【試論・松田プラン】その5 永久国債オペで消費増税と景気が両立~松田学の論考~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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 前号その4では、永久国債オペが財政規律と矛盾しないことを述べました。↓

https://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-12365974032.html

今回は、議論としては、その続きになります。以下、永久国債オペと消費増税との関係を検討してみたいと思います。日本では世界に例のない国債の減債制度(60年償還ルール)が営まれています。このことにより、永久国債オペをすれば、消費増税の経済へのマイナスを回避することが可能です。

 

●フローベースでの財政規律と消費増税

~減債制度を営む日本だから財政再建と景気を両立させられる~

前号で述べたように、大事なことは、ストックベースとは別に、フローベースで財政規律をきちんと機能させることです。そうであってこそ、永久国債オペは将来にわたり大きな意味を持つようになります。また、いずれ迎える異次元金融緩和の「出口」での国債価格の暴落(急激な金利上昇)を回避するためにも財政再建への道筋が描かれていることが必要です。これは永久国債オペが市場からの信認を受けて現実に実行可能になるためにも不可欠なことです。

 フローベースでは、社会の高齢化に伴って年々拡大していく社会保障費(毎年度支出される恒久的な歳出)を、毎年度入ってくる恒久的な財源である消費税で賄う必要があります。そのためには、どんなに社会保障費の削減に努めたとしても、少なくとも、201910月に予定されている10%への消費税率の引上げでは足りないことも「不都合な真実」です。

最終的に何%まで引き上げるのかは別として、消費増税の何が問題かといえば、それは景気を悪化させるデフレ効果を持つ、再び日本経済がデフレに逆戻りする懸念があるということが最も大きいでしょう。

そうであれば、消費増税のときに、それによる国民負担の増大を打ち消して余りあるだけの財政支出の増大で、国民負担を軽減すれば良いということになります。普通なら、それでは歳出増による財政悪化要因によって財政再建にはならないことになりますが、日本の場合、財政を悪化させずにこれを行う措置が可能になる仕組みがあります。

それが、他国には例のない、世界に冠たる国債の「60年償還ルール」と呼ばれる「減債制度」です。多くの国々で、国債の償還は、国債を発行して償還の財源を調達する方法で行われています。日本でも、国債整理基金という特別会計が「借換債」を発行して国債の元本を償還しています。ただ、60年かけて国債を税金で償還することが建前となっている点が、他国と異なる点です。満期が到来した国債は、一部は税金で償還し、残りは借換債でロールオーバーする、これを繰り返して60年後にはゼロにする。

 そのために、毎年度の国の一般会計予算から、国債発行残高の60分の1に相当する金額が国債整理基金に繰り入れられており、これを「定率繰入」と称し、一般会計では「債務償還費」という費目で歳出に計上されています。2018年度予算では14.3兆円です。

ここで大事なのは、毎年度の予算では、現実には税収が足りず、この債務償還費(定率繰入)の財源が新規の赤字国債になっているということです。つまり、もし、ある年度では定率繰入をしないこととすれば、その分、その年度の赤字国債の発行は減ることになります。

これはすなわち、建前では、国債残高の60分の1については借換債によらず、一般会計からの繰り入れという形をとっていても、その分も実際には、国債償還のための財源を新規の赤字国債で調達しているわけですから、実質的には借換債を発行して調達していることと変わりません。つまり、財政規律のためと称しながら営まれている日本の減債制度は、実質的には機能していないことになります。

それでも日本の財政当局がこの定率繰入を毎年度実施しているのはなぜなのか。

私がかつて勤務した財務省の同期が理財局で国債の責任者をしていた時に議論しましたが、彼はこんなことを言っていました。「確かに減債制度は機能していないが、本来は税金で国債残高が減っていくのが理想の姿だとすれば、実際は国債を発行して国債を償還し、国債残高は増える一方であるという、理想と現実との乖離を毎年度の予算で国民に示し、厳しい財政状況に対する理解を求めるために定率繰入を続けている。」と。

しかし、政府が発表する予算案をみて、このようなことを理解している国民がどれだけ存在するでしょうか。「こんなに国債残高は増えていても、財政当局として財政規律の最後の一線だけは維持している」という言い訳ということでしょうか。痩せ我慢かもしれません。ただ、国債発行残高を本当は減らしたいのだという意思は示されているといえます。

 

●国のおカネの流れを債務の処理から民生へと転換する。

そうであれば、永久国債オペで実際に国債を消滅させてはどうでしょうか。ここで、前述のように日銀が保有する国債を赤字国債とみなすこととすれば、永久国債オペの対象は赤字国債ということになります。2018年度予算では14.4兆円の債務償還費(定率繰入)が計上されていますが、これを建設国債(引き続き民間が保有)の元本償還費と赤字国債の元本償還費に分ければ、後者の赤字国債分は今後、概ね、毎年度10兆円程度と見込まれます。

ここで、ある年度において永久国債オペを実施し、日銀が保有する国債のうち満期が到来するもの(今後、10年間では毎年度、2050兆円規模で満期が到来します)のうち、上記の赤字国債償還分に相当する10兆円の規模で、これを永久国債に乗り換えるとします。これによって10兆円の国債が事実上、消滅しますので、その年度は10兆円の規模で、定率繰入をしなくても減債制度の目的が達せられることになります。

従って、その年度では政府予算の一般会計の歳出に10兆円分、債務償還費を計上しなくて済むことになります。結果として、もし、それを計上していたら必要だった赤字国債の新規発行が、同額の10兆円分、不要になります。つまり、その年度の一般会計の歳入のほうで、赤字国債の発行額を通常よりも10兆円、減らすことができます。

ここでもし、10兆円の赤字国債発行を従来ベース通りに行うとすると、どうなるでしょうか。財源は従来通りありますから、予算の歳出のほうでは、定率繰入が10兆円、減った分だけ、別の歳出項目を10兆円、増やすことができます。それによっても、新規の国債発行額は従来ベースよりも増えませんし、国際残高も、永久国債オペで10兆円、事実上、減りますから、従来通り定率繰入を実施した場合と同じです。

消費税率引き上げを、これとセットで実施すると、どうなるでしょうか。消費税率を2%引き上げれば、それによる国民負担の増加は概ね5兆円ですから、その二倍もの10兆円の財政支出増によって、負担を相殺して余りあるおカネが民間を潤すことになります。

この10兆円を、私は「社会保障バウチャー」の国民への配布の財源にしてはどうかと考えています。各国民のマイナンバーにポイントを打ち込み、これを社会保険料、医療や介護や保育料などの自己負担分に、いつでも使えるようにすれば、単なるおカネの配布だけではなく、国民は将来にわたる安心も得られます。詳しくは稿を改めます。

この永久国債オペによって、従来は、10兆円の新規国債が過去の債務処理に充てられる「ストックからストックへ」のおカネの流れでしたが、これが「ストックからフローへ」のおカネの流れへと変換し、民生を直接、潤すことになります。

消費増税の年度に限らず、10兆円以上の規模で永久国債オペを実施すれば、国債残高そのものが実質的に減りますから、この施策はフローとストックの両面にわたる財政再建を、景気に悪影響を与えずに実現することになります。

さらに議論を続けます。

 

松田学のビデオレター、第82回は「国損を招いている森友学園キャンペーン・財政規律と永久国債」

チャンネル桜320日放映。

 こちら↓をご覧ください。

 

 

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