Q&A3782 36歳、第二子治療で苦戦 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 現在36歳、第二子治療中

 

32歳で採卵、1回で15個の卵子が取れ、9個の胚盤胞ができました(うち1PN2PBが1個、6日目胚盤胞が1個)。
移植①→ホルモン補充、4日目移植。8週心拍確認後の稽留流産(19トリソミー)
移植②→ホルモン補充、5日目移植。hCG 2.4 で陰性
移植③→ホルモン補充、4日目移植。1卵生の双子を妊娠。うち1人は初期に心拍停止、1人は無事出産
移植④→自然周期、卵胞18mmの夕方にhCG 5000注射。6日後の昼に移植。hCG 22 陰性(hCG注射の影響で数値が出ているだけとのこと)
移植⑤→ホルモン補充、4日目移植。hCG 1.1 陰性

残りは、5AB(1PN2PB)1個、4BBが2個、6日目の4BBが1個の合計4個です。
第一子出産後、残り6個の胚があったので、もう1人できるだろうと思っていたのですが、必勝法のホルモン補充4日目移植でも着床すらしません。亜鉛とビタミンDのサプリは第一子の時から継続して飲んでおり、今回は慢性子宮内膜炎対策(検査は無し)で抗生剤服用後、乳酸菌の膣錠を使用しました。不育症検査も異常無しでした。今回の陰性を受け、慢性子宮内膜炎の検査をし、結果待ちの状態です。


① 通院先の医師は染色体異常だろうと言うのですが、32歳時の胚盤胞だと染色体異常率が30%くらいと聞いたので、9個なら6個程は正常と思うのですが、運が悪かったのでしょうか。1度にたくさん取れた卵だと染色体異常率も上がりますか。
②慢性子宮内膜炎の検査結果が陰性だった場合、他にできることはありますか。
③保険適用で移植できるのがあと4回なのですが、このまま1個ずつ移植か、染色体異常が多いと見て2個ずつ移植し、駄目ならもう一度採卵した方が良いでしょうか。ただ第一子が一卵性の双子だったこともあり、2個移植して双子にならないか心配です。
④もし、もう一度採卵となると、時期的に37歳で採卵になるのですが、32歳のグレードBBの胚と37歳のグレードの良い胚とどちらが妊娠しやすいのでしょうか。ネットで胚盤胞の写真を色々見たのですが、今凍結しているグレードBBの胚はCに違いBとう感じで、あまり良くないのかなと思っています。

 

A 

① 32歳で採卵した場合の染色体異常率は31%2016.8.9「☆女性の年齢別染色体異常頻度 その2」を参照)ですので、これまでの経過を説明することは困難です。また、採卵数が多くても少なくても正常胚率は同じですので(2019.10.3「☆刺激周期も自然周期も正常胚率は同じ」を参照)、子宮側の因子(=不育症)があるのは間違いないと考えます。
②出産後に必勝法を行なっても陰性判定が続く場合には、慢性子宮内膜炎が生じたか着床の窓がズレた可能性が高くなります。慢性子宮内膜炎が陰性でしたら、着床の窓の検査(ERAではなく、ERPeakでの実施を推奨)をお勧めします。
③上記の理由から、染色体異常が多いとは考えませんので、双子を避けるために、1個ずつでの移植をお勧めします。
④37歳の良好胚よりも、32歳のBB胚の方が妊娠成績が良い可能性があります。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。