経の働きを整える抗ヒスタミン薬、鼻の炎症を抑える点鼻薬として副腎皮質ホルモン(ステロイド)薬が処方されるケースが多いようです。
薬物による治療を行っても改善がみられない場合は、レーザーや電気で鼻の粘膜を焼くといった手術が行われることもあります。
薬の長期的な服用は、副作用のリスクや解毒に関わる臓器への負担が高まることが考えられるため、できれば服用を避けていきたいものだと思います。

寒暖差アレルギーは、自律神経の乱れによる影響が主な原因と考えられるため、自律神経を整える対策などが必要になります。

<栄養対策>
●自律神経の正常化(ビタミンB群(特にB12)、レシチン、ミネラル(カルシウム、マグネシウム)


※自律神経を正常化する栄養対策についてはこちらをご覧ください。
 

 

 


●ストレス対策(良質タンパク、ビタミンC、ビタミンE)
 ストレスは、自律神経を乱す大きな要因です。

 

体内で、ストレスが発生すると良質タンパク、ビタミンC、ビタミンEによって抗ストレスホルモンが合成され、ストレスから身体を守ります。

 

まずは、ストレスに感じることは避け、解消することが大切です。


また、抗ストレスホルモンの合成が十分に出来るように準備しておくことで、ストレスを受けても自律神経への影響は軽減されることにも繋がります。

●炎症対策(ビタミンC、ビタミンE、植物ポリフェノール、コエンザイムQ10、カロチノイド)


鼻炎は、文字通り炎症により症状が引き起こされます。

 

炎症部には、活性酸素という正常細胞にまでも傷害を与えその働きを失わせてしまう物質が多く発生しています。


そのため、炎症が長引くと傷害を受ける範囲が増え、傷ついた組織は刺激に過敏になってしまうため、抗酸化物質を十分に確保し細胞の保護を強化することが大切です。

●鼻粘膜の強化(良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群(特にB2)、ビタミンC、レシチン、亜鉛、鉄)


アレルギー性鼻炎も寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)も粘膜の状態が症状を大きく左右します。


粘膜は4〜6日で古い細胞から新しい細胞へと入れ替わり、皮膚は28日、赤血球は120日程度掛かることからも、代謝回転(作り替え)が非常に早い組織であることが知られています。


そのため、作り替えに必要な材料が不足してしまうと、古い組織のままになってしまうことや使い古した材料をリサイクルして再合成するため粘膜組織は弱くなってしまいます。


弱っている粘膜は、刺激(花粉、ダニ、冷たい空気など)に対して過敏に反応しやすくなるため、粘膜の状態は鼻炎対策をする上で大変重要な要素です。

自律神経を整えるには、栄養に加え、適度な運動、規則正しい生活を送ることも大切です。

●適度な運動
適度な運動は、ストレスの発散になる他、自律神経のバランスを保つトレーニングにもなります。

 

運動時は交感神経が高まり、運動後は副交感神経が高まるというように、自律神経の切り替えが行われています。


交感神経と副交感神経の切り替えを促すことで、自己訓練にも繋がり、自律神経の安定化を保つことができます。

 

運動が苦手な方は、呼吸に気をつけるだけでも効果があると言われています。

●規則正しい生活
自律神経は、体内時計(概日リズム)と連動して、身体のさまざまな働きを調節しています。

 

就寝、起床、食事は、体内時計をリセットしたり整えたりするタイミングになりますので、これらを規則的に行うことは自律神経のバランスを整えることにも繋がります。

また、温度差が大きいと「寒暖アレルギー」の症状が出やすくなりますので、身体をなるべく冷やさない工夫が大切です。

 

特に首・手首・足首を温めて血流をよくしましょう。



身体を温める方法については「温活のススメ」に詳しく記載しておりますので、あわせてご覧ください。