Q&A3783 流産3回(うち2回は正常胚) | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 凍結胚盤胞をホルモン補充で移植し(3回中2回は染色体正常胚)、胎嚢確認後の流産を3回しています。総じて陽性反応時のHCGが低いです。プロテインS活性が低いので2回目からはバイアスピリンとヘパリンを使用しています。着床の窓のずれがあると陰性になるだけでなく妊娠継続やHCGの出方にも影響がありますか。または私の場合、着床の窓よりも不育症が流産を引き起こしている可能性が強いでしょうか。3回目の移植時はヘパリンが使えずオルガランでした。2回目と3回目の移植前にそれぞれCD138検査をして陰性でした。

 

A PGTを実施した胚は、胎盤になる細胞(TE細胞)を一部採取するため、TE細胞から分泌されるHCGが、妊娠判定時に低くなります(2020.11.4「PGT-A胚は妊娠判定日のhCGが低くなる」を参照)。また、着床の窓にズレがある場合には、陰性判定になるか、判定日のHCGが低くなります。したがって、着床の窓を検査(ERAではなく、ERPeakでの実施を推奨)し、窓ズレがあれば、ズレを補正して移植を行います。窓ズレがなければ、原因不明不育症としての対策を行います(確立された方法はありませんので、病院によって対策が異なります)。なお、なお、不育症学会の認定医がいる施設での検査が望ましいです。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。