ビジネス法・金融法研究ノート -4ページ目

資金移動業に関する重要ポイント

1.為替取引の上限額(100万円相当額)(法2条2項、施行令2条)


2.履行保証金の供託手続、未達債務の額及び権利の実行の手続に関する費用の額の算出方法、履行保証金に充てることができる債券の種類及び当該債券の評価額を定める(法43条、内閣府令11条~13条)。


3.最低要履行保証額は1000万円とする(法43条2項、施行令14条)


4.履行保証金の供託手続、未達債務の額及び権利の実行の手続に関する費用の額の算出方法、履行保証金
に充てることができる債券の種類及び当該債券の評価額を定める(法43条、内閣府令11条~13条)


5.履行保証金保全契約の届出手続、履行保証金保全契約を締結することができる銀行等及び銀行等以外の者が満たすべき要件並びに履行保証金保全契約の解除承認手続を定める(法44条、105条、内閣府令14条~17条)


6.履行保証金信託契約の承認手続、履行保証金信託契約の内容、信託財産とすることができる預貯金や債券の種類及び当該債券の評価額を定める(法45条、105条、内閣府令18条~21条)


7.情報処理組織の十分な管理等を規定(法49条、内閣府令24条~26条)


8.委託先に対する措置(遂行状況の確認、改善等)を規定(法50条、内閣府令27条)


9.利用者保護及び業務の適正確実な遂行のための措置(銀行との誤認防止の説明、契約情報の提供、受取証書の交付、振り込め詐欺対策、社内規則の整備)を規定(法51条、内閣府令28条)


資金決済法・改正割賦販売法 研究ノート

前払式支払手段に関する政府令案の重要ポイント

1.資金決済法第14条第1項の委任に基づき、自家型前払式支払手段発行者の届出基準額及び前払式支払手段発行者の供託基準額を千万円と定める(法14条1項、施行令6条)。


2.表示義務について、券面の面積が狭い場合等の緩和措置等を規定(内閣府令21条3項)

以下の要件を満たす場合

① 約款等に券面記載事項についての表示があること。
② 前払式支払手段が一般に購入される際に当該約款等がその購入者に交付されること。


3.券面表示義務に代わる情報提供方法(ホームページ掲載、電子メール送信、チャージ機による表示)を規定(内閣府令22条)


4.発行保証金保全契約を締結できる銀行等の金融機関について健全性基準を規定(施行令8条)


5.信託契約の内容(当事者、信託財産の評価方法、信託の終了)、信託財産の種類等を規定(内閣府令34条~38条)


6.資金決済法第20条第2項の委任に基づき、例外的に前払式支払手段の払戻しが認められる場合として、①基準期間における払戻金額の総額が直前の基準期間の発行額の100分の20を超えない場合、②基準期間における払戻金額の総額が直前の基準日における未使用残高の100分の5を超えない場合、③保有者のやむを得ない事情により当該前払式支払手段の利用が著しく困難となった場合を定めるも(内閣府令42条)


7.情報処理組織の十分な管理等を規定(内閣府令43条~45条)


8.供託義務が免除される銀行等の要件を規定(法35条、施行令12条)

→銀行法14条の2に基づく健全な自己資本の状況にある銀行等


資金決済法・改正割賦販売法 研究ノート



資金決済に関する法律の施行に伴う政令案・内閣府令案等の公表について

改正法施行前の提携ローン

改正割賦販売法と提携ローン① に記載したとおり、以下の場合金融機関等と販売業者等との間に加盟店契約に類する密接な牽連関係が認められる場合が多いと考えられます。

(1)金銭消費貸借契約と販売契約とが手続的あるいは内容的に一体である場合

・両契約が同一機会等に一体的に締結されていること。

(2)反復継続的取引関係・相互依存関係がある場合・販売業者等が継続的に金融機関等に顧客をあっせん・仲介等をしていること。


では、改正法施行前に、銀行等の金融機関が、個別割賦購入あっせんの対象となる指定権利・指定役務ではない権利や役務(ゴルフ会員権など)で、上記の密接な牽連関係のある提携ローンをしていた場合、改正法施行後(2009年12月1日)、個品信用購入あっせんの登録をしなければならないのでしょうか?


