65歳になった時に65歳未満の配偶者がいると約40万円年金額が増加したりする。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。


では明日2月22日20時発行の有料メルマガご案内。

2月22日の第282号.妻と別れて厚生年金記録を分割してもらったが、再婚後の遺族厚生年金にはどう影響するのか。

・事例と仕組みから学ぶ公的年金講座(月額770円税込み毎週水曜日20時にメルマガ発行)
まぐまぐ大賞2020・2021・2022受賞。
途中で登録されてもその月の発行分はすべてお読みいただけます。
https://www.mag2.com/m/0001680886


(第282号内容)
1.昭和時代の長かった女性の年金は低めの人が多い。
2.1人で生きても不便ではない時代になり、離婚後の資金の足しに年金分割。
3.妻の年金記録から夫への年金分割。
4.離婚分割後の夫の年金記録と遺族年金
5.もし遺族厚生年金が受給できるならいくらになるのか。


でお送りします。



2月1日に第279号.年金の価値を維持するための年金額変更の歴史と、65歳前後の違い(1)を発行しました。

2月8日に第280号. 年金の価値を維持するための年金額変更の歴史と、65歳前後の違い(2)を発行しました。

2月15日の第281号. 障害厚生年金2級と3級の65歳以上で悪化した場合の取り扱いの大きな違いと計算事例。を発行しました。

なお、2月の途中で有料メルマガ登録された場合は既に2月に発行した記事はすべて読む事が出来ます。


※3月以降の直近の予定
3月1日の第283号.海外居住中や60歳から65歳までの年金に加入していない時の障害年金事例はやや特殊。

3月8日の第284号.年金積立金の現在の役割と進行する高齢化への対応、そして年金積立金の重要な歴史。

3月15日の第285号.約40年前に発生した厚生年金からの遺族年金を貰ってる人と今の制度の人が全く別物の理由。

3月22日の第286号.共済と厚年期間がある人で平成27年10月以前に65歳になった人とは貰う年金が違う事例。

3月29日の第287号は作成中。

では本題です。
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1.自分が65歳になった時に65歳未満の配偶者が居ると年額40万円ほどの増額になる事がある。
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前回は老齢厚生年金の計算をやってみましたが今回はそれにオマケで付いちゃう配偶者加給年金についてです!

加給年金の話になると皆さん結構真剣になるんですよね。



さて、老齢の年金を受給する時は「年金保険料納付済期間+免除期間+カラ期間≧10年」あれば老齢の年金を貰う権利が発生し、その人の生年月日により年金支給開始年齢が定められています。


しかし、厚生年金期間や共済組合期間、またはその両者合わせて20年以上を満たせば65歳になった時に、65歳未満の生計維持している配偶者がいれば配偶者が65歳になるまで配偶者加給年金397,500円(内訳は228,700円+特別加算168,800円)が老齢厚生年金に加算される場合があります。



18歳年度末未満の子がいれば子の加給年金228,700円(3人目以降は76,200円)も加算されますが、65歳時点で18歳年度末未満の子の加給年金が付いてる人ってほとんど見た事無いんですけどね…。
非常に稀です。

ちなみに「子」は障害状態1,2級以上に該当する子については20歳到達日までの加算となっています。

障害のある子は20歳以降は障害基礎年金2級であれば795,000円(1級は2級の1.25倍の993,800円)と他に、障害年金生活者支援給付金(月額5,140円。1級は1.25倍の6425円)が請求により保障されます。



さて、本人が65歳になった時に65歳未満の生計維持していた配偶者が居れば、配偶者加給年金の対象になるわけですが、生計維持って何なのでしょうか?
簡単に言えば、同居していた配偶者の前年の収入が850万円未満または、前年の所得が655.5万円未満の場合を指します。

なんとなくイメージとしては扶養されていたかのような感じではありますが、やや年金においては異なります。


さて、なぜ加給年金という年額約40万円もの加算が付くのかというと、本来は厚生年金というのは配偶者や子供もひっくるめて面倒を見る年金だったからです。
 
 
 
