【試論・松田プラン】その6 百兆円を限度とする永久国債オペレーション・スモール案~松田学の論考~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

政府と日銀を連結させた「統合政府」でバランスシートをみると、異次元の金融緩和は既に国債発行残高の半分に相当する450兆円の規模で、政府の民間に対する債務を消滅させており、日銀保有国債が満期が来るたびに永久国債に乗り換え、これを日銀が永久保有すれば、こうした財政再建効果が確定します。この「永久国債オペ」については、これまでも、その1~その5まで、5回に分けて述べてきました。

このオペに対しては、ハイパーインフレの原因になる、金利ゼロの多額の日銀当座預金を抱えることになる銀行の経営に負担をもたらす、財政規律の問題が大きいなど、様々な懸念が指摘されるところですが、それらはいずれも問題がないことも述べてまいりました。特に、財政規律については、前々号の、その4で論じましたので、下記をご参照ください。

https://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-12365974032.html

次の図は、その内容を簡単にまとめたものです。


そこにもありますように、このオペはストックである債務残高を圧縮するものであり、別途、フローの面では、社会保障費の増大で毎年度増えていく歳出の財源を、毎年度国庫に入ってくる恒久財源で賄わねば財政再建効果は確定しません。問題は、消費税率の引上げが日本経済に与えるマイナスの影響をどう考えるかです。

以下、この問題を取り上げます。

450兆円規模かスモール案か

その前に、このオペに対しては、日銀に積み上がる永久国債が日銀のバランスシートを巨大化させたまま、それが永遠に残ること自体に抵抗感があるかもしれません。

それについて、私には別途、バランスシート縮小に向けた出口のプランの用意がありますが、ここでは、より分かりやすい代案として、日銀保有国債の永久国債への乗り換えは100兆円を限度とし、しかも、このオペの実施は、消費税率を引き上げる年度に限るとする「スモール案」をご紹介したいと思います。世間により受け容れられやすい案として、昨年1226号のエコノミスト誌に「日銀保有国債の一部を永久化せよ」とのタイトルで私が寄稿した案です。


記事の全文はこちらです。↓

https://www.weekly-economist.com/20171226bojexit12/

恐らく、異次元緩和の「出口」で問われるのは、急激な長期金利の上昇が起こらないよう財政再建の道筋が描かれていることでしょう。これを可能にするために、今後、中長期的に消費税率を引き上げていくことを前提に、増税時の景気へのマイナスを回避すべく、10兆円規模で永久国債オペを実施するという案です。

2%の消費税率引上げによる国民負担の増大は約5兆円、それと同時に、その2倍の10兆円規模の歳出増を、国債残高を増やさずに実行する。

これが可能なのは日本が世界で唯一、60年償還ルールという減債制度を営んでいるからであり、そのメカニズムは既に、その5↓で解説した通りです。

https://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-12365976036.html

永久国債化の限度を100兆円と設定すれば、2%の税率引上げ10回分まで可能です。

だからと言って、消費税率を28%までアップすることを主張しているわけではありません。あくまで枠です。そして、100兆円という数字には根拠があります。

それは日銀の負債に計上されている銀行券の発行残高が100兆円強であり、その範囲内で、ということです。

すなわち、私たちが手にしているお札は、日銀からみれば、無期限の「無利子永久債務」であり、それと見合いで無期限の永久資産を保有することは、資産と負債の見合いで合理的です。銀行券は無利子ですから、それに対応する資産としての永久国債からの金利収入は、そのまま国庫に納付できますので、政府は利払費を負担することにもなりません。

下図のとおり、日銀のバランスシートの拡大は、このオペをしない場合に比べて100兆円までの範囲にとどまります。異次元緩和の出口でも、日銀のバランスシートを異次元緩和開始前の20133月末の水準にまで何が何でも縮小しなれければならないわけではなく、この程度のバランスシートの拡大なら、それが永続しても大勢に影響はないでしょう。


この案は、景気との関係で今後の消費税率アップを可能にするための案でもあり、永久国債を財政再建そのものに活用するものです。では、そもそも消費増税がなぜ、景気に悪影響を与えるものなのか、次号で詳しく論じたいと思います。

 

松田学のビデオレター、第83回は「永久国債~景気を腰折れさせない消費税率アップのテクニック」

[H30/4/5]国損を招いている森友学園キャンペーン・財政規律と永久国債」

チャンネル桜45日放映。

 こちら↓をご覧ください。