「特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律」の附則5条2項では、旧指定権利や旧指定役務については従前の個別割賦購入あっせんの際の取り扱いによるものとされております。この規定に鑑みると、従前、指定権利・指定役務となっていなかったものについては、従前どおり対象とならないと解釈できるのではないかと思われます。


当局(経済産業省取引信用課)にも確認してみましたが、このような理解でよいとのことです。


すなわち、従前は個別割賦購入あっせんの対象ではなかったが、改正法施行後は個品信用購入あっせんの対象となる権利や役務に関して、金融機関が販売業者等との間で緊密な牽連性のある提携ローンを行っていたとしても、金融機関は個品信用購入あっせんに関する登録をする必要はないと考えられます。




為替取引②

米国やEU諸国に目を転じて見ると、送金業務は規制当局により許可を前提として、(米国では送金業務(米国では州によって規制が異なることに注意。)として、EU諸国では決済業務として)事業会社にも開放されているところである。


顧客の利便性の向上や決済サービスの国際的競争力の強化の観点から、第二部会報告は、送金業務を事業会社にも開放することを提唱している。また、かかるサービス提供者の倒産からの隔離のため、滞留資金額に相当する資金を保全しておく必要があると提唱している。


かかる要請に基づいて、資金決済法では、銀行等以外の者が資金移動業者等として資金移動業(少額の為替取引)を業として営むことを認めた(同法第3章)。


○銀行と資金移動業者の比較


銀行(銀行法)

資金移動業者(資金決済法)

免許制(4条)

登録制(37条)

資本金20億円以上(5条、施行令3条)

登録拒否事由として、「資金移動業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる財産的基礎を有しない法人」(40条1項3号)

業務範囲規制(10条、11条、12条)

なし。

子会社業務範囲規制・議決権保有規制(5%ルール)(16条の2、16条の3)

なし。

大口信用供与等規制(13条)、アームズレングスルール(13条の2)、顧客保護のための禁止行為(13条の3)、利益相反管理体制(13条の3の2)、自己資本比率規制等(14条の2)

なし。

事業年度の定め(17条)

なし。

銀行議決権大量保有報告(52条の2の11)、銀行主要株主規制(52条の9)、銀行持株会社(52条の21

なし。

資金決済法・改正割賦販売法 研究ノート

為替取引①

現在、銀行法上の免許を得た銀行その他の預金取扱金融機関(以下「銀行等」という。)のみが「為替取引」を営むことが認められている(銀行法2条2項2号、4条1項など)。預金や貸金を行わなくても「為替取引」のみを行っても「銀行業」(同法2条2項2号)に該当し、銀行免許を取得しなければならない。


銀行法上には「為替取引」の定義はない。しかし、裁判例において、「顧客から、隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、又はこれを引き受けて遂行すること」と定義されている(平成13年3月12日最判第三小法廷決定)。


同事件の概要は次のとおり。



被告人(X)が、送金依頼人からその指定する韓国の銀行の預金口座等への送金方の依頼を受けてこれを引き受け、送金依頼人から送金受任額および手数料をわが国のA銀行に開設されたXの普通預金口座に本邦通貨で入金させた上で、Xから韓国のYXの実兄)にファクシミリを送信し、受任にかかる受取人の氏名等を連絡してその旨の支払方を指図し、Y名義の韓国の銀行(B銀行)の普通預金口座等(実質的にXに帰属)から送金依頼人の指定する各送金先預金口座に送金受任額に相当する同国通貨で入金して支払っていたことが為替取引に該当するとして刑事訴追された事件である。このような行為は、銀行免許を受けずに、アンダーグランド(地下)で営むことから、「地下銀行」とも言われる。


同最高裁判決は、銀行法2条2項2号の「為替取引を行うこと」とは「顧客から、隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、またはこれを引き受けて遂行することをいう」と判示している。そして、Xととの間に現金の輸送がないところ、が送金依頼人から送金を内容とする依頼を受けて、資金を引き受けていることからの行為は為替取引に該当すると判示されている。

普通預金口座)⇒指図⇒Y(韓国のB銀行普通預金口座)⇒振込⇒受取人口座(韓国)
 




通常、送金為替の関係者は、下の図のとおり、①送金依頼人、②仕向銀行、③被仕向銀行、④受取人の4者からなる(上記の事案では、Xが仕向銀行、Yが被仕向銀行に該当することなる。)