社会保障としての年金は世帯を単位に、家族構成に応じて生活を保障するものでなければならないという考え方により、昭和29年5月の厚生年金大改正から始まった制度が加給年金です。


なお、加給年金は「配偶者が65歳になるまで〜」というものではありませんでした。



例えば夫に一旦加算されたら夫に終身付くものでした。
昭和時代って夫が外で働き、妻は家庭を守るという性別役割分担の考えが昭和40年代頃から根付いてきました。

その専業主婦の妻は国民年金には強制的に加入させませんでした(任意で加入は出来ました)。

なぜなら、夫の支払う厚生年金で夫婦の老後を保障するものでしたので、妻の分は夫の厚生年金に加給年金を付けとけばいいという形だったからです。

よって従来は専業主婦の老後は無年金でも構わないという考えでありました。
妻の生活費分は扶養手当のようなものとして夫の厚生年金に配偶者加給年金を終身で加算すると。

しかし、専業主婦の妻は無年金が当然という形にしておくと、離婚した時に妻には何の年金も出ない危険があったんですね。
あと、障害を負ったとしても障害年金も貰えない。


そこで、専業主婦も昭和61年4月1日からは国民年金に強制的に加入させて、将来は65歳になれば配偶者である妻自身の名義で基礎年金が受け取れる制度になりました。
妻は65歳になると自分名義の老齢基礎年金が貰えるようになったので、もう妻が65歳になった後は配偶者加給年金を夫の厚生年金に付け続ける必要は無いよねっという事になったわけです。


つまり、昭和61年4月1日以降の加給年金制度は妻が65歳になって自分自身の老齢基礎年金を貰えるまでの繋ぎの役割となりました。



というわけで、今回は配偶者加給年金を見ていきましょう。
この記事では夫に配偶者加給年金が付く場合で書いてますが、妻に変えてもらっても構いません。

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2.配偶者加給年金が付く事例。
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1.昭和28年2月16日生まれのA夫さん(令和5年に70歳)

・1度マスターしてしまうと便利!(令和5年版リニューアル)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法。
・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方(令和5年版リニューアル)。

昭和35年4月14日生まれの妻有り(令和5年は63歳)。
妻の年金記録は国民年金30年と共済組合期間5年。


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A夫さんの年金記録。


20歳になる昭和48年2月から昭和50年3月までの26ヶ月間は昼間大学生だったため、国民年金に強制的に加入する必要はありませんでしたが任意加入して納めました。


昭和50年4月から平成23年6月までの435ヶ月は民間企業で厚生年金に加入しました。


なお、昭和50年4月から平成15年3月までの336ヶ月間の平均標準報酬月額は37万円とします。
 
 
平成15年4月から平成23年6月までの99ヶ月の平均標準報酬額は52万円とします。
 
平成23年7月から60歳前月の平成25年1月までの19ヶ月は国民年金保険料の退職特例免除で全額免除となりました(退職免除は本人の所得を除いて配偶者と世帯主の所得のみで審査)。
 
全額免除期間は老齢基礎年金の2分の1に反映。
 
60歳以降は何も年金には加入しないものとします。
 
 
60歳から老齢厚生年金→37万円×7.125÷1000×336ヶ月+52万円×5.481÷1000×99ヶ月=885,780円+282,162円=1,167,942円
 
 
65歳から老齢基礎年金→792,600円(令和5年度68歳年度到達年度以降の人の満額)÷480ヶ月×(保険料納付済期間461ヶ月+全額免除期間19ヶ月÷2)=776,913円
 
 
そして、配偶者加給年金397,500円
 
65歳時点の年金総額は老齢厚生年金1,167,942円+配偶者加給年金397,500円+老齢基礎年金776,913円=2,342,355円(月額195,196円)

70歳になる令和5年度もこの年金額が続いています。
 
 
この金額が妻が65歳になる令和7年4月まで続きます。
 
 
翌月の5月からは配偶者加給年金は消滅して、夫の年金総額は老齢厚生年金1,167,942円+老齢基礎年金776,913円=1,944,855円になる。
 
 
なお、妻は30年分の老齢基礎年金795,000円(令和5年度67歳到達年度までの人の満額)÷480ヶ月×360ヶ月=596,250円と5年分の共済組合からの老齢厚生年金が支給されます。
 
