NTTドコモが新料金プラン「ドコモmini2」を発表した。2026年12月1日から提供される。
料金は6GBまで3278円、12GBまで4598円。現在の「ドコモmini」が4GBで2750円、10GBで3850円なので、データ容量はそれぞれ2GB増える一方、料金も528円から748円値上げされる。
ただし、ドコモmini2には「みんなドコモ割」が追加され、「dカードお支払割」、「ドコモ光またはhome 5Gセット割」、「ドコモでんきセット割」も適用できる。
これらを最大まで適用すると、6GBが858円、12GBが2178円になる。さらに家族間の国内通話も無料になる。数字だけを見ると、安い。6GBで858円ならかなり安く感じるし、12GBでも2178円なら悪くない。
しかし、ここで一度立ち止まって考えてみたい。この858円という料金にするには、家族でドコモを2回線以上使い、対象のdカードで支払い、ドコモ光またはhome5Gを契約し、さらにドコモでんきまで利用する必要がある。
つまり、ドコモmini2単体が858円なのではない。ドコモのサービスを家族、カード、光回線、電気までまとめたときに858円になるのである。
これを見ていると、私はどうしても「囲い込み」という言葉が頭に浮かぶ。私自身、以前は長年ドコモを使っていた。スマホもドコモ、家のインターネットもドコモ、カードもdカードという具合に、いろいろなサービスをドコモにまとめていた。その状態だと、ドコモの料金が安く見える。
「家族割があるから」、「光セット割があるから」、「dカードの割引があるから」、「dポイントが貯まるから」。
そうやって一つ一つのサービスを見ると、それなりにお得に感じる。
ところが、一度ドコモの外に出てみると、少し景色が変わってくる。
例えばドコモ光の戸建てタイプは月額5720円。一方、現在私が契約しているスマート光の戸建ては4720円である。月1000円の差だ。もちろん、光回線は料金だけで比較するものではない。通信品質やサポート、キャンペーンなども考える必要がある。それでも、「ドコモのスマホを安くするためにドコモ光を契約する」という考え方から一度離れてみると、そもそもスマホと光回線を同じ会社にそろえる必要があるのか、という疑問が出てくる。
スマホは楽天モバイル。光回線は別会社。カードは自分にとって都合のいいもの。電気も別会社。こうやってバラバラに選んでもいい。実際に外へ出てみると、「全部ドコモにまとめることが一番お得」というわけではないことが見えてくる。
そして今回、ドコモmini2だけを見ていると分かりにくいのだが、ドコモでは他の料金プランでも大きな改定が行われる。
例えばahamoは12月1日から40GB、60GB、120GBの段階制へリニューアルされる。データ容量を増やす一方で、料金体系も変わる形だ。私はこの「ギガを増やしたから、その分値上げする」という方向性が少し厳しいと感じている。そもそも私は30GB程度あれば十分なので、使いもしない容量を増やされ、その分料金が上がるという考え方には、どうしても違和感がある。
そして、個人的に「またか」と思ったのがirumoである。irumoは2025年6月に新規受付を終了しているが、現在利用しているユーザーは引き続き利用できる。そのirumoも12月1日から値上げされる。
0.5GBは550円から660円(110円値上げ)、3GBは2167円(割引最大適用で880円)から2497円(330円値上げ)、6GBは2827円(割引最大適用で1540円)から3157円(330円値上げ)、9GBは3377円(割引最大適用で2090円)から3707円(330円値上げ)になる。つまり、既存ユーザーは今までと同じプランを使っていても、料金だけが上がる。
さらにOCNモバイルONEも値上げされる。500MBは550円から660円(110円値上げ)、1GBは770円から880円(110円値上げ)、3GBは990円から1100円(110円値上げ)、6GBは1320円から1430円(110円値上げ)、10GBは1760円から1980円(220円値上げ、は)、20GBは4312円から4642円(330円値上げ)、30GBは6050円から6600円(550円値上げ)となる。こちらも新規受付が終了しているプランだが、現在のユーザーが値上げの対象になる。