⇒銀行間取引(金銭の輸送なし)⇒被仕向銀行⇒振込⇒受取人
 


上記の最高裁判例は送金依頼人・仕向銀行間の対顧客取引と仕向銀行・被仕向銀行間の銀行間取引がある場合、対顧客取引だけでも為替取引の実行行為になるとするものである。すなわち、仕向銀行に該当するXが送金依頼人から送金の金額を引き受けの依頼を受け、X名義のA銀行に設けられた普通預金口座に振替入金された時点で為替取引が成立するとするものである。これは、「信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図る」という銀行法の目的(銀行法1条1項)および為替取引を行うことを独立に銀行業の一つと認めた趣旨に照らすと、対顧客取引を中心に考えるべきであるという考えに基づくものである(平成13年最高裁判所判例解説・刑事篇(法曹会)48頁)。



また、同最高裁判例におけるXは、韓国内のYの口座に送金資金をプールするために、送金依頼人から受領した送金資金を本邦内の銀行を利用して韓国のYの銀行口座に電信送金していたが、Xは銀行を単なる決済の道具として利用しているだけで、自らの経済的信用により受取人に金銭を送金しているので、同判決はこのことをもって為替取引性を否定していない。



典型的な送金業務は「為替取引」の定義に該当するので、銀行等以外の事業会社は日本においては送金業務は営むことができない。銀行等により現在営まれている送金業務は、安全で確実であるが、顧客(とりわけ外国人居住者)により、送金手数料が高いことや銀行等の営業時間が限られていることについて、不満が呈されているところである。


資金決済法・改正割賦販売法 研究ノート

改正割販法と提携ローンに関する論稿

週刊金融財政事情2009年8月17日号にオリエント総研の吉元利行氏の論稿「改正割販法が「提携ローン」に与える影響」が掲載されております。


なお、下記もご参考。


改正割販法と提携ローン①


改正割販法と提携ローン②(銀行代理業との関連)


改正割販法と提携ローン③(キャプティブローン)


品川のよっちゃんのほうむ話



資金決済法・改正割賦販売法 研究ノート

「企業ポイントの法的性質と消費者保護のあり方に関する研究会」の報告書及びガイドライン②

今回はガイドラインの概要についての説明です。


① ガイドラインの位置付け

表示・説明やトラブルへの積極的な対応など、ポイント発行企業による自主的な取組みを通じて、消費者保護に取り組む上で留意することが望まれる事項を整理し、本ガイドラインとしました。



② ガイドラインの骨子

ポイント発行企業に望まれる取組みとして、次のような対応を整理しております。
・消費者がポイントプログラムの内容を網羅的に確認できる仕組みを整備すること。(ポイントプログラム内容を示す約款や書面等の交付、あるいはウェブページでの表示等。)
・積極的に重要事項を表示・説明すること。(ポイントプログラムの中で、特に、消費者の期待の高い重要事項について、適切な時点で消費者にわかりやすいように表示・説明する。)
・トラブル等に適切な対応をとること。(利用条件変更の際の行使期間の確保やポイントカード紛失時の再発行等の適切な対応を行う。)上記に加え、主なポイントプログラム類型別の留意事項として、次のような対応を整理。



類型留意事項(ガイドラインの概要説明より)

概要

留意事項

大手小売事業者

ポイント付与時、利用条件変更時に関する対応

航空運送事業者

加入時、マイル付与時、利用条件変更時に関する対応

ポータル・電子商取引系

ポイント事業者

ポイント付与時、保有ポイントの有効期限、トラブル時に関する対応

クレジットカード事業者

加入時、ポイント付与時、利用条件変更時に関する対応

交換系ポイント事業者

加入時、ポイント交換時、他社ポイントとの交換条件の変更時に関する対応

共通ポイント事業者

加盟店や加盟企業の表示・説明に関する対応

携帯電話事業者

保有ポイントの有効期限に関する対応


資金決済法・改正割賦販売法 研究ノート








「企業ポイントの法的性質と消費者保護のあり方に関する研究会」の報告書及びガイドライン①

資金決済法では、対価を支払うものを除き、ポイントは「前払式支払手段」に該当しないこととされております。


しかしながら、前払式支払手段に該当しないからといってポイントの発行・交換が無規制でよいのか?という問題があります。


平成21年1月20日に経済産業省商務流通グループ流通政策課が「企業ポイントの法的性質と消費者保護のあり方に関する研究会」の報告書及びガイドラインを公表しました(http://www.meti.go.jp/press/20090120005/20090120005.html )。