 
あと、配偶者加給年金が付いていた人の配偶者で昭和41年4月1日以前生まれの妻だから振替加算という加算が妻の生年月日に応じて妻の老齢基礎年金に加算される。
この妻なら20,813円(年額)。
 
これは自動で付く(この記事では妻に付くパターンで書いてますが加算されるのは夫でも構いません)。
 
・加給年金と振替加算(日本年金機構)
 

 
じゃあ、逆に妻が夫より歳上で夫が65歳になった時に既に妻が67歳とかそんなんだったらどうなるのか?
 
 
この場合は配偶者加給年金は付きません。
 
 
ただし、夫の65歳誕生月の翌月からいきなり妻の老齢基礎年金に振替加算が付く事になります。
 
 
しかし、夫の65歳誕生日の前日以降になったら自ら振替加算の手続きをしに行く必要があります。
 
一応、夫の誕生月になると振替加算の手続きの勧奨状が来ますが、手続きを忘れてしまう人がいるから注意。
 
 
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3.配偶者が20年以上の厚年記録や共済記録がある年金を貰える時。
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では最後に、今回の例の妻自身に厚生年金期間や共済組合期間が20年以上あった場合はどうなるか?
 
 
 
夫婦お互い、20年以上の厚生年金期間や共済組合期間(または両方合わせて)のある年金がもらえるようになると配偶者加給年金は停止されます。
 
 
例えば、今回の妻は昭和35年4月14日生まれですが共済組合期間が仮に20年以上あったとします。
 
 
妻は共済組合からの年金が64歳(令和6年4月の翌月である5月)から貰えるので、令和6年5月分からは夫の配偶者加給年金は全額停止となります。

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※参考
この20年分の厚生年金や共済からの厚生年金が何らかの理由で全額停止された場合は、夫の配偶者加給年金は全額停止しませんでしたが、令和4年4月1日改正により配偶者加給年金は全額停止される事になりました。
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そして、振替加算についても自分自身に厚生年金期間や共済組合期間、または両方で20年以上ある場合も振替加算は付かないです。
 
 
つまり妻が厚生年金期間や共済組合期間が20年以上ある年金を貰えているなら、夫にわざわざ配偶者加給年金を加算する必要は無いという事ですね。
更に妻に20年以上の厚年期間や共済期間、もしくは両者で20年以上あれば妻は振替加算も加算されなくなります。

 
でも妻がギリギリ厚生年金期間を20年ではなく19年11ヶ月で抑えたら配偶者加給年金がまるまる夫に支給されるし、妻には振替加算が付く事になります。
 
 
次回は振替加算について。
 
(記事では夫に配偶者加給年金が付くパターンですが、夫を妻に置き換えても構いません)
 
※追記
配偶者が障害年金を貰えてる場合も配偶者加給年金は停止する。
障害年金で配偶者本人の保障がされているから、扶養手当としての配偶者加給年金は支給しません。
 

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https://www.mag2.com/m/0001680886



2月22日の第282号.妻と別れて厚生年金記録を分割してもらったが、再婚後の遺族厚生年金にはどう影響するのか。

3月1日の第283号.海外居住中や60歳から65歳までの年金に加入していない時の障害年金事例はやや特殊。

3月8日の第284号.年金積立金の現在の役割と進行する高齢化への対応、そして年金積立金の重要な歴史。

3月15日の第285号.約40年前に発生した厚生年金からの遺族年金を貰ってる人と今の制度の人が全く別物の理由。

3月22日の第286号.共済と厚年期間がある人で平成27年10月以前に65歳になった人とは貰う年金が違う事例。



2月1日の第279号.年金の価値を維持するための年金額変更の歴史と、65歳前後の違い(1)

2月8日の第280号. 年金の価値を維持するための年金額変更の歴史と、65歳前後の違い(2)

2月15日の第281号. 障害厚生年金2級と3級の65歳以上で悪化した場合の取り扱いの大きな違いと計算事例。
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