11/2 徳島 0-0
11/9 富山 1-3
もっとも大事な仙台からの3試合で一勝も出来なかったサガン鳥栖。
チームを評するならば以下のように分類できる。
強味
・準備したやり方と展開ならばJ2屈指
・ビルドアップでのプレス回避力
弱味
・こちらの土俵に乗らない展開での策がない
・ドリブラー不在
・得点やシュートの再現性
仙台戦はまさに強味が全開に出た試合だった。
その中でセットプレーからの2ゴールも理想的。
そこまで有利になりながら退場と失点で後がない仙台のハイプレスに屈した。
徳島はこれを見てか、前半途中からオールコートプレスで対応。
富山も前半15分頃から前プレを基本とした。
本来ビルドアップとは
前プレされてなんぼ!
むしろ来てくれ!
という戦術なのだが、
鳥栖のビルドアップには実は課題がある。
ビルドアップで崩す
いわゆるポゼッションサッカーとは
相手を引き込んで数的有利になる相手陣地を使う
のだが、引き込んで剥がすやり方には
無数の選択肢がある。
個人技やドリブルやGKを使う数的優位にする、など。
鳥栖の基本的な考えはおそらくだが、
後方で数的優位を作りキレイに前進することを想定している。
①よくやるポゼッションの形として
3CBが広く幅を取るほうが相手を広げやすいし
隙間を使いやすいのだが、カウンターされた時に真ん中がいない、とかパスの難易度が上がるという課題がある。
そこまで技術がない、または集まって1年目チームである鳥栖は
②3CBが近い距離をとり、ミスを減らしつつ
ボランチ2枚もサポートに入る3+2で回す。
さらにその外に、WBではなくシャドーである西澤か西川がヘルプに入る。
①の場合
CB3枚に対して2枚でプレスに来たらCB自身が持ち上がればいい。
そこに相手が食いつけばその裏が数的優位になる。
そもそも開くので2枚プレスの場合スライドは間に合わない。取りに行くには3枚で行くしかない。
ただしこの形はCBが広がるので相手のプレスを1対1で受けることも増える。
CBに技術がない場合致命的になる。
②鳥栖のやる形
新井ーーーーー西川ー長澤
● ●
西澤ーー松本ー西矢ーー
● ● ●
ーー小川⚽️ー森下ー井上ーー
そもそも距離が近いので2枚プレスでも3枚プレスでも真横へのパスはそこまで影響ない。
さらにボランチ2枚が降りるのでそこを使う。
上の図なら西矢があく。
● ●
西澤ーー松本ー西矢ーー
● ●
ーー小川⚽️ー森下ー井上ーー
ただ距離が近いので2枚プレスでもスライドは間に合う。
2-2プレスでボランチも消された場合西澤を使って前進する。
そこまでしてWBである長澤と新井を高い位置で使うのが鳥栖のやり方。
新井は高い位置で受けてのドリブル。
長澤はこのビルドアップがダメだった場合の高さの逃げ道。
また新井からのクロスのファー受け役。
相手のSBからしたらWBが裏に居るのでサイドに降りる西澤や西川まで追いかけるのは難しい。
この辺に鳥栖のビルドアップの複雑さや妙がある。
しかし課題もある。
①の場合そもそも相手のFWやMFの2~3枚プレスにさらにサイドに食いつかせて4.5人が取りに来て、数的同数またはやや足りない中で剥がすことが前提となる。
②の場合3CB+2ボランチ+シャドーと
ビルドアップに6枚が絡むことになる。
ここまで後ろで数的優位にしないと繋げないとも言えるし、6枚全部前から当ててくるのは現実的ではない。
鳥栖がもしこのやり方の相手と対峙したら
CB CB CB
西澤 山田 西川
OH DH DH
新井 松本 西矢
この6枚が前から行くことになる。
やり過ぎだ。
ちなみに鳥栖が行く場合は2枚で2度追いが基本となっている。
CB CB CB
西澤 山田
OH DH DH
新井 松本 西川
こんな感じ。
だから西川はCBにジャンプしてプレスするのか、相手MFを見るためにステイするのか常に悩まされる難しい事を要求されている。
長澤が、来れていればジャンプするし、来てなければステイ。
とにかく6枚で回すので、仙台のように美しいビルドアップが成立する。
しかし、上述したように本当に6枚きたら?
鳥栖はどこか空くことが前提の練習をしている気がする。
どこもあかなかったらやり直すだけだ。
そして運動量勝負に出た覚悟を決めた相手はいつまでも食いつく。
さらに冬になり運動量は確保されるし5枚交代になりサッカーのプレスはチームとして維持される時代になった。
もうひとつの課題はこっち6枚相手5枚のプレスだった場合に剥がした後に結局数的優位にはなり切れてないのだ。
そこはボランチが必ずシャドー化して飛び出すというルール付けで解決しつつあるが。
ということでこの時期
涼しさと交代枠と相手の覚悟
これにより同数プレスに来るチームが増えた
そうすると鳥栖は剥がせない
西澤くらいしかそれは出来ない。
ギリギリ松本がターンで、西矢がドリブルでチャレンジしているが足りてはないし再現性は薄い。
じゃあ原点にもどって数的同数でプレス来るならその裏使えばこっちのFW陣が数的優位じゃないか!と言える。
しかしそこを簡単に使う策としての
例えば電柱タイプへのロングボールや
大外経由のドリブルによるビルドアップは
ドリブラーがいない
FWの軸がない
という課題によりほぼ、使えない。
さらに言えばそれがたまたま上手くいっても
鳥栖は今度は攻撃でも数的優位で崩すイメージが強い。
2-2の局面でシュートまで素早く行くのは苦手だ。
つまり相手は運動量さえ保てれば戻る時間が与えられる。
つまりショートで繋ぎながら剥がす。
剥がして数的優位のまま前進する。
これしか策がないのだ。
そしてショートの繋ぎを数的同数プレスで覚悟を持たれらたら繋げない。
裏を使っても頑張って戻られたら間に合われてしまう。
これが今の鳥栖に起きている現象だと思う。
解決策はあるのか?
例えば
得意な土壌に引き込むために
先に裏を狙わせておいて脅威を与えて
戻るの間に合わなくない?
じゃあ前から行くのは5枚までに、、
というように
違う策で脅威を与えるのがよくある手法。
いわゆるオプション。
しかしこれを構築するのは
実質全員1年目に等しいチームでは難しい。
そうなると誰かの個人の質で
どこかで優位を作りたいが
そういう選手は西澤か西川くらい。
彼らも疲労が見えてきている。
長崎や大宮のように
基本能力がJ2の中で上位な選手が揃っていれば
そもそもこんな複雑な数的優位ポゼッション
プラス
数的優位で崩すなんてサッカーはしなくていいのだ。
そんな中で体調不良や怪我などもあれば
まあこうなってしまう。
そこも含めてチーム力である。
鳥栖はチームとしてまだ弱い。
だから強くなってほしい。
選手構成もそうだし
戦術の幅もだし
選手自身も。
僕はそれが出来ると信じている。
今のメンバーでもJ2優勝は眉唾とは思わない。
なぜならば
今年の鳥栖の最高値を見せた試合での質。
それは大宮や千葉や長崎も圧倒出来たのだから。
足りないものは?
僕はこう思う。
覚悟 だけだ、と。
鳥栖を強くする覚悟
鳥栖で戦う覚悟
この戦術で勝てると信じきる覚悟
複雑なサッカーは迷いが出ると陥りやすい状況。
まだ、かろうじて戦う試合が残っている。
残り2試合。
鳥栖の覚悟を見せてもらおうじゃないか。