報告書の概要は以下のとおりです。





 企業ポイントに関する主な苦情

・倒産・閉店・会社統合によるポイントの失効

・有効期限の短さ、期限通知の不備によるポイントの失効

・ポイント付与・利用条件の変更

・ポイントカード紛失に伴うポイントの失効(再発行不可)




 企業ポイントに関する消費者の期待の概要

・発行企業は、消費者がポイントを確実に利用できる権利として保護して欲しい。

・ポイントプログラムの内容は、発行企業によって自由に変更・廃止できるものではない。

・内容を変更する場合、十分前にその旨を通知して欲しい。

・発行企業が倒産した場合、貯めたポイントを保護して欲しい。

・ポイントカードの紛失や盗難に際して他人にポイントを利用された場合、その分のポイントの補償をして欲しい。




 企業ポイントに関する主な発行企業の認識や運営実態の概要

・一部の事業者は、ポイントプログラムに関する約款を作成していない。

・約款上ではポイントプログラムの内容は任意に変更・廃止可能だが、その場合、何らかの事前告知を行うべきであると認識している企業が多い。

・ポイントカードの紛失や盗難の際、本人確認が可能な場合には、ポイントカードの再発行に対応する企業が多い。




 ポイントプログラムに係る消費者保護のあり方

 ポイントプログラムに関するトラブルの大半は、「せっかくためたポイント」という消費者の期待と「たかがおまけ」という発行企業の認識とのズレによるものであり、「消費者がポイントプログラムの内容を正しく理解できるような対応」が発行企業に望まれる。その具体的な取組みとして、次のような対応を整理。

・ポイントプログラムの内容全般を記載した書面等を交付し、消費者が必要に応じて確認できるようにする。

・付与条件や利用条件等に関する重要事項については、加入に際してわかりやすく表示・説明する。

・利用条件の変更や、ポイントプログラムの終了等によって、消費者の利益を損なう場合には、相当な期間を設けて事前に告知する。

・ポイント交換の相手方の財務基盤の健全性等を十分に吟味する。上記以外に、事業者の導入形態によって実施が望まれる具体的な取組みを、ポイントの付与、ポイントの利用、その他に分類して整理。



-----------------------


経済産業省は、事業会社の立場に立って、ポイントの規制に反対しておりましたが、ポイントに関する(自主的な)行為規制が全くなくてよいのか、という観点から上記の報告書を出したのだと思われます。






資金決済法・改正割賦販売法 研究ノート







ポイントサービスの具体例

こちら(前払式支払手段に対する規制⑤(ポイント・サービスに対する法規制) )の続きです。

「対価を支払うポイント」が「前払式支払手段」としての規制を受けますが、具体的にはどのようなものが規制されるかという点です。

① ビックカメラやヨドバシカメラ等のポイント・サービス


これらのポイントサービスは、対価の色彩もありますが、景品・おまけとしての性格が強いので規制の対象にならないと考えられます。



② 実質値引きのポイント


たとえば、10万円の商品に対して、3万円の値引きまたは4万円のポイントを選ぶことができる場合、3万円で4万円の商品券を売っているのと同視でき、証票型・ICチップ型の場合は、現行プリカ法においても「前払式支払証票」に、資金決済法では、証票型・ICチップ型・サーバ型のいずれも「前払式支払手段」に該当する可能性があります(グレーゾーン)(井上聡「ポイント制度の廃止」プレジデント2009年8月3日号81頁)。

 

③ 有償のポイント交換

無償のポイント交換と異なり、元のポイントが有償であるので、「対価を支払うポイント」として資金決済法上の前払式支払手段に該当すると考えられます。ポイント交換については、「エコポイント」で国策で大々的に行われているので、無償の場合は前払式支払手段とは言えないという立法事実(?)があるように思われます。


 セカンドライフ内での通貨


ポイントではありませんが問題提起を一つ。セカンドライフの通貨であるリンテンドルは現実通貨のUS$と換金が可能です。セカンドライフ内では、専用の通貨 Linden Dollar(リンデン ドル・L$)が発行されており時価によって多少上下しますが、平均1US$300L$程度で取引されています。これはゲーム空間なので日本国内において行われていないので「前払式支払手段」に該当しないと言えるのでしょうか???


資金決済法・改正割賦販売法 研究ノート