☆ART妊娠の出産後に自然妊娠の確率は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、ART治療(体外受精、顕微授精)の出産後に自然妊娠に関するメタアナリシスです。

 

Hum Reprod, 2023; 38: 1590(英国)doi: 10.1093/humrep/dead121

要約:2021年9月までに発表された、ART治療の出産後に自然妊娠した女性について検討した11論文5,180名を対象にメタアナリシスを実施しました(追跡期間は2〜15 年)。ART治療の出産後の自然妊娠の確率は、全体で0.20(95%信頼区間0.17~0.22)、2年間では0.16(95%信頼区間0.10~0.22)、3年間では0.18(95%信頼区間0.13~0.23)であることが明らかになりました。

 

解説:体外受精による赤ちゃんが1978年に誕生してから、これまでに世界中で1,000万人を超える赤ちゃんが生まれています。1年間妊娠しない場合に不妊症と診断されますが、不妊治療を受けている女性は、完全に不妊であるわけでも、永久に不妊であるわけでもありません。英国では、ART治療のうち原因不明不妊が32%を占めており、3.1%が女性同士のカップル、2%がドナー精子を使用する独身女性、0.5%が代理母です。ART治療を受けている女性が後に自然妊娠することはよく知られています。本論文は、ART治療の出産後に自然妊娠する確率を検討したメタアナリシスであり、約1/5で自然妊娠が生じることを示しています。 

 

下記の記事を参照してください。

2019.9.7「☆ART治療をやめた後の自然妊娠の確率は?5年間で15〜17%

2018.5.21「☆不妊治療をお休みしている時の自然妊娠の確率年間約24.5%(38歳以下の女性、精液所見が良好)

2014.5.29「☆☆妊娠には「ニュートラルな気持ち」で!

2013.3.3「☆第1子顕微授精出産後の自然妊娠の確率は?年間約2%(若い女性)

2013.2.26「☆第1子体外受精出産後の自然妊娠の確率は?全体で約20%(34歳未満の女性、精液所見が良好)