こうして並べてみると、今回のドコモの料金改定は「ドコモmini2という新しいプランが登場しました」というだけの話ではない。ahamoは料金体系が変わる。ドコモminiはドコモmini2へ切り替わる。irumoは既存ユーザーも値上げ。OCNモバイルONEも既存ユーザーが値上げ。新しいプランではデータ容量を増やし、終了した旧プランについては料金を引き上げる。もちろん企業として料金を改定する事情はあるだろう。しかし利用者側からすれば、「今までと同じものを使っているのに高くなる」というのは、やはり単純な値上げである。
そして、その先に新しい料金プランが用意されている。そうなると、「旧プランをそのまま使い続けるより、新しいドコモの料金プランへ移ってください」という方向へ誘導しているようにも見えてくる。特にOCNモバイルONEやirumoのような新規受付終了済みプランを使っている人からすれば、今回の値上げはかなり分かりやすいメッセージだ。「このまま旧プランを使い続けますか。それとも新しいプランに移りますか」。そんな選択を迫られているようにも感じる。
では、こうした料金改定がドコモユーザーにどう受け止められるのか。そして、ドコモ以外のユーザーに「ドコモへ乗り換えよう」と思わせることができるのか。ここは少し疑問が残る。
ドコモの中にいると、「家族割がある」「光セット割がある」「dカード割がある」と、割引を積み重ねて料金を見る。しかし、一度外に出ると、他社のスマホ料金や光回線料金を自由に組み合わせることができる。そのとき初めて、「あれ、ドコモって思っていたほど安くないな」と気づくことがある。私自身、ドコモから離れてみて、この感覚はかなり強くなった。
ドコモmini2の6GB858円という料金は、条件をすべて満たせば確かに安い。12GB2178円も、家族間通話無料まで含めれば魅力はある。
そのために家族もドコモ、光回線もドコモ、電気もドコモ、カードもドコモとサービスをそろえていく必要がある。しかも、ドコモ光の戸建ては5720円。一方で、私が現在契約しているSmart光iは4720円だ。
そう考えると、「安い」というより「ドコモの中でまとめれば安くなる」という料金なのだと思う。これが、ドコモの中にいると気づきにくかった「囲い込み」なのだろう。
もちろん、ドコモを家族で使い、光回線も電気もカードもまとめている人にとっては、ドコモmini2が便利でお得になるケースはある。そこは否定できない。問題は、それが「大多数の人にとってお得なのか」ということだ。私には、そこまで単純な話には見えない。
そして、ここ数年は格安SIMにとって厳しい環境だった。大手キャリア自身がオンライン専用プランやサブブランド、低容量プランを充実させ、「格安SIMに乗り換えないと安くならない」という状況ではなくなっていたからだ。
ところが、大手キャリアが料金を引き上げ、既存プランまで値上げするようになると、少し状況が変わってくる。「本当にこの料金でドコモを使い続ける必要があるのか?」そう考える人が出てきても不思議ではない。
そして、その受け皿になるのが格安SIMなのだろう。今回のドコモmini2、ahamo、irumo、OCNモバイルONEの料金改定を見ていると、格安SIM業界にとっては、ある意味で「ウェルカム」な値上げだったのではないかと思ってしまう。大手キャリアの料金が上がれば上がるほど、「一度、外に出て比較してみよう」という人が増える可能性があるからだ。
ドコモの中にいると、ドコモが安い。
でも、一度外に出てみると、その「安さ」が条件付きだったことに気づく。
ドコモmini2は確かに、条件次第では安い。ただ、ahamo、irumo、OCNモバイルONEまで含めて今回の料金改定を眺めていると、「高くなったドコモ」というより、「旧プランを早く廃止したいドコモ」という印象のほうが強い。
そして私は今回の値上げを見て、皮肉にも「もう一度、格安SIMを比較してみよう」と思う人が増えるのではないか、と思ってしまった